Notes#01: after a year in Berlin

ベルリンに来た。約11ヶ月ぶり。
ずっと戻りたいと思っていたはずなのに、いざ降り立ってみると、
驚くほどベルリンはベルリンのままで、私は私のままだった。

同じ季節、違和感のない臭い、変わらない風景、友達との再会、お気に入りのお店。

感情が揺さぶられることもなかった。ただただ当たり前の生活が、一時停止されていた映像が再び再生するような感覚。

少しだけ電車の駅の並び順を忘れていたり、新しいウォールアートが増えていたり、建物が壊されて新しい現場が始まろうとしていたり。着実に時間が過ぎているのは感じているのだけど、途切れていた時間と空間が滑らかにつながり出す。

パリからベルリンにやってくると、そのギャップに驚くことがあるし、
この都市が抱えている歴史をいやでも観察せざるを得ない。
ファシストの台頭、第二次世界大戦後の敗北、分断された悲劇の街、そんな痕跡は街のいたるところに残されて、この都市は歴史のパッチワークみたいだと思う。
過去の歴史以上に、現在のベルリンらしい風景ー例えばナイトカルチャー、スタートアップとヒッピーの精神が結びついたような不思議な場所、無数の廃墟が誰かによってイベントスペースになっていたりーもしっかりとパッチワークの目立つところにある。

建築家やデザイナーのシャープでシンプル、無駄の無いデザインと、ラフで粗雑、DIYで作られた秘密基地のような場所のギャップにいつも驚かされる。

私はこの都市の、住人と都市との関係性がとても好きなのだ。
住人が都市を自分の手で変えていくことができるような空気感、しかもその住人とはドイツ人に限らず、ベルリンに住んでいる者全てに権利がある気がする。

相反する様々なものがが絶妙にバランスされてギリギリのところで成り立っている。違法と合法、トップダウンとボトムアップ、不法占拠とコントロール、ネオナチとリベラル。

さてさて、不思議な街ベルリンで2週間、この街のお客さんではなく住人になるべく足掻きたいと思います。

ご支援は、今後の活動に使わせていただきます。