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こんな娘でごめんなさい

「この風景、覚えておくのよ」

通っていた小学校、買い物をした文具店、住んでいた家の近所の風景。

私の中では、グレーの記憶。

幼い私と弟を連れ、母は育ての親が住む実家に向かった。父と離婚をして。

母親が再婚していたらどうなっていたかな?

父と別れた母には、再婚の予定があった。母は私を祖父母のもとに置いて、可愛がっていた弟だけ連れて行こうとしていた。

ひとかけらのショックもなかった。母は私につらく当たっていて、弟のことは可愛がっていたけれど、私は可愛がられていないって感じていたから。

「こっちだって嫌いだよ」
可愛がってくれる祖母と暮らすほうがいいやと、子供心で単純に思っていた。

でもある時、祖母が言った。

「(再婚)相手が、父親にも捨てられて母親にも捨てられるなんて(私が)かわいそうだって」

それが原因だったかはわからないが、母はその人と再婚しなかった。代わりに父とよりを戻した。

急所を突くのが得意技?

私は子供の頃から、「この人(母親)がクラスメイトだったら、絶対仲良しにはなれない」と思っていた。

わざとやっているとしか思えなかったけれど、人を傷つけて、叩きのめすのが得意。

落ち込んでいる時、慰めたり励ましたりするどころか、さらに落ち込むような言葉を投げつける。

がんばっていることに水を差す。

「何の取柄もない」、「生きている価値がない」、「みっともない」、「みんなに笑われている」e.t.c.

こんなことを言うなんてありえないと思うけれど、ありえない言葉を日常的に放つ人。

私の心は今でも、たぶん傷を負ったまま。

反抗するのなら「ぐれる」という方法があったけれど、冷めた子供だったので「嫌いな人のために、人生を変えるなんて冗談じゃない」と思っていた。私はぐれたくないから、ぐれたりしないと。

平和主義なのか物分かりがいいのか

・生い立ちの事情で、ねじれた性格になってしまったのだろう
・いいところを見るようにしよう

関わらないわけにはいかないから、いいふうに考えようとしてきた。

私は基本的に争いごとが嫌い。相手を責める言葉で、自分が傷ついてしまうから。

だから傷つくような言葉を投げてくる人とは、できる限り関わりたくない。

しかし争いごとが嫌いで、できるだけうまくやっていこうという気持ちが、自分を追い詰めることに。

母には親しい友達もいないし、親せきづきあいもない、弟のお嫁さんとも絶縁状態。

私くらいは……、と気合を入れながら「いい娘」をやってきた。

常に誰かを攻撃している、それがモチベーションになっているかのような人。

昨年、父が亡くなり、攻撃のターゲットが再び私に。

発狂するって、こういうこと

あるとき、言葉をぶつけられていて、「人はこうやって発狂するのかもしれない」という状態を体験した。

頭にカーッと血が上って、我を忘れて叫びだしたいような気持ち。

助けてと思うけれど、誰も助けてくれない。どうにか自分を保った。誰も誉めてくれないから、自分で誉めよう。私、えらい。よくがんばったね。

他人は無責任に「親孝行しなくちゃ」「そんなことで後悔しないの?」という。

すべての家庭が平和なわけじゃない。平和でほのぼのした家庭だったらよかったけれど。

「発狂して、自分の人生を捨てても、いい娘でいるのか」

「自分の人生を生きるのか」

もはや二択だった。

そして私は、「自分の人生をあきらめたくない」と思った。まだなにも成し遂げていない。なぜ自分の人生を捨てなくてはいけないのか。

狂っているわけにはいかない。

消えない罪悪感

責められて自信を叩き潰されてきたせいか、私はなにかの拍子にすごくネガティブになってしまう。

良くないことだと理性ではわかっているに、「私なんて!」の嵐が押し寄せてくる。

傷ついた心が泣いて謝るのだ。

「こんな娘でごめんなさい。自慢の娘になれなくて、なにも取柄がない娘でごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

自分が自分であることに、罪悪感を抱え続けている。

距離を置いて自分を守る

「一緒に暮らしてくれないなんて、なんて冷たい娘なんだ」

と責められ続けている。

同居なんてとんでもない。逃げ場がなくなって、壊れてしまう。

静かに伝えてもわかってもらなかったから、叫ぶように言ってみたけれど、それでもわかってもらえていない。疲れた。

もうわかってもらえなくていい。責め続けていればいい。自分のことばっかり主張していればいい。もう知らない。

親不孝な娘。バチが当たるかもしれないね。

それでも私は自分を捨てたくない。諦めたくない。だから責められても距離を置いて、自分を守るのだ。

心の奥に、「こんな娘でごめんなさい」という消えない罪悪感を抱えながら。

謝辞
書くことにためらいがある内容でしたが、shimakonekoさんのnoteに刺激を受け、書くことにしました。
shimakonekoさん、ありがとうございます<(_ _)>
※shimakonekoさんのnote:https://note.mu/shimakoneko/n/ncb6430ca7a4f

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