#metoo 被害者が非難された国の話

気になったニュース記事を気が向いたら勝手にピックアップするシリーズです。今回はアルジャジーラに出ていた記事、と言うか報道クリップから。

アメリカでは#metooで結構いろんな有名人や有力者が過去の所業を暴かれ、バッタバッタと社会的信用や地位を失いつつある。

一方で、被害者が声をあげてもなかなかムーヴメントは起こらず、逆に被害者叩きが起こっている国があるよ、と言う話。

え、日本?と思えばイタリアの話だった。

セクハラレイプの加害者野郎ハーヴェイ・ワインスタイン。イタリアからも被害者2人が声をあげた。

そのうちの1人が女優、アーシア・アルジェント。父親はイタリアの映画監督ダリオ・アルジェント。ホラー映画の巨匠だとか。

しかし食べ物のことばかり考えている私の中では、アーシア・アルジェントといえば不良シェフにしてライター、旅番組で有名なアンソニー・ボーデインのガールフレンド、として有名。

20年前にワインスタインから襲われたことをニューヨーカーの記事で告白したところ、逆にイタリアのメディアは彼女を非難し始め、いたたまれなくなった彼女はドイツに移り住んだそう。

実際にトークショーに出たアーシアに、自分も合意の上だったのだろう(レイプ被害にあってからも何度か関係があったらしい?)、それに20年も経ってからそれを言うのはおかしい、とまくし立てるトークショーのホストは実際に見ていてちょっと、と言うかかなり怖かった。

リベロと言う新聞が特に被害者叩きの先鋒だったらしく、「最初は自分も女性を武器にしたのではないか。それを後から被害者ヅラをするとは、やってることは売春婦と一緒だろう」と言う論調だったとかで、またそれを憎々しげに、熱く語る編集長の爺さんの姿は、見ていてまるで別世界の人間ーある意味何かの原理主義者のような姿にも見えてきてしまった(記事のリンクにどちらもビデオあり)。

またこういう記事に掲載される被害者の写真が、映画のセクシーなシーンだったりするのも、さもありなんか。

イタリアのメディアは性的被害者を「本当に襲われたイノセントな人」と「自ら進んで被害を受けるようなことをした人」に分けがちだという。

うーん何か聞いたことがある。「そんな格好をしていたから痴漢に遭うんだ」と同じロジックではないか。

イタリアでこういう風潮論調になってしまうのは、結局のところメディア業界の上層部が男性ばかりだからだという。

そしてそういう世界では、例えばニュース番組さえもピタピタレオタードの姉ちゃんがくねくね踊っていたり、おっさんが若いセクシー姉ちゃんをはべらせて出てきたりと、とにかく「男が見たいもの」、「男視点」で番組が作られていく。

(ちなみにこういう姉ちゃんたちはヴェリーナと呼ばれていて、こういうセクシー姉ちゃんを登場させるフォーマットを作ったのはベルルスコーニだとか・・あーこりゃこりゃ)

メインはおっさん、横でただセクシーな格好で微笑むだけの姉ちゃん達。実際にこの姉ちゃん達も、そういう風潮に乗ってかどうか、お尻をフリフリセクシーダンスを踊っているのだよな、とその姿を見ていると複雑な気持ちにもなったのは確かではある。

「女性」を売って社会的経済的アドバンスを受けること。またはそうでもしないと、先に進めないような世界にいること。そうすることで、実際に見返りをくれるものがあること。しかしその結果、何らかの被害を受けることがあること。そしてそれは自業自得だと非難されること。うーむ、うーむ。

どっかで聞いたことがある話に聞こえなくもない。

ちなみにイタリアは西ヨーロッパの中では男女格差が一番大きい国だそうだ。

「そんなことを偉そうに言うけれど、アメリカだって男はスポーツをやるのに女性はチアリーダーと言ってセクシーな格好をして足をあげて踊ったりしてるじゃないか、あれだっておかしいじゃないか」とドヤ顔で反論するイタリアメディアのおっさんのコメントはかなり虚しいなあと思って聞いた。

<ご無沙汰しておりました、普段の日記は別サイトに書いていますが、ここでもまた思いつくままにポロポロ書こうかと思います>

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