Mari

フランス在住20年◈街歩きと映画とアート、ときどきコラム🌝

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  • フランスコラム

  • フランスで生きる(私の場合)

    もともと1年のフランス語学留学で帰ってくるつもりが、1年後も日本へ帰ることなくフランスで生きていくことを決めるまで。

最近の記事

フランスでYouTubeを始めました。

タイトル通り、フランスでYouTubeを始めました。 チャンネルの名前は、「ANECDOTE FRANCE」といいます。 ANECDOTEとは、「逸話、逸事、奇談、奇聞、小話など」のこと(辞書より)。 つまりは、ちょっとしたエピソードのことです。短い話だけど「ちょっと聞いてください(見てください)」というような。 このチャンネルでは、フランスでの『旅行や、文化や、ライフスタイル』をエピソードとして、映像でシェアしたいことをアップしようと思っています。 私はフランスのブ

    • フランスの冬は長くてインドア満喫

      フランスの冬の日照時間はとても短く、天気の悪い日は朝の9時ごろになってようやく光が差し、午後4時にはすでに薄暗くなり家の電気をつけないといけなくなる。 毎年、冬になると元気がなくなる人が増えるのもそのためで、先手を打ってビタミンDをサプリで取り入れる人や、光療法でLEDライトの光を浴び、足りない日照時間を機械で補う人もいる。 1月の後半になってから、ようやく少しずつ日が長くなり、日中の気温も少しずつ上がるため、そろそろ冬の終わりが近づいているのを感じる。 それでも11月

      • 心ときめくガラクタの宝庫、ブロカントの魅力

        フランス語の「ブロカント」という言葉には、古道具やガラクタという意味がある。 新品ではない、いつどこで誰がどのように使ってきたかわからない品々。 それらは古物商が街の通りに構えるスタンドで売られていることもあれば、常設の店で売られていることもあり、そういった売り場全体のこともブロカントと呼ぶ。 フランスのブロカントには、ヴィンテージでも、アンティークでも、骨董品でもなく、ブロカントという言葉がしっくり来る。 日本では、フリマやリサイクルショップで売られているものだった

        • いつもと変わらず、これからも大事にしたいこと

          毎年のことながら、年末に「今年一年はこうだった、来年はこうしたい」という考えをうっすらと抱きつつ年を越す。そして年を越した途端、そんな考えはすっかり消え去り、気が付けば新年になって1週間が経ち、「まぁいっか」となってしまうのが私の性格。 新しい年になったからといって劇的に自分が変わるわけでもないし、いつものように時は流れていくのだから、何か目標をかかげるとか気持ちを引き締めるということなどは自分には向いていないと思っている。 向いていないとわかってはいるのだけど、今年はこ

        フランスでYouTubeを始めました。

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        • フランスコラム
          6本
        • フランスで生きる(私の場合)
          4本

        記事

          たとえば自伝があるとして。フランスで終わりかけた章のこと。

          20年前。フランスのブルゴーニュにある国際学生寮の小さな一室で。 1年間の留学を終えた私は、日本から来たときと同じスーツケースに、日本から来たときと同じ荷物を詰め込み、思ったより増えてしまった食器や服をダンボールに入れていた。 入室したときは空っぽだった寮の一部屋はこの1年間で生活感にあふれ、心地いい空間になっていた。 「ここでたくさん泣いたし、たくさん笑ったな」 そう思いながら最後に冷蔵庫の掃除も終えると、入室したときと同じ空っぽな一部屋に戻っていた。鍵をかけて部屋

          たとえば自伝があるとして。フランスで終わりかけた章のこと。

          フランスから日本へ一時帰国するときの必需品

          先日、日本へ帰省してきた。じつに3年半ぶりの。 5週間の一時帰国前にフランスで荷造りをしている時、「日本で調達しよう」と思って持っていかなかったものを、日本に着いてから「やっぱりフランスから持ってくるべきだった」と思い直したものが3つある。 まず基礎化粧品。 私は美容にあまりこだわりがないので、フランスでもあまりたくさんの基礎化粧品を使っていない。「基礎化粧品とはそもそもなんだっけ?」と、私の基礎化粧品という概念と世間のそれとのすり合わせをしてからこの文を書いているくらい

          フランスから日本へ一時帰国するときの必需品

          記憶の片隅にしまっておいた、一生忘れられないFRANCE旅行

          人生で初めて海外旅行をしたときの思い出は、一生忘れられない。 特にそれが、ずっと行ってみたくてしかたのなかった国なら、なおさらだ。未知の世界に飛び込むときに抱いていた期待と希望が、どこか甘くて苦い経験となって帰ってくる。 先日、めったに開かない棚の中にしまっていた箱の中を片づけていたときのこと。20年前にフランスに初めて旅行した時に書いた日記と、その旅行中に撮った写真が数十枚入った小さなアルバムと目が合った。 スマホがなかった時代で、重くて分厚い日記と、撮った写真をすぐ

          記憶の片隅にしまっておいた、一生忘れられないFRANCE旅行

          素晴らしい運命(お題企画「#映画にまつわる思い出」受賞記事)

          2001年に公開されたフランス映画『アメリ』を初めて観たのは、試写会に応募して運よく当たったからだった。当時、好奇心旺盛な大学生だった私は、それまであまり馴染みのなかったフランス映画を好んで観賞するようになり、観るたびにフランス文化の魅力に触れ、映像の中でしか見たことのないフランスに憧れをいだき、しまいにはフランス語を習い始めるまでになっていた。いつか字幕なしでフランス映画を観れるようになりたかった。 フランス映画の中でも特にジャン=ピエール・ジュネ監督が描く独特な世界観に

          素晴らしい運命(お題企画「#映画にまつわる思い出」受賞記事)

          パリの隠れ家的美術館

          フランスに来て好きになったことのひとつに、美術館巡りがあります。 美術については何も知らない素人ですが、だからこそ、知らなかったことを知ることができるという楽しみがあるのです。 私はブルゴーニュに住んでいるのですが、数年前からときどきパリへ行き、1日かけて文字通り美術館巡りをするようになりました。まだまだ無知ながら、行ったことのない美術館へ行っては、まずその建築に見とれ、展示会を見るときには新しい世界へ導かれる気持ちで会場へと入ります。行ったことのある美術館でも、展示が変わ

          パリの隠れ家的美術館

          ゼロから築く

          この記事は、こちら☟のマガジンの続きです。 あの日の朝(上記の記事参照)に声をかけてもらって何人かの日本人と知り合うことができたのをキッカケに、少しずつ少しずつ不安は溶けてゆき、それまで現実逃避したくなっていた意識は「やらなければいけないこと(事務手続きや生活用品の調達)」や「やりたいこと(過ごしやすい部屋にすること、人間関係の構築)」へとシフトしていった。 寮に住む様々な国籍の人たちとも知り合って、お互いに片言なフランス語で会話をする。みんな色々な理由や目的があってここ

          ゼロから築く

          フランスで一歩、外へ出る勇気。

          この記事は、こちら☟のマガジンの続きです。 「電話しなきゃ。」 この年の夏は異常な猛暑で、特に6月中は史上最高気温を記録した日もあったはずなのだけど、記憶の中では冷たい寮の部屋で、呆然としながらも「実家に電話しなきゃ」と思っていた。 携帯電話は日本から持ってきていないので(何日か後に現地で購入した)、寮のどこかにある電話からかけないといけないのだけど、部屋の外へ出るのが怖い。 日本で意気込んでここまで来た勇気はいったいどこへ... どんなに怖くても、部屋から出ないと

          フランスで一歩、外へ出る勇気。

          フランス生活の始まり。1日目の衝撃。

          この記事は、こちら☟のマガジンの続きです。 「忘れもしない、2003年6月30日。 その日から私はフランスに住んでいる。」 前回の記事の冒頭で書いた通りの日、2003年6月30日。 パリからTGV(フランスの新幹線)で1時間と少しかかる町で1年間を「留学」という形で過ごすことに決めた私は、電車の中から景色を見ながら「22時なのにまだうっすらと明るいな」と思ったのを覚えている。 住む町の駅に着いた頃にはもう外は暗くなっていたけれど、滞在する国際学生寮へ行くのに、明るくて

          フランス生活の始まり。1日目の衝撃。

          フランスに行くことを決めた、漠然とした理由。

          忘れもしない、2003年6月30日。 その日から私はフランスに住んでいる。 当時は「1年」の滞在予定が、15年以上経った今でもフランスの地方都市で生活しているなんて、フランスに行くことを決めたときの自分には想像もつかなかったことだけれど、生きていると「何気なく下した決断」がその後の人生を左右することがある。 外国で暮らすというのは、私の人生にとって大きな選択で重大な決心だった。たとえ当時の自分に、その実感がなかったとしても。 あの頃、「フランスに行くことを決めた、漠然と

          フランスに行くことを決めた、漠然とした理由。