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vol.0 起業家向けに「学校じゃ教えてもらえなかった文章講座」を始めました。

最近、立て続けにふたりのベンチャー起業家から「自分で情報発信しなければいけないのはわかっているけど、文章を書くのに慣れていないから難しい」という話を聞いた。

なるほどな、と思った。確かに、僕らは子どもの頃から大人になるまで、大人になってからも「文章の書き方」を教わっていない。小中学生時代はよく作文を書かされたけど、どういうふうに書きなさいと技術的な指示をされた記憶はないし、採点の基準もあいまいで、何かのトレーニングになった気がしないよね。

誰もが情報を発信できる=世の中に自分の文章力が晒されるということでもある。文章を書くことに慣れていない人にとっては、なんとなく怖い、面倒くさいことでもあるよな。

何人かの友人から、ある日の出来事をSNSに投稿しようと文章を書き始めたけど、納得いかずに何度も書き直して、最後は面倒になって結局アップしなかったという話を聞いたことがある。

なんでそんなことになるのかと言えば、答えがないからだ。良い文章、悪い文章、面白い文章、つまらない文章、洗練された文章、不細工な文章の基準がない。でも、せっかく投稿するのだからたくさんの人に読んでもらいたいし、あわよくば、いいね!やリツイートもして欲しい。期待とプレッシャーのなかで答えを探して、言葉の森の中に迷い込んでしまう。

ちなみに、24歳からライター、編集者をしている僕も文章の書き方について学んだことはない。ではなぜこの仕事を続けられているのかと聞かれたら、子どもの頃からずーーーっと本を読み続けてきたことと、これまで一緒に仕事をしてきた編集者の指導のおかげだと思う。駆け出しの頃、さじを投げることなく何度も書き直させてくれた編集者には感謝しかない。

図書館で絵本を読み耽る我が娘

冒頭の起業家の話に戻そう。

ベンチャーの起業家が苦痛を感じながらも情報発信する目的は、ファンや共感してくれる人を増やすことだろう。それじゃあ、ファンを作る文章とは? 共感してもらう文章とは? 教えてくれる人はいない。だから「どうしたらいいの?」という悩みを抱えている人も少なくないのかもしれない。

一般人なら、イヤなら無理して書かなきゃいいという話だけど、起業家の場合はそうもいかない。自分がブランドの顔であり、対外的に想いやビジョンを語ることを期待されている。それがファンの獲得にもつながる。文章力に不安があるから書かない、と割り切るのは難しい立場だ。

ひとつのソリューションは、僕らライターや編集を生業としている文章のプロに外注すること。想いを伝えれば、いい感じにプロがまとめてくれる。シンプルだ。でも、なんか違うと思った。起業家が何かを発信したいと思った時、いちいちライターに電話するのは明らかに面倒だし、ライターからしても毎回すぐに対応できるとは限らない。

そもそも、ライターがインタビューし、原稿を書き、提出して修正指示をもらい、それを反映するというのはある程度の時間を要する。その間に、起業家が書き記したいと思った感情は鮮度、温度を失うだろう。先に挙げた友人の話じゃないけど、もう気分じゃないからアップしなくていいや、ということになりかねない。

起業家は、自分の言葉で想いを表現するべきだ。そう思った僕は「ライターが代筆じゃなくて、起業家向けの文章力アップレッスンのような形にしたらニーズありそうな気がする。やるかな」とツイートした。

そうしたらすぐに「教えてください!!!」とコメントがついた。冒頭に記したふたりの起業家のうちのひとり、「ミスターチーズケーキ」の田村浩二さんだった。田村さんはミシュラン星付きレストランの元シェフで、現在は冷凍チーズケーキ通販一本で勝負している稀人だ。

田村さんとは、昨夏に連載したNewsPicksの特集「農業は死なない」で登場してもらったプラネットテーブル元代表の菊池さんの紹介で知り合った。その時にたまたま話題になったのが「情報発信の難しさ」だった。

プラネットテーブル元代表の菊池さん

やろうかな、という自分の書き込みに対して「教えてください」と反応があったのに、やらないわけにはいかない。なかば勢いで、僕は田村さんの文章コンサルをすることになったのであった。

とはいえ、僕にとっても初めての「文章力アップレッスン」。編集者として田村さんが書いた文章に手を入れてより良くすることはできるけど、ぶっちゃけ、本人の文章力アップするためになにをしたらいいのか確信がなかった。でも、せっかく立候補してくれたのだから、しっかり貢献したい。この話が決まってすぐ、僕は「文章」について考え始めた。

vol.1 に続く

「学校じゃ教えてもらえなかった文章講座」に関心がある方がいましたらぜひ連絡ください。→ io.kawauchi@gmail.com

川内イオの仕事情報はこちら→ http://iokawauchi.com/

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