うごき

うごきますか

動け!!

いくら念じても微塵も動じない。

5分、10分、15分…  これ、剥製じゃないか?

学名「Balaeniceps rex」 意味は、クジラ頭の王様。

頭頂部のふわふわした羽。じっと見据える目力の強さ。大きな嘴(くちばし)の前に手を出したら、噛みつくかな?

動物園の動物の中でも、動かないのに人気者の「ハシビロコウ」

静岡県の伊豆シャボテン公園には、推定49歳以上のご長寿がいる。やってきて38年。動く気ないのか?人間だって、いくらご長寿でも、5分くらい眺めていたら動くものだ。

人間が動く仕組みは、まず外部からの情報を五感がキャッチして、脳内の記憶にアクセスする。すると、過去記憶とリンクさせて思考、感情、行動の「反応」が決まり、動くという現象がみられる。

ざっくりいうと、入力→情報処理→出力 が、たえず行われている。

自分の行動がうまくいかない時、ただ単に、うまくいくようにいくようにとあがくのも無駄ではないと思うが、この「動く」仕組みを考えると、突破口が見えてくる。


うまくいかない状態から、うまくいくようにするには、2つの方法がある。

一つ目は、行動(出力)からさかのぼり、入力する情報を変更すること。

「入力→出力」の流れでいうと、たとえば、普段、好感度の高い人と会えばポジティブな出力、低い人と会えば、ネガティブな出力になる。

とはいえ、日常生活で出会う人をコントロールするのは現実的に難しい。ネガにつながる情報を入力せざるを得ない局面は多々ある。

そこで、二つ目の方法。ネガティブな情報が入ってきても、ポジティブな反応へつなげる方法だ。無理やりポジティブシンキングしろという乱暴なものではない。

行動(出力)には、何かの引き金(入力)がある。

たとえば、フリースペースのテーブルが汚れていたとする。

無意識に不快な気持ちになるのではないだろうか。

これは、「汚れたテーブルを見た→脳内の過去記憶とリンク→いやな気分」という流れが自動的に行われるから。

たとえば、子どもの頃に感動したアニメをみるという入力から、温かい気持ちになるという出力が発生するのも同じこと。

まずは、入力される情報は、すべての行動のきっかけになるという流れを踏まえる。

次に、嫌な反応が出たとき、どうしてなのか?行動のきっかけは何かを特定する。

今なら、連日猛暑で外に出ると、滝汗が流れ、あじー、勘弁してくれよ~という、嫌な気持ちになる。

自分の場合、エアコンがついていないバスに乗ってしまい、サウナのような車内で、全身が汗でびしょぬれになった嫌な体験とリンクしがちで、ボーっとして屋外に出ると「猛暑=不快」という反応に自動誘導される。

しかし、「猛暑」という情報が入力されても、脳内の別の記憶とリンクさせることで「快楽」の反応を出すことができる。これは、普段から準備が必要だ。

子どもの頃、炎天下で草野球をやったり、海で遊んだりした記憶を思い出すことで「猛暑→海の思い出」とリンクするよう意識する。

繰り返し思い出すことで、入力情報との理想的な結びつきが、望ましい反応に書き換えられていく。猛暑→楽しかったな。だ。

人間は、習慣の動物なので、キモは、繰り返しやるという反復学習だ。


ところで、ハシビロコウだって、目をあけているし、寒暖の差だって感じるだろうし、来園客の騒音だって聞こえているだろう。なのに、動かない。入力→出力の流れは当てはまらないのか? そういえば、にわとりは三歩歩くと忘れるっていうな。それが本当なら、トリの脳内記憶が少ないから、過去記憶とリンクせず、出力しないのか?

ただ最近、公園の水飲み場で、蛇口をくちばしでひねって水を飲むカラスが発見されて、学会に報告されていたな。鳥の記憶力=少ないと言い切れなさそうだ。こっちは学習力かもれしれないけど。

野生では、アフリカのビクトリア湖周辺に多いハシビロコウ。湿地帯に住み、好物は「肺魚」。

どうやら、肺魚が呼吸するため、水面に上がってくるタイミングを見計らうため、じーっと待ち伏せするくせがついているらしい。捕獲できたとしても消化に時間がかかるから、やっぱりじーっとしているという。不動が仕事ってのも修行みたいだな。

    「人間は習慣の生き物である」 ジョン・デューイ 哲学者(米)


沖縄出身のお笑い芸人さんが命名してくれたペンネーム/テレビ番組の企画構成5000本以上/日本脚本家連盟所属/あなたの経験・知見がパワーの源です