以後

10代の頃、自分のことが嫌いで仕方なかった。
このままでは人生が台無しになってしまうと感じて、20歳の時に「10年かけて自分を好きになる」と誓いを立てた。

そして今、27歳になって、僕は自分のことを好きになった。
正確には、好きとか嫌いとか、大して気にならなくなった。愛せど憎めど他人には成り代われないのだから、好きでいた方が得じゃん、と思っている。

自己嫌悪のぬかるみから抜け出して初めて、僕は自分が認識しているよりずっと、他人に興味がないのだということに気づいた。
もしくは、誰かと親密な関係になることを避けているのかもしれない。自分と他人との間に何層もの壁があって、相手によってその枚数を調節しながら、コミュニケーションをとっている感覚がある。

僕にとって他人は異質な存在であり、どこまで親密であったとしても断片的な理解しかできないと思っている。所詮人と人とは分かり合えないのだと、半ば諦めている節もあるのだろう。

だが、そうやって他者との関わりを閉ざしていては、自分の想像の範疇から出られない。
想像を超える感動は、いつだって外側からやってくる。人と人との関わりを諦めたくない。

自分を好きになった次の目標は「他人を好きになる」ってところだな。
いやまだわからん。保留にしておく。


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