場所を作りたい、と思っている。

私はモノに思い入れがあまりないのか、コーヒーを極めたり、お菓子作りを極めたり、そういうことはしたいと思わないけれど、場所がほしい、というのはずっと思っていること。

ホテルで働いていたとき、お客様にかける「いってらっしゃい」「おかえりなさい」、あれが大好きで。「いってきます」「……ただいま？」って笑うお客様を見るのが何より気持ちよかった。この人の1日がもっと良くなるといい、といつも思っていたし、そう自然に思える職場が、そこで働く自分が好きだった。

カフェで働いていた時は、もっと丁寧に淹れた一杯を、お客様が話したいことをぽつりぽつりとつぶやきながら飲む場所であれたら、と思っていた。

こどもたちの放課後の過ごし方も気になる。もっと感情を出す場所を持ってほしい。自宅でも学校でもないけど、安心して気持ちを出せる場所。

5年後の自分、どうなっていたいかなと想像する。

盛岡の、昔ながらの建物を改築して、場所を作って。1階は朝ごはんとコーヒーを用意する。本がたくさんあって。小さな図書館みたいで。

2階には宿泊できるbedroom。旅する人、育児にいっぱいいっぱいになった人、考え事をしたい人。いろんな人が泊まりに来る。

放課後の子どもたちは習い事みたいに、「表現すること」を学びに来る。自分の心の畑を耕す。自分と向き合い、人の価値観を知る時間。写真を撮ったり、話を聴いたり、それについて考えたり。勉強でも運動でもなく、掘り下げるような時間を子ども達はここで過ごす。旅の人と会話するのも、ぐっと世界が広がるだろうな。

たくさんの人に「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」を伝えられる場所。

さいしょはぼんやりと「あったらいいなぁ」だったんだけど、新潟のnariへ泊まりに行った時くらいから絵がはっきりとしてきた。

いまは前より強く「あったらいいな！」と思っている。

少しずつ歯車は動いているように思うから、わたしがその歯車を止めてしまうことをできるだけ減らしていけばいい。

現実は良くも悪くも、私が想像できる範囲なんてぽーんっと超えてくるから。両手を開いて、準備万端でやれることをやっていこう。