見出し画像

「特別展 足柄の仏像」(神奈川県立歴史博物館)に行ってきた

神奈川県立歴史博物館で2023年11月26日(日)まで開催中の、「特別展 足柄の仏像」に行ってきました。


神奈川県内の、足柄という一地域にフォーカスした仏像展ということで、だいぶマニアックではあります。2020年には「相模川流域のみほとけ」展という、同様に神奈川県内の一地域の仏像にフォーカスした展覧会があり、それに続くものです。

「相模川流域のみほとけ」展も、地方の仏像と片付けてはいけないレベルでしたが、今回は行く前に以下の映像を観て、更にレベルが高そうだと期待していました。

そうしたら、個人的には期待を上回る素晴らしさでした。……あ、でもあまりハードルを上げてしまうと、実際に行ったらそれほどでもなかった、と思われてもいけないので、行かれる場合は、あまり期待しすぎずにどうぞ(笑)。


以下、印象に残ったものの感想です。なお写真撮影は禁止ですので、文章のみの解説で失礼いたします。


・坂東とは
最初に印象的だったのが、坂東の説明。足柄峠・碓氷峠の坂より東、という意味だったとは知りませんでした。


・萬巻上人坐像(箱根町・箱根神社)
箱根神社の創建者である、萬巻上人の座像。縦にひびが入ってしまっているのが惜しいですが、それがまた迫力を出している気も。


・女神立像(箱根町・箱根神社)
箱根神社の男神・女神像が複数出ていましたが、この女神立像は左手を上げ、舞っているような姿が印象的でした。神様の動きのある姿を象っているのは、珍しいのではないでしょうか。


・菩薩像頭部(箱根町・興福院)
頭部だけな上、左三分の一くらいが欠けてしまっているのですが、とても良いお顔でした。


・十一面観音懸仏(箱根町・大芝遺跡出土)
小さな懸仏なので、頭上の11のお顔もほぼ線が引かれているだけのような感じでしたが、左手できゅっと瓶を握りしめているところが、可愛らしかったです。


・毘沙門天立像(南足柄市・朝日観音堂)
会場に入り、最初に出迎えてくれたのが、朝日観音堂の毘沙門天立像の1つ、地天女に支えられた兜跋毘沙門天でした。朝日観音堂は脇侍が両方毘沙門天だそうですが、かなり変わっていますよね。朝日観音堂には、脇侍2体とは別に、もう1体毘沙門天立像があったそうで、これまた変わっています。


・地蔵菩薩及び二童子像(南足柄市・弘済寺)
まず赤い顔のお地蔵さんが印象的でした。恐らく朱で塗った上に金泥を塗っていたのに、その金がはがれたため、赤いお顔になったと思われます。
掌善童子、掌悪童子というのは初耳だったのですが、お地蔵さんの脇侍に当たる存在なのですね。

観た時点では、掌善童子、掌悪童子のそれぞれの役割を知らなかったので、完全に見た目の感想ですが、掌善童子の方がちょっと悪そう(と言っても、反抗期の若者くらい)で、掌悪童子の方がすっとした善を思わせるお顔でした。


・十一面観音菩薩立像(松田町・桜観音堂)
今回の展覧会では十一面観音が多数出展されていましたが、ある意味一番インパクトがあったかも。言葉は悪いですが、ちんちくりんでスタイルは良くないのですが、迫力がすごい。頭頂の仏相が、他の十の相に比べて不自然なまでに大きかったのも、印象的でした。


・菩薩遊戯坐像(静岡県小山町・乗光寺)
遊戯坐というだけあり、左手を後方に置き、非常にくつろいだ感じです。こんなにリラックスしたお姿の仏様は、初めて観た気がします。


・土肥実平坐像(湯河原町・城願寺)
なぜか天神像を思わせる姿でした。


・弾誓上人坐像(箱根町・阿弥陀寺)
たんぜい上人、と読むそうです。恐らく修行中のお姿なのでしょうけど、髪と髭が伸び放題で、長髪のロッカーを思わせる感じでした。
弾誓上人とは、このような方です。


・弾誓上人絵詞伝巻下(箱根町・阿弥陀寺)
どの場面かの説明がなかったのが残念なのですが、「髪と髭が伸び放題の弾誓上人がとっつかまって、剃髪されているシーン」に見えてしまいました。でも弾誓上人には後光がさしていたので、すでに阿弥陀仏となっていたのでしょうね。


全体的に、奈良・京都ではあまり見ないような独特の風貌・雰囲気の仏様が多く、興味深かったです。またいずれ、神奈川県内の一地域の仏像にフォーカスした展覧会をやってほしいものです。横須賀あたりが良いかしら。まぁ昨年、横須賀美術館と金沢文庫の「運慶 鎌倉幕府と三浦一族」で結構まとめて観てはいるのですが。


特別展の後、ついふらふらと常設展も観にいってしまいました。もちろん、飛ばした部分も多かったのですが、ここの常設展、意外と見ごたえがあります。まぁ実は複製も多いんですけどね。


印象的だったのは、眞葛焼の超絶技巧ぶり。以下のページの一番下の「輸出工芸と横浜のやきもの」のところに、1枚だけ写真が載っています。


組子三十六卵もすごかった。マトリョーシカのように、というか、この箱根細工をもとにマトリョーシカが生まれたはずですが、ともかく卵の中に卵が入れ子になっているのです。一番小さいのなんて、芥子粒のようです。これまた以下のページの一番下に、写真があります。


常設展を含め、2時間くらい県博に滞在してしまいました。今更のタイミングですが、ここで県博の外観をご紹介。

神奈川県立歴史博物館①

実は昔の横浜正金銀行の建物です。


神奈川県立歴史博物館②


神奈川県立歴史博物館③


ふらふらになり、お昼は青蓮日本大通店へ。


よだれ鶏のランチ(950円)

もうちょっときちんと並べて写真を撮れば良かったのですが、何分空腹だったもので……。ランチのスープがコーンスープというのは、嬉しかったです。普通、もっとあっさりしたスープですよね。
よだれ鶏は、美味しかったですが、たれと胡麻はもっと少なくて良いです。鶏肉が、たれのお風呂に浸かっている感じだったので。家だったら、残ったたれと胡麻をゆで鶏にでもかけたいところですね。でもきっと、流しに流されてしまったのでしょう(環境破壊!)。
ちなみにご飯が山盛りですが、完食しましたよ。


この後、横浜の震災遺構巡りをしましたが、例のごとく長くなったので、別記事にしました。



この記事が参加している募集

最近の学び

記事の内容が、お役に立てれば幸いです。頂いたサポートは、記事を書くための書籍の購入代や映画のチケット代などの軍資金として、ありがたく使わせていただきます。