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mar-マール猫エッセイ(64)気のせい


ハルさんは色んなことが気になるし、些細なことで不安になるようです。少し前に「繊細さん」というのが流行って本もたくさん出ていたけど、パラパラと立ち読みしたら、当てはまる気がして、気になって、買わない。

気のせいかな、きっと気のせいに違いない、「気のせい、気のせい」と唱えて、気持ちの切り替えです。

楽観的なくせに、その手前にはめちゃくちゃ悲観的な時間が流れます。無駄に心配しいな飼い主のハルさんです。

春の朝


先日もこんなことがありました。

父上さんが亡くなったときに弟殿と遺産分割協議書なるものを作成、ところが、何故か?そこに印鑑登録してない判子をポチっとな。書類一式を提出し、相続税も無事に納めて、一件落着。

ところが今回、相続登記をするに当たって、遺産分割協議書と印鑑登録した判子が別だということに気づいたのです。

え~、どうして税務署は気づかへんねん!とお役所に八つ当たり。

気づくまでは平和だったのに、一度、知るともう落ち着きません。心のなかは嵐です。

追徴課税かしら、捕まるのかしら、もう一度遺産分割協議書の作り直しかしら、あたしの信頼ガタ落ちやん、とあたふたしています。

そんなん、気のせいですよ。

空気が読めない、他人の気持ちが読めない、目に見えない「気」が読めないと、人間って不安が増えていく生き物のようです。

ぜ~んぶ、気のせいなのにねぇ。

どうしたらいいの!と悶絶している飼い主。明日、電話で確認したらええんちゃうかと、飼い主に勇気と眠気を送り込みます。

翌日、まずは税務署へ電話へ電話です。

「相続税を支払いときに提出した、遺産分割協議書の判子が印鑑登録と違うんですけど」

「あっ、問題ないですよ」

あっさり。次は法務局へ電話です。

「相続登記する準備をしていたら、遺産分割協議書の判子が印鑑登録と違うことに気づいたんですが、どうしたらいいですか?」

「じゃあ、その横に印鑑登録してある判子も捺しといて下さい。訂正の二重線?要りませんよ」

あっさり。

不安や心配事の大半はたいしたことないし、そんなもの気のせいなんやね。て言うかさ、世の中、そんなにいい加減でええんかい!と逆ギレしています。

心配事が1つ解決して、急に調子づいちゃうなんて、単純で能天気な飼い主です。

そうそう!「気のせいかな、気のせいだよ」なんでも気のせいにしちゃえば平気です。

to be continued


「気のせいよ」の一言で春爛漫