今週のレコメンド (2019/08/19)

週に一度、この1週間知ったでオススメしたい音楽をプレイリスト形式にして紹介するブログ、2019年8月19日版です。今週はこんな感じ。

↑Apple Music未登録でも各曲30秒ごと試聴可能です (Claudのジャケがサムネイルに出てるかもですが、今回は入ってません…)

1. Sambassadeur - Survival (European Records)

スウェーデン出身のギターポップバンドによるSambassadeur(サンバサダー)の2010年以来9年ぶりの4thは、古巣Labrador Recordsではなく自主レーベルからリリース。だいぶ間は空いたが、作風はシンプルなギターポップからストリングやシンセを取り入れ多様さを出し始めた前作から地続きで、彼ららしいポップネスが光る作品集になっている。カントリー/フォークにより近づいたアレンジの「Foot of Afrikka」「41」などがありつつも、はじけるギターポップ「Kors」やキラキラシンセポップス「Stuck」などネオアコファンにも嬉しい。コーヒーを飲みながら聞きたいアルバム。

2. Friendly Fires - Inflorescent (Casablanca Records/Polydor)

UK出身のトリオによる8年ぶりの3rdアルバム (やっと3rd???)。個人的な思い出でいうと、2011年のSummer Sonicで全く知らずに見たライブで踊りまくった、所謂フェスで好きになるアレを初めて体感したアーティスト。前作にはまだバンド然とした曲もあったが、今作でさらにクラブ仕様に磨きがかかり、クソ最高なダンスアルバムに。Disclosureとの共同プロデュース曲である#2「Heaven Let Me in」も最高だけど、プレイリストには#7「Love Like Waves」を。いままでライブはバンド形式にこだわってたみたいだけどこの内容ではさすがに…と思ってYoutubeを検索してみたら、かつて見たホーン隊編成にパーカッションをいれての編成でびびった。まじかっこいいなあ。

3. Taylor McFerrin - Love's Last Chance (AWAL)

Brainfeederへの所属やR+R=NOWの活動でも知られているTaylor McFerrinの2nd?アルバム。デビューアルバムからNai Palm、Robert Glasper、Thundercat、Vincent Parkerなど錚々たると言わざるを得ないメンバーを客演に入れつつ、彼らに全く引けを取らない世界観とソングライティングを見せつけていた彼。今作ではさらにジャズ・アンビエント・R&B・ポストロック(という言葉ももう古いけど)の融合を推し進めていて、でもやっぱメロディはめちゃくちゃ良くて、参りました。プレイリストにはどこまでも美しいクロージングナンバー#10「So Cold in the Summer」と悩んだけど、ピアノのきらめく音が美しいダンスナンバー#4「Now That You Need Me」を。
あ、今期アニメ「キャロル&チューズデイ」への曲提供(GGK「Milky Way」)も忘れず。

4. Peaer - A Healthy Earth (Tiny Engines)

コネチカット出身の3人組による3rd。ひねくれた曲構成とそれを支える確かな技術がありつつも、スティーブンマルクマスを思わせるゆるいボーカルとファズいプロダクションでローファイ・オルタナロックファンの心を鷲掴みなバンド。前作を聴いた瞬間から、WeezerやFanzineに代表されるカッチリなのにオルタナいバンド欠乏症だった僕の心の穴に彼らの音がすっぽりはまり、その路線をさらに固めた今作で完全にファンになった。やわいピッキングで始まって、ここぞというタイミングでRATを踏みつける展開が好きすぎるんだな僕は。どの曲もかっこいいけど特にその展開が楽しめる#11「Have Fun!」をおすすめ。
ところで、なんかこういうバンド (Fanzine、DanielがいたYuck、Aye Nako…) はどれも寿命が短いという謎のジンクスがあるので、なにより続けて(売れて)ほしい。

5. Versus - Ex Voto (Ernest Jenning Record Co.)

Baluyut兄弟を中心に結成されたVersusによる、2010年の「On the Ones and Threes」以来9年ぶりの6thアルバム。その5thも前作から10年空いてることを考えると感慨深くなってしまう(その間にリチャードは +/- をやってたわけだけど)。で肝心の音だけど、一曲目「Gravity」からもう待ち望んだVersusの/Teenbeat Recordsの/90sオルタナの「あの音」としか言えない音、そしてRichardとFontaineの掛け合い。最高…。先んじて出ていたEPに収録されていたヘヴィなアレンジの同曲より、もうすこしギターポップなバージョンのこの曲でアルバムは幕をあけ、軽やかなだけど影のあるナンバー「Moon Palace」、ミドルテンポの「University」ときて、前半の山場「Mummified」。オルタナいリフから入り、アームで浮遊感の足されたコードワークが繰り返される長すぎるけど最高なイントロから、絡み合うアルペジオと二人のボーカル、1番と2番でメインが入れ替わるヴァース、そしてブレイクダウンから再度のハーモニーが最高なコーラス、もう完璧じゃないすか…。その後Kindercore的なアコースティックでしみるギターポップナンバー「Nothing but U」があり、最後にチープだけど心地よく終わる…かと思わせて大団円な「Re-animator」で37分のアルバムはあっという間に終わり。最高の活動再開アルバムだった。なんとしても日本でライブやってほしい。& recordsさんあたりやってくれないものか。

6. ザ・なつやすみバンド - Terminal (Self Release?)

2008年結成のギターレスbutスティールパンありな4人組の5作目。今作は「旅行三部作」の1作目に当たるらしい。こういうエバーグリーンポップスなバンドは作品を重ねても変化がないと思われてるんじゃないかと考えてしまうことがあるんだけど、彼らはその点、毎作着実にポップスとしての芯の強さ、演奏技術と音の広がりが向上してるなと聴いていて思えるバンドで、アルバムが出るたびに次はどうなるのかとほんとに楽しみにしている。はたして今作も、大きく音楽性が変わらないにも関わらず、一聴して着実に骨太になっているなという印象を受けた。1曲目「雨」が一番わかりやすいと思うけど、コーラスワークもビートも初期作で感じた不安定さは全然ないし、中盤の展開も普通に考えたらわけわからんのに難なくまとめあげているのは演奏技術と構成力の高さがあってこそ(Aメロに戻る瞬間最高じゃない??)。「水の戦記」「ネバーエンディング通り」もまるでわけわからんのにまるで普通のポップスのように聞かせる豪腕さに惚れる。なんとなくのイメージで聴いていないひともぜひ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?