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国の助けはありますか

水泳の池江璃花子選手が白血病を公表した。

他人には想像できないほどの葛藤があり、今も続いていることだろう。

戒めのつもりで言うのだが、かつてドナー登録をしたことがある。
登録してもすぐにどうこうではなく、型が合いそうな人が呼ばれ
プロセスを経て… と、時間がかかる。
そもそも型が合う確率は低く、また、患者さんによりけりのようで、
なんとも言えないらしい。

自分の場合、登録から数年して急に連絡が来た。指定された大学病院に
出向き、コーディネーターという担当者と面談をした。
「あなたは候補の一人に挙がっています」とだけ伝えられる。

こちらは、今すぐにでも提供しますという気持ちでいたのだが、
そう簡単ではないという。いろいろプロセスがあることを聞かされた。

「患者さんはお急ぎでは?」と心配したが、まだ大丈夫だという。
そんな悠長なものなのか?

面談の中で、引っかかることがあった。当時、自分は肌荒れ、といっても
大したことなかったのだが、皮膚科で処方された塗り薬を使っていた。
指と指の間の赤みに少し塗る程度。量の過多が関係あるかわからないが、
コーディネーターは「念のため、検査をしてもらえますか?」という。

登録時には、薬の服用はなく問題なかったが、その時点では塗り薬を
使っているから再検査が必要だという。理由は理解した。
もちろん構わない。すぐ検査したいくらいだ。

だが、コーディネーターによると検査には費用がかかる。
しかも、自費だという。「えっ?」一瞬、飲み込めなかった。

ここまで、こちらの気持ちで進んできているのだが、なぜこの段階で
自費なのか? 検査は、そっちの担当なのでは? ちょっと引っかかった。

そういえば、登録以来、骨髄バンクからは寄付も求められてきた。
先方の仕事としては、わかる。不特定多数に呼び掛けるより、
ドナー登録者の方が寄付する可能性は高いだろう。

記憶では、検査には健康保険は適用されず1万だか2万だかかかると
言われた気がする。検査結果次第では、先へ進めなくなる可能性もある
という。だから、ドナー候補に負担させるのか?

正直に言うと、そのときは「善意につけ込んでいないか?」と思った。

患者さんの素性は、最後まで知らされないきまりになっているが
今、必要としている人が日本のどこかにいると思うと、こちらが
試されている気分だ。

「こいつは本当に骨髄提供するつもりはあるのか?」

もちろんプロセスを承知してきている。1週間くらい入院が必要なこと。
骨髄を採る手術は結構大変で術後は患部が痛むこと。死亡に至る可能性が
ゼロではないこと。ドナーが仕事を休んでいる間の補償は無いこと…
全部理解した上で面談に臨んでいる。

塗り薬問題がなければ、そのまま次へ進んでいるはずだった。
コーディネーターは、「ご自分で判断してください」という。
なんだよそれ。

患者さんの顔が見えないから、いろいろ考えてしまう。
「そもそも患者さんっているのか?」
「自分が提供したものが、本当に必要としている人に届くのか?」
よからぬことまで考えてしまった。検査費用は自費だと言われた瞬間から
小さな猜疑心がうごめき出した。そんなこと気にせず、初心通り、
すぱーんと再検査すればいいのだが、なんだかもやもやする。

「私が進まなかったらどうなるのですか?」と訊くと、
「他にも候補者がいるので、心配しなくても大丈夫です」という。

しばらく悩んだ末、ひよった。後日、進まない旨を伝えた。
以来、白血病や骨髄バンクの名前を見ると、自分の器の小ささに凹む。
検査費用の問題じゃなかったんだけどな…
ただ、あのシステムは改善した方がいいんじゃないか?
ドナー候補者の分母を減らす要因になるのでは?
その件は、おそらく内部でも議論はあっただろうと想像できる。

コーディネーターが「骨髄バンクには、十分な予算があるわけではない」
と言っていたのが気になった。 だったら、国とかさ…

今回、池江選手の公表で、あらためて自戒した。
次回、もし機会が来たら慎重に考えようと思う。

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