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育成のジェフは復活するのか

こちらはジェフユナイテッド市原・千葉のアドベントカレンダー2022(https://adventar.org/calendars/8246)の記事です。

◆ジェフが育てた名選手たち

「育成のジェフ」。
それはジェフに関わる皆の誇りであり、かつては胸を張って堂々と掲げていた看板である。

これまで数多くの名選手がジェフのユニフォームを着て育ち、活躍して様々な分野に旅立っていった。

その象徴的な選手の一人が、ジェフの下部組織(アカデミー)である阿部勇樹。ジェフで育ち、旅立ち、海外クラブやワールドカップでも活躍した選手である。

阿部の他にも、ジェフの下部組織は山口智、村井慎二、酒井友之、山本英臣、佐藤勇人、佐藤寿人、中後雅喜、山岸智、岡本昌弘、工藤浩平、伊藤大介・・・と名だたる名選手たちを育ててきた。

そして、スカウト。特にジェフは大学生の発掘に長けており、その象徴的な存在として巻誠一郎が挙げられるだろう。不器用だった彼も海外移籍やワールドカップを経験した名選手だ。

巻の他にも江尻篤彦、野々村芳和、坂本將貴、羽生直剛、結城耕造。現役ならば大岩一貴、町田也真人、北爪健吾、伊藤槙人など、やはり多くの名選手が大学からジェフを経由して日本サッカー界に貢献している。

◆下部組織の快挙~2年連続複数名昇格~

2022年シーズン、揃って7得点の活躍を見せた櫻川ソロモンと見木友哉。
彼らは共に2020年にジェフとプロ契約。ユース出身と大学出身の3年目にして、すでにチームの主力選手になっている。今のジェフを象徴する選手だ。

ジェフの昇格のために、彼ら二人にはチームを引っ張ってもらう必要があるが、すでに次の芽は蒔かれている。

下部組織から、2年連続で複数名の選手がジェフとプロ契約。
これは1978年生まれの山口智らの代から1981年生まれ阿部勇樹、佐藤勇人、佐藤寿人らの代まで続いた頃以来となる快挙である。

どんなに優秀な指導者を揃えても必ずユースから昇格させる選手がいるとは限らないが、2年連続複数名の昇格者を出すのはアカデミーが組織として機能している証拠だろう。

佐久間太一は今季リーグ戦9試合に出場しており、新明龍太も天皇杯ですでにトップチームデビューを果たしている。

そして、矢口駿太郎は高校生ながらリーグ戦6試合に出場。U-18日本代表にも選出される世代屈指のサイドバックである。同じような触れ込みでジェフに加入した高卒1年目の西久保駿介が27試合に出場したが、矢口にもレギュラーの獲得、そして未来の日本代表を目指して欲しい。

◆U-23日本代表から生え抜きエースと守護神の発掘に成功

下部組織だけでなく、高校・大学から新人選手を獲得してチームの顔に育てていくこと、チームが強くなるために新人選手を積極的に発掘していくスカウト活動は非常に大切なことである。

ジェフは今季の開幕直前に桐蔭横浜大学から篠原友哉を獲得。篠原は大卒ルーキーながら4試合に出場した。さらに今オフはU-23日本代表である将来のエース候補と守護神候補の獲得を発表している。

新潟医療福祉大学の小森飛絢はすでにジェフで2試合に出場。高校時代はインターハイ得点王。大学でも2年連続で北信越大学リーグ得点王を獲得。左右のシュートバリエーションが豊富な得点力特化型ストライカーだ。

一年目からのレギュラー獲得を期待しているが、ジェフは今オフJ2で22得点を記録したこともある呉屋大翔を獲得。こちらも得点能力が持ち味の選手で、小森にとって良いお手本であり手強いライバルになるだろう。

法政大学の近藤壱成は189cmの大型GK。高身長ながらコーチングとビルドアップを武器としていて、シュートストップと1対1の対応は大学トップレベル。今年3月のデンソーカップチャレンジサッカーでは全3試合完封で大会MVPを獲得。

デンソーカップチャレンジサッカーは過去のMVP受賞者が非常に豪華で、昨年は清水エスパルスの山原怜音が受賞。その他の年も守田英正、木本恭生、泉澤仁、山村和也、東口順昭、高崎寛之、岩政大樹、そして羽生直剛。将来の日本代表入りも期待したくなる面々となっている。

近藤壱成はジュビロ磐田の下部組織出身であり、おそらく磐田の新規選手登録禁止処分がなければジェフに来ることはなかったと思われる。
ジェフは長らく生え抜きの守護神が生まれておらず、特に大卒選手では過去にレギュラーを獲得した例がない。前例のない不思議な縁でジェフ加入が決まった近藤壱成にはぜひとも新しいジェフの伝統を作って欲しい。

最後に、未来のエース候補と守護神候補を獲得した今オフのジェフ強化部、ユナイテッドパークなどハード面が充実させてくれたクラブ関係者に心から拍手を送りたい。

◆ジェフの未来は明るい

かつて、ジェフの強化部トップだった神戸清雄は「ジェフがオシム時代に優勝を競えるようになったのは、トップチームが低迷していた90年代末にもユースがしっかり育ったから。あの時を思い出して、やり直さないといけない」と述べた。

トップチームの低迷は現在も続いているが、下部組織の強化は永続的に続く大きなテーマである。そして、それと同じくらいスカウト活動は重要で、「育成のジェフ」の復活には将来性豊かな新人選手の獲得と生え抜き選手としての育成も手段の一つ。

高卒の西久保やブワニカ啓太に加えて、大卒の見木やアカデミー出身の櫻川ソロモンのような成功例をどんどん増やしていくことで、クラブの持続可能な強化を続けて欲しい。

阿部勇樹から櫻川ソロモン、そして新明龍太や矢口駿太郎に。
巻誠一郎から見木友哉、そして小森飛絢や近藤壱成に。
看板選手の系譜が受け継がれ、「育成のジェフ」としてクラブが強くなっていく未来を楽しみに、2023年シーズンの始まりを心待ちにしたい。


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