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「ただいま」が聞こえる場所をつくる

気がつけば学生の頃からずっと、もうひとつの家、みたいな場所を探している。安心できて、外向きの自分から脱皮できる場所。落ち着いて、心穏やかにあたたかい気持ちになれる場所を。

でも、探しても簡単に見つかるものではない。落ち着ける場所なんて、そうそうない。それならば作ってしまおうと思って、『TONJIRU STAND』の活動を個性豊かでチャーミングな方々と始めた。

私がイメージしているのは読むたびに泣く小説の舞台のような場。イメージしているものと、そのイメージにいたった理由を書いていく。

「いい子」でいつづけるのも、楽じゃない

私には「いい子」を演じてしまう癖がある。親に自分のことを誇らしく思ってもらいたいし、学校の先生には気に入っていい成績をつけてもらいたいし、会社でも「任せられる人」と思ってもらいたいから。

「いい子」でいれば、世渡りはたしかにしやすい。でも、時にとても窮屈だ。本当に自分が考えていることとは少しズレた内容を話さないといけなかったり、創りあげた「自分像」から逸脱しそうな行為にはブレーキをかけないといけなかったりもする。

それに、「いい子」を妬む人は一定数いる。中学生ぐらいまでは「先生のお気に入りだから」という理由でイジメられたし、社会人になってからも大人の事情で書き記せない理不尽な目に遭遇した。

「いい子」でいるのも、楽ではない。だけど、今更既存のコミュニティでほかの役割を演じられるほど器用でもない。だから、まっさらな自分でいられる場所がほしいのだ。


『東京すみっこごはん』の登場人物がうらやましかった

小説『東京すみっこごはん』に登場する人々は、学校や家庭、職場の外に息のつける場所を求めて古びた一軒家「すみっこごはん」に集う。

「すみっこごはん」は、その日集まった人の中でクジ引きをし、当たった人が料理をつくって、みんなで「いただきます」から「ごちそうさま」までする場所。その料理は指定のレシピどおりにつくられ、家庭の味に仕上がる。特別凝ったことは何もしていないのに口にすると緊張がほどける、そんな料理ばかりが登場する。

登場する人々は抱えている悩みをポロっとこぼして慰めてもらうこともあるけれど、「すみっこごはん」にいる間は別の自分になったかのように心がスッと軽くなっていることが多い。

料理を核にして人が集まって、調理や食事、会話をするうちにあたたかい気持ちになる。そんな場所が現実にもあればいいのに、少なくとも私にはぜったいに必要だ、と初めて『東京すみっこごはん』を読んだ日から思っていた。

今、この「あったらいいのに」を実現するチャンスを手にしている。豚汁エバンジェリストいわあゆさん発信の想いに共鳴したメンバーで、『TONJIRU STAND』の活動を始めた。

まだまだコミュニティ化できるのか、ゴールまでのプロセスをどう踏んでいくのか、などなど課題は山積み。それでも、豚汁の持つ家庭の味感やほっこり感に可能性を感じて、人が「ただいま」と言いたくなるような場所がつくれるはずだと信じて、活動を続けていく。

▼TONJIRU STANDメンバーのnoteです。想いや雰囲気が伝わってくるはず!






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