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洋服×カレー屋の二刀流!Marching Schoolトークイベントvol.4「〇〇やりたい」は言い続ける【前編】

※トークイベントvol.2、vol.3は、記事制作の都合上、後日配信となります。何卒ご了承ください。

2020年10月に “ 鳥取駅前中心市街地の「新しい暮らし」と「新しい働き方」を実現すること “ を目的として設立されたMarching Blid.(マーチングビル)。
その活動の一環として、鳥取の若手社会人が学んだり、新たな活動のスタートを支援する「オンラインプログラム」を開講しています。
今回は【トークイベントvol.4】として、洋服屋とカレー屋の二刀流で活躍している梶川哲秀さんをゲストに迎え、「やりたいことを言い続けること」の大切さについて伺いました。

はじめに

マーチングビルとは?
株式会社「まるにわ」が鳥取駅前にある遊休不動産、5階建ての空きビルをリノベーションして作ったワーキング・シェアオフィス。
「オンラインとオフラインを掛け合わせたコミュニティづくりをすすめる」という理念の下、オンラインプログラム「マーチングスクール」の運営を行う。
マーチングスクールとは?
「面白い人が集まる場所に面白い街がある」というテーマを設け、月に2回、実践者にお話を聞くトークイベントを開催する他、「自分のきっかけを作り」や「マイプロジェクト」をカタチにする「ワークショップ」を不定期で開催中。

マイプロジェクトの実践例


◆「洋服屋とカレー屋の二刀流」?

梶川:みなさんこんばんは。梶川と申します。洋服屋とカレー屋を一人で二店舗やる、という、なんとも奇想天外なことをやっています。鳥取の宮本武蔵かもしれないです。あまりこういうことに慣れていないので、うまく出来るかどうかわからないですけれど、これから始めさせていただきたいと思います。

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梶川:僕の経歴としてはですね、19歳の頃から地元の洋服屋に入ったんですよね。鳥取生まれ鳥取育ちで、僕は高校中退をしてしまっていて、理由としては「ゲームをやり込んでいて行かなくなった」みたいなロクでもないことなんですけど。前から好きなことしかやれない、みたいな感じのところがありまして、「自分は何をやりたいんだろう」と考えた時に、漠然と「スタイリスト」っていいな、と思って。
みんなが就職したり進学したりするタイミングで、その時は「専門学校とか行って、何かアシスタントに付いたりとかして、スタイリストになるのかな」と思っていたんですけど、まずはとりあえず現場に入ってみてやってみよう、ということで、当時仲の良かった先輩を通じて、服屋さんでアルバイトを始めました。
翌年、当時務めていた方が退職されたのをきっかけに、社員として働くことになって、20歳から新しい店舗を任せていただけるようになりました。
最初は「20代半ばぐらいには独立しようかな」と考えていたんですけど、あんまりお金を貯めていなかったので、資金とか用意できてないし「無理だ」と思いながら、淡々と歳をとって30歳ぐらいになりました。そこで「ヤバイな」と思って、結果的に31歳という時に独立しました。現在は洋服屋として8年目となり、川端の2丁目で店を構えています。
2020年には扇町で「カジカリー」という完全予約制のカレー屋さんをオープンしました。タイムスケジュールとしては、朝の8時前ぐらいからカレーを仕込んで、11時に開店。11時、12時、13時の3部制でお客様をお迎えして、1時間片付けをし、15時から洋服屋になる、という形でやっています。

◆まずは、やってみる。

梶川:ここからは「やりたいことを言い続けるメリット」について、「言い続けることによって自分がどうなったのか」ということを3つにまとめたので、一つずつご説明していきます。

★自分を突き動かす原動力になる
★〇〇に対しての協力者が集まる
★自己ブランディングが確立できる

梶川:そこからさらに項目を7つぐらいに分けると、このようになります。

①気になったら言ってみる。心の声を出してみる。
②人へ言ってみよう。自分と他者に広げてみる。
③大きく動いてみよう
④小さなステップを積み重ねる
⑤強制力を働かせる
⑥周りの認知がモチベーション
⑦長い時間をかけたことは準備になる

①気になったら言ってみる。心の声を出してみる。

梶川:みなさんから「やりたいことがあって羨ましいですね」「やりたいことが見つからないんです」というような悩みとか質問を受けることがあるんですが、僕は気になったらどんなことでも言っていけばいいかな、と思っています。「言うのはタダ」というところなんですけど、自己暗示みたいに、自分がそれをより好きになっていくきっかけにはなると思っています。具体的には、僕の方では2007年頃、洋服屋として務めて5年ぐらい経った25歳ぐらいの頃に、当時独立を考えている中で、「洋服屋として独立するのもいいけど、自分が好きなカレーの店も開業してみたい」ということを意識し始めて、周りに言うことを始めていました。
その頃、初めてイベントに出店したりとかもしましたね。鳥取市内の体育館でバスケットの大会が行われた時に、そこの飲食ブースで出店させていただいたんです。結局これも、心の声を出していったことからチャンスが広がっていったっていうエピソードになるんですけど、そういうようなことが、まず大事なのかなと思っています。
そういう点で、「言ってみる」というのは、誰かに迷惑をかけたりだとか、問題を起こしたりしない限りはいいんじゃないのかな、と思っていますね。
本当に、周りの友人が美味しいお店を教えてくれたりだとか、雑誌を紹介してくれたりだとか、「こういうテレビ放送があるよ」とか。テレビでカレーの特集があると、知人や友人が教えてくれるんです。カレー屋を始める前から「カレーが好き」ということを言っていたので、そういふうに教えてくれる機会が増えたのかな、と思います。

少し話が逸れますが、チャンスって自分が望んでいる時に来ないんですよね。欲しいチャンスがすぐに来るとは限らないので、その機会を増やすためにも、自分の中だけに留めておかずに「人と共有しておく」ということが必要だと思うんですよ。
なので、そのためには「心の声を出してみる」というのが非常に大事だと思っています。

②人へ言ってみよう。自分と他者に広げてみよう。

梶川:25歳ぐらいから、僕は人に「やる」ということを言い続けてきたんですが、声に出すようになって2,3年ぐらいで「梶川はカレーをやりたいらしい」というのが広まっていました。そうなってくると、自分としても行動を起こしていかなきゃいけない。これは、最初に挙げたメリットの「自分を突き動かす原動力になる」というところに結びついてくるんですけれど、「思考」や「行動」というのは、やっぱり因果関係が非常に強いと思うので、言ってみることで思考も変わって、行動も変わって……というところですね。そうなってくると、「言っているのにやってない」というのがすごく恥ずかしいことなってくるので、やらない自分がちょっと嫌になってきたりする。逆に、言ったとおりにやっていけば「自分、やってきてるな」と自己肯定が高まるところはあるので、僕は「人に言ってみる」ということから、自分事にとどまらず、他者を巻き込むようになっていったと思っています。あと、「やりたい」ということに関しては、最初から期限を決めない方がプレッシャーにもならないと思います。最初から「何年後に」とか決めてしまうのも、もちろんすごく良いことなんですけれど、僕自身としては、やりたいことに期限は決めずにやってきました。
ただ、さっきのチャンスの話ではないですけど、チャンスはいつ来るかわからないので、「言ってみて相手を作る」というのは大事かな、と思いました。

③「大きく動いてみる」

梶川:僕の経歴と照らし合わせると、「一週間前に決めて、無計画でスリランカに渡る」というところで、ここは結構ポイントになる部分ですね。
まず「何故スリランカか?」という背景を説明すると、23歳ぐらいの時に「スリランカカレー」に感銘を受けたからなんです。

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梶川:これはスリランカではなく、福岡の「ヌワラエリヤ」というカレー屋さんなんですけども、僕は洋服屋の出張で年に4,5回くらい福岡に行っていたんですが、その際に取引先の専務が連れて行ってくれたカレー屋さんが、スリランカの高原にある紅茶の産地と同じ名前のカレー屋さんでした。

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梶川:この方が、オーナーの前田勝利さんですね。当時27歳か28歳の時に、プライベートで福岡に旅行した際、お話をさせていただく機会があったので、「ここのカレーが好きなので、いつか修行に来させてください」というお願いをしたんです。そうしたら、社交辞令なのか「ああ、いいですよ」と言ってくださったんです。
その時に、前田さんが常連様と柿を食べておられて、尋ねてみたら「お取り寄せをして食べるのが趣味だ」とおっしゃるので、おもしろいな、と思って。僕の友人に「こおげ花御所柿」を作っている「岡崎昭都くん」という面白い奴がいて、「花御所柿、って知ってます?」と尋ねたら、「知ってるけど、まだ食べたことが無い」と言っておられたので、「友人が作っているので、今度送りますよ」と言って、実際に送らせてもらったんですよ。
そこからお礼のお手紙をいただいたりとかして、僕は一応「いつか修行させていただきたい」とお願いをしている身なので、「梶川ってどういう奴だ」というのが、オーナーとしてもまったくわからない状態なんですよね。なので、このきっかけを大事にしていきたいな、と思って、柿はもちろん、梨とかスイカとか、僕の方から毎年何かを送っていました。
オーナーからは手紙が来て、時には「ヌワラエリヤ」で販売しているパックのカレーを送っていただくこともあったりして、そういうやりとりを続けていました。

◆無計画で1週間、スリランカに行ってみた!

梶川:これがスリランカの写真です。本当に無計画で「まずは本場を感じてみよう」と思って、航空券だけ買って行きました。
この時、僕は29歳か30歳のどっちかだったと思うんですけど、服屋の方の独立とカレー屋さんの独立を真剣に悩んでいて、まずは自分の中での「カレー好き度」と、スリランカカレーの本国を見てみて、自分の気持ちを確かめに行った感じはあります。そこで「美味しいカレーを食べさせてくれ!」と現地の人に言いながら、タクシーをチャーターして、運転手さんに街々のカレーを食べさせていただく、という時間を過ごしました。
道中、民宿みたいなところに泊まった先で「カレーの作り方を教えてもらう」という機会があって、その時に作ったカレーがこちらです。

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梶川:突然「泊まらせてください」「カレー教えてください」という、すごい無茶を言って。自分は「カレー屋さんをいつか出したい」という夢を持っているんです、と話したら、その方が本当に親切で、キッチンに招いてくださいました。そこで僕は「動画を撮らせていただきながら、細かいところを質問していく」という形で学ばせていただきました。それが、今でも作るベースになっているんですよね。
僕の中では「スリランカの家庭料理」というような、その「ルーツ的なもの」を知れるきっかけになったので、計画はしていなかったんですけども、非常にありがたい経験をさせていただきました。そんなことを続けながら、何件かお願いをしたり、断られたり、食べたりを繰り返して、1週間ほど滞在しました。
「混ぜて食べる」というのがスリランカカレーの定義でもあるんですが、何故美味しいのか、といえば、恐らくは「ダシ文化」というのが非常に強いのかな、と思います。うまみ成分が強いので、インドの方とかのカレーよりは日本人の舌に合っている、というのがあるのかな。「モルディブフィッシュ」と呼ばれるハガツオの魚粉を使っているんですけども、これ、見ていただいたらわかるとおり、乾物のお魚なんですよね。スリランカは日本と同じ島国で、インド洋に囲まれた海洋国なんです。なので、魚を乾燥させて、それを削り節にしたり、粉にしたりして使用するのが、スリランカカレーの特徴です。

◆日本人で初めてのキッチンスタッフに。

梶川:ここで、話が若干戻るんですけど、「ヌワラエリヤ」というカレー屋さんは、スリランカカレーで「日本で一番古い」と言われているお店で、オープンしてから35年ぐらい経つんですよ。福岡のカレー雑誌だと1番に出てくるようなカレー屋さんなので、すごい名店だと思います。

2014年、スリランカ旅行の翌年に、こちらで修行させていただきました。
この時期に修行に行かせてもらう、というのは決めていなかったんですが、2009年からそれまでずっとやりとりを続けていて、僕が洋服屋として独立するタイミングで、時間に余裕ができたので「あ、今がチャンスだな」と思って。
これもまた突然なんですけど、1週間前に「すみません、以前修行させていただきたいとお願いした、鳥取の梶川ですが……」とオーナーに連絡したら、「ああ、いいよ」と二つ返事で受け入れてくださったんです。これって、実は結構貴重なエピソードなんですよ。

というのも、調理しているのは全員スリランカ出身の方なので、本来「ヌワラエリヤ」では修行を受け付けていないんです。ルーパーさんとか、みなさん日本語はある程度話せるんですけど、「キッチンはスリランカ人」「ホールは日本人」という具合に、住み分けをしているんです。なので、常連として行っている人たちにも不思議がられていたんですよ。
ホールで働いているスタッフさんも、カレー屋になりたくて勤めているのに、教えてもらえないんですよ。それで「なんで梶川さんはキッチンに入っているんですか」と聞かれたんです。僕も働きながら「ああ、これってめちゃめちゃ貴重なんだな」と思っていて、そのスタッフさんには「多分、情熱だと思います」というざっくりな返事をしたんですけど、「オーナーの前田さんに、想いをずっと届けていた」という、縁を大事にしてきた、というところが繋がったんだな、と思っています。ヌワラエリヤは僕の人生を変えるきっかけのお店になったので、前田さんとは今でもやり取りをしています。これは「大きく動く」ということの成果として、今も続けるべきですし、この先も続けていかないといけないな、と思っています。

「スリランカの現地で学んだこと」と「スリランカの方が日本に合わせて作り上げてきた味」を僕自身が咀嚼して「これが一番ベストなんじゃないか」というものを作り上げるというのが、良い形なんじゃないかと思って、せっかく学ばせていただいたことをそのままやるだけでは面白味もないので、自分なりに考えて、工夫してやっているのが、今の「カジカリー」です。

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