青少年のための「謎」講義
こんにちは、三月です。
みなさんは、アレ好きですか?アレです、アレ。密室講義です。
・人間が出入りする秘密の通路や、凶器が通れる大きさの穴の類は下等なトリックとして分類からは排除する[3]。
・密室内に殺人犯はいなかった。
1、偶発的な出来事が重なり、自殺や事故を殺人と誤認。
2,暗示や毒物の効果により被害者が死ぬように追い込む。
3,室内に隠された何らかの仕掛けによる殺人。
4,殺人に見せかけた自殺。
5,すでに殺害された人物が生きているように見せかける。
6,犯人は室外にいたが、犯行は室内で行われたと誤認される。たとえば 室外でのアクションが室内に届き被害者を殺害する。あるいは室外で致命傷を負った被害者が室内に入ったのち死亡する。
7,未だ生きている人物を死んだように見せかけ後で本当に殺害する。
・ドアの鍵が内側から閉じられているように見せかける。
1,鍵穴に差し込んだままの鍵を糸などで操作し鍵をかける。
2,蝶番を外す。
3,ボルトを糸などで操作する。
4,カンヌキや掛け金を、氷などを利用して部屋を出た後落としこむ。
5,鍵を隠し持っておき、扉にあるはめ殺しのガラスなどを割ったときに、いち早く中に手を突っ込み抜き取ったふりをする。
6,外から鍵を掛け鍵を中に戻す。
こちらは有名な、ジョン・ディクスン・カーの「三つの棺」における密室講義です。他にも、江戸川乱歩による密室分類(類別トリック集成より)なんかが日本では知られています。以降、新本格の時代には様々な作品内で様々な名探偵たちが、独自の密室分類・密室講義を行い、真犯人のトリックをその分類に当てはめたり、当てはまらなくて読者を驚愕させたりします。
密室以外にも、死体損壊トリック分類や叙述トリック分類など、推理小説の中では名探偵が様々な講義を行ってくれます。(こうした、「推理小説読みのためだけの推理小説」が一般受けが悪かったせいで最近のライトなノベル風のミステリが今はやってるんじゃないか、いやうわなんでもない)
じゃあ、なぜなぜどうして謎解きにおいては謎解きマニアによる謎講義がないんだ!?
と、いつも寂しく思っているわけなのです。
名探偵なき世の中に、名探偵を。
青少年のための「謎」講義 序説
ミステリにおける「講義」はまず2つに分類することが出来ます。
・物理的分類(ハウダニット)
・動機的分類(ホワイダニット)
「密室講義」で見れば、「密室をどうやって作るのか」の分類をする場合と、「密室をどうして作るのか」の分類が良く行われます。先に挙げたカーの密室分類は、わかりやすく前者のハウダニットの分類ですね。密室を作る動機の分類については、翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件と言う作品の中で麻耶雄嵩先生が行っています(らしいし読んだ記憶があるんですが、手元に実本がないので、すいません。翼ある闇はなかなかヤベーやつなので面白いですよ!)。
今回行いたい「謎」分類は後者のホワイダニットです。
前者のハウダニットは、謎解きにおいては「どんな謎を使うか」という分類になりますため、こちらはプロパズル作家の方々にお任せしたくあります。頼んだぞ!
「謎」の分類
仮作成です。ブラッシュアップしたい。
注)今回の分類は、いわゆる「問題集の問題」的な謎ではなく、何かしらのストーリーラインの中で提示される謎が、「そのストーリー上で謎を出した人物もしくは存在」からどういう動機で提示されるのかという分類です。作者の意図ではありません。
1、解かせるための謎
1-1、(水準以上の知能がある人に)解かせるための謎
1-1-1、試練としての謎
1-1-2、テストとしての謎
1-1-3、謎解き愛好家の道楽としての謎
1-2、レクリエーションとしての謎
1-2-1、学習のための謎(子ども)
1-2-2、知識習得のための謎(大人)
1-2-3、謎解き愛好家の道楽としての謎
2、解かせないための謎
2-1、特定の人物(条件を満たす者)にのみ解かせるための謎
2-1-1、試練としての謎’
2-1-2、血筋や家系のなど個人に関わる謎
2-1-3、宝探しの謎の多くの場合
2-2、誰にも解かせたくない謎
2-2-1、この謎を解ける水準の知能を想定していない謎
2-2-2、この謎を解ける条件の解放を想定していない謎
2-2-3、謎解き愛好家の道楽としての謎
3、そういうの考えてない
おわかりいただけただろうか。
だいたいの謎は謎解き愛好家の道楽。
1、解かせるための謎
1-1、(水準以上の知能がある人に)解かせるための謎
こちらはその通り、知能を測るための謎です。
1-1-1、試練としての謎
たとえば、「最も優秀なものを勇者として認める!」みたいなやつもそうですし、ありがちな「謎が解けなければ死ぬ」も試練のパターンです。というか「謎を解いて脱出せよ(お前の頭が良ければ脱出できるぞ^^)」がこれです。
1-1-2、テストとしての謎
こちらも試練とほぼ似ていますが、試練ほど生き死にに関わらないものや、合格点があるようなストーリーラインを想定しています。
1-1-3、謎解き愛好家の道楽としての謎
なんかとりあえず謎を出して見たやつです。
1-2、レクリエーションとしての謎
こちらは街歩きやら子供向けのそれこそレクリエーションなんかで多いものです。とにかく複雑なことはなく「一緒に謎を解いて遊ぶための謎」です。とにかく何の意味も脈絡もなく謎が出てくる謎解き、みなさん見覚えがあるでしょう。そうです、遊びのための謎です。そういう言い方をすれば「謎解き愛好家の道楽としての謎」と言えなくもないんですが。
1-2-1、学習のための謎(子ども)
1-2-2、知識習得のための謎(大人)
1-2-3、謎解き愛好家の道楽としての謎
補足することもないでしょう。
2、解かせないための謎
こちらは「謎解きイベント」では少ないかもしれません。意外と解かせないための謎は少ないのですな。
2-1、特定の人物(条件を満たす者)にのみ解かせるための謎
2-1-1、試練としての謎’
「1-1-1、試練としての謎」と同様ですが、「解かせない」ことが前提の場合があります。例えば情報が足りないであったり、意地悪がキツいであったり。
2-1-2、血筋や家系のなど個人に関わる謎
これもイベントとしてやったら顰蹙を買うかもしれませんが「特定の誰か(誰かたち)しか解けない謎」です。ある特定の家系に伝わる情報やアイテムが必要なものだったり、特定の誰かへのSOSだったりします。私は賭博覇王伝零ギャン鬼編を想像して書いています。
2-1-3、宝探しの謎の多くの場合
宝の地図は、自分や仲間(もしくは自分がこの宝をこういうヤツに見つかるならいいなあ)にだけ伝わるものが良いでしょう。
2-2、誰にも解かせたくない謎
これは「物語上の謎を出した人物もしくは存在」が「誰にも解かせたくない」という分類です。(作者としてはもちろん解いてほしいんじゃないですか?知らんけど)
2-2-1、この謎を解ける水準の知能を想定していない謎
例えば人類の叡智をかけて作ったAIが暴走して人類に挑んでいるとか、そういうものです。
2-2-2、この謎を解ける条件の解放を想定していない謎
未来世界へ託した謎とか、火のない平行世界であぶり出しを出したとか、そういうやつです。
2-2-3、謎解き愛好家の道楽としての謎
ムカつくやつです。
3、そういうの考えてない
マジでなんで暗号とかパズルにしたのかわからんやつです。その世界観でだれがどうして暗号を作ったの?神という名の作者なの?いや目の前にあれば解くけどなんなの??
まさに謎のための謎。謎解き愛好家の道楽としての謎。
おわり
いかがだったでしょうか。
ただひたすら「謎解き愛好家の道楽としての謎以外のパターンを絶対探してやる」という意地で作った分類でした。
いや、あのさ、だいたいのもんは謎解き愛好家の道楽だよ。知ってる。
三月ちゃんをいろんなイベントに出張させることが出来ます。ヤバそうなイベントに自分で行く気はないけど誰かに行ってきてほしいときに使ってください。