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「おひとり様」で日本へ里帰りすること

フランスで結婚して15年、子供も2人いるので、日本へ里帰りといえば家族全員でなるべく行きたい。

子供たちも旦那も日本が大好きだから、日本滞在中はみんないつも楽しそうだし、見ている私も幸せな気持ちになる。

何度も日本へは行っているけれど、彼らにとって見るものすべてが新鮮で、日本という国全体がアミューズメントパークのようなんだと思う。

何度も行きたくなる楽しいところ。そう思ってくれるのはありがたいし、素直に嬉しい。

両親も、めったに会えない孫たちを眺めているだけで幸せそう。子供たちはあまり日本語が話せないけど、お互いに日本語とフランス語を教えあっている姿は微笑ましい。

フランスに住み始めてから、日本へ行くことは私の人生において貴重なイベントになっている。

正社員で働いていたころは休む時期も限られていたから、スケジュール調整もしないといけなくて「いつ行くか、何日間行くか」、常に考えていた。今はフリーランスだから自由だけど。

家族全員で日本へ帰ることの裏側

ただ、みんなが幸せな「家族全員で里帰り」は休みがあるたびにできることじゃない。

たいていは夏。フランスの学校の夏休みは2か月と長いし、旦那も休みを取りやすい。

他の休みも春、秋、冬(年末と2月)に2週間ずつあるけど、2週間の里帰りでは物足りないし子供たちに学校を休ませられない。

夏に1か月~2か月ほど日本にいると、ここ数年は猛暑なので「暑い」という印象ばかりで、外を歩ける時間帯は決まっているし、食べ物も冷たい麺類などが多くなる。プールと実家の往復が続く。それでも、涼しい時間帯に公園へ行ったり、ショッピングをしたり、映画を見に行ったり、、、暑いなりに満喫できることはある。フランスでもできることをしたとしても、子供たちや旦那にとっては日本だと何でも楽しそうだから不満はない。

それでいいのかもしれない。

毎回、夏休みに日本に家族全員で帰れば、みんながみんな幸せだから。

そうやって10年以上、家族を連れて帰っていたのだけど、少しずつ少しずつ「ひとりで日本に帰りたい」と思うようになっていった。

ほんとうの心情

日本語があまり話せない旦那と子供たちと、フランス語が話せない両親の間で私は当然ながら通訳になる。

お互いが直接話したい場合じゃなくても、相手が目の前で言っていることが気になるから「今何て言ってたの?」と聞かれることもあって、状況説明という会話以外の通訳もする。

家族と言っても文化の違いがあるから、両親を困らせていないか、日本の生活に慣れていない子供たちや旦那が快適に暮らしているか、常に気を遣ったりもする。

要はいつも、緊張している。

フランス語と日本語のスイッチの切り替えが秒単位で1日中行われる脳内はパンクするし、文化の違いがストレスになっていないか周りに気を遣うから精神的にも落ち着かない。何かあれば私が解決しないといけないから。

ふつふつと、その緊張が「一人で日本へ帰りたい」という気持ちに変わっていったものの、それを言い出すことができたのは2年前のこと。

前から「一人でも行きたいな」とこぼしてはいたけれど、旦那や子供たちには理解してもらえても、孫たちに会いたい両親には言いづらかった。

わがままとか、母親失格とか、親不孝とか、、、

そう思われるのが怖かった。

でもどうしても、私はひとりで帰ってみたかった。

心身共に、それを欲していた。

念願の「おひとり様日本里帰り」

ついに両親の理解を得て、念願の「おひとり様日本里帰り」が実現したのが2年前。

罪悪感がなかったわけじゃない。

日本が大好きな旦那と子供たちを置いていくこと、孫たちを両親に会わせられないこと。

自分だけが楽しむことへの罪悪感は、正直言って滞在中にずっとあった。

「この景色を見せてあげたかったな」とか「この食べ物好きそうだな」とか「ここで遊びたかっただろうな」とか、フランスの家族を思い出さない瞬間はない。

でも、おひとり様で得たものは同じくらい大きかった。

私の一番好きな季節である秋に帰国して、たった2週間だったけど濃い期間を過ごせて満足だった。

秒単位で1日中通訳することなく、母国語である日本語で日常生活を送って人と話し、家族の好き嫌いを気にせず日本食を食べて、家族が退屈していないかを気にせず友達とゆっくりお茶をして、時間を気にせずショッピングをして、日本語だらけの本屋さんに行って、公園じゃなくて気の向くままに散歩して、、、

家族といてもできたかもしれないことを「一人で」することに意義があった。

つまり、安心と自由が私には必要だった。

わかったこと

どんなにフランス生活に慣れていても、日本文化に対して飢えているんだなと気がついた。

フランスで生きていると何もしていなくても気を張っていて、16年住んでいても外国人である意識はあるし、話す言語は「外国語」モードだ。

どんなに(お世辞でも)「フランス語が上手」と言われたって、日本語を話すときの自然さはない。自然さというのは、特に考えないで感覚で話すということなのだけど。

周りがすべて母国語である安心感は大きい。

それに、フランスに来るまで慣れ親しんだ日本食、風景、全てが癒し。

緊張していると体も硬直するものだけど、日本にいると体がゆるくなるし(リラックスしていると言いたい)、心もほどけていく感じがする。温泉につかっているような。

一人で帰国してみて、逆にふだん自分がフランスでどういう状態なのかがわかったし、フランスにいる間「日本で本当にしたいと思っていたこと」が実際に本当にしたかったことというのがわかったし(わかりにくい...?通じてほしい)、大満足でフランスに戻ってきた。

たまには、ね

もちろん、一人で帰国すると罪悪感との戦いがあるけど、家族の理解を得ることで少し和らぐ。

「行ってきなよ」と言ってくれるフランスの家族。孫に会えないのを寂しがっていた両親も、私がフランスに帰る日には「たまには一人で来るのもいいかもね、みんなで来ると大変だもんね」と言ってくれた。

この時のおひとりさま帰国中は、夕食はほぼ毎日両親と食べることに決めていて、一緒にご飯の支度をしたり片づけをしたり、フランスの家族といるとやることがありすぎて任せてしまっていたことも一緒にできた。それだけで私は嬉しかった。何気ない日常生活を共に送るというのはフランスではできないことで、両親とゆっくり向き合って話せることも貴重だから。

それでも罪悪感がぬぐえないときは、自分で自分をほめることにする。

「遠い国フランスで頑張ってるよ、息抜きしていいよ」

同じ境遇の人でも、一人で帰るなんて理解してもらえないかもしれないし、批判も承知だけど。

それで世界が悲劇に見舞われるわけではないし(急に大げさな例え)、おひとり様もいいですよ、という話でした。

去年は家族を連れて夏に2か月たっぷりと帰ったので、今年は秋におひとり様します!

父が旅行の計画も立ててくれて、弟も一緒に来れるということで、小さいときにしていたみたいな家族旅行ができるのが楽しみです。


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わぁ!どうもありがとうございます(^^♪
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Mari

フランス在住。 大学を卒業後、1年間の留学のつもりがそのまま住み着くことになる。 「日本とフランスを繋げる何かがしたい。」と奮闘する日々。 https://twitter.com/cahierdemari https://instagram.com/cahierdemari

フランスコラム

フランス在住歴15年と少しの私が思うことを書くマガジンです。
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コメント5件

aoさん、コメントありがとうございます♪おひとりさま帰国を支えに、、、ってわかりすぎます!本当に辛かったら日本に帰ればいいけれど、フランスでの生活も好きなのでフランスから離れたいとは必ずしも思っていないから、こういう状態になるんだろうなと思います。どっちもほしいという欲張りです(*´ω`*)これからも頑張りましょうね!コメント嬉しかったです☆
こちらドイツ在住ですが、すっごく共感しました!私の場合、子どもが生まれたばかりでして、次の帰国時は今までのように自由には動けない(=友達と気ままに飲みには行けない…)ので、「思う存分会いたい人に会ったり、やりたいことをやりに帰国できるのは何年後になるのかな」と考えてしまって。そして、「双方の親に孫の顔を見せる」というミッションが追加されるだけで、旅程に頭を悩ませることにもなり。。。赤ちゃんの時期をこえて歩きだしたら、それはそれで大変でしょうし、のんびりお一人様帰国のご褒美は何年後かなぁと考える日々です。
Michikoさん、コメントありがとうございます♬共感していただけて嬉しいです...!ドイツも遠いですよね。あまりストレスを抱えてしまうとMichikoさんも疲れてしまうでしょうし、育児が大変なものと思って楽しめなくなってしまうのは悲しいので、周りに少しずつ本音を話して理解してもらえたらいいなと思います。私はおひとり様で帰国するのに10年ほどかかりましたが、本当はもっと早くできたかもしれないと思います。無理せず、ご自身の気持ちも大切にしてくださいね☆小さいうちはあっというまに過ぎてしまうので、お子様との時間を大切にしつつ、お体に気を付けてがんばってください♪陰ながら応援しております!
Mariさん、ありがとうございます。Mariさんが他のポストで書いてらしたことも共感で、、母国語ではない土地で生活しているとそれだけで無意識に気を張っていて(子どもを連れていると尚更)、背負いこみがちですので、意識して自分に「甘く」いてしまえ、とも思っています。Mariさんのように15年住まいなんて遥か彼方先のことのようですが、少しずつ慣れていければなーと^^
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