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二十歳最後の大冒険。#1 成田-パリ、フランスの洗礼?

"Bonjour!" 飛行機に乗り込む瞬間、そう微笑んでくれたCAさんに固まってしまって言葉が返せなかった。たしか幼稚園ぐらいの頃から知ってる挨拶なのに。現地で少しでも話さないと!とフランス語を勉強したのに。こんな挨拶すら出てこないなんて…初っ端から頭を叩かれた気持ちだった。海外とはきっとそういうことなのだ。

海外に行くのは人生2回目、高校の時のカリフォルニアでのワイン研修以来である。あのときは友達も一緒だったし、英語も話せたからよかった。
ワインの勉強が目的であることは同じとはいえ今回は一人でフランスに向かうのである、話が違う。尾を引くコロナでガラガラの成田空港を歩くと不安が増し、昨日までは平気だったのに離陸の瞬間には涙ぐんでしまった。帰国するのであろう隣の青年に見られていないことを願う。


これは普通のことなのかよくわからないが、飛行機に乗った瞬間からもはや完全にフランスだった。エールフランスの便だったというのもあるが、CAさんの挨拶にはじまり、隣も周りもほぼフランスのお客さん。日本人はざっと見る限り2-3割ほどしかいない。突然始まってしまったフランスに心の準備ができていない。


シャンパンでも頼んでみたかったが、緊張の中頼めたのはオレンジジュース。私の食後のコーヒーは忘れられてしまったらしい。

とんでもなく長かった今回のフライト。ロシアを迂回する北極ルートで、15時間…


空港についてからもフランスだ!などと浮かれている余裕はない。事前学習によるとスリが多いらしいし、慣れた雰囲気を装わないといけない。ただそんな気合は一瞬で打ち砕かれることとなった。
ターミナルから出口に向かうのに電車に乗ることにびっくりして、優しい黒人の兄さんたちがこっちだよと教えてくれてたのにそれにもびっくりしてスルー。30分歩き回って見つけたホテル行きのバスもビジュアルにびっくりして乗り逃す。一息つくか…とカフェモカ買ったはずが濃いコーヒーがでてくる。パン屋では注文がなかなか通じず睨まれる。今度こそとバスに乗ろうとしたら、ホテル名も英語も通じず焦る焦る…

自販機で買ったコーヒー。クレカタッチ決済ができて驚き

結局空港近くのホテルについたのは着陸から約二時間後。喰らったパンチが多すぎて傷心の中、英語の上手なフロントのお兄さんに涙しそうだった。
近くのスーパーを教えてもらい外に出ると予想外の景色が広がっていた。夜8時を回っているのに昼の明るさ。少し歩くと…街がすでにめっちゃくちゃ可愛い。

クリーム色の壁に紅色のドア、青い屋根。咲き乱れるピンク色の小花。塗り絵で生み出そうとしていた景色が眼の前に広がっていた。
これから建物の可愛い街を巡ろうとしているのにもう満足してしまいそうなぐらい。まだまだ郊外なのにこんな景色が見られるなんて、フランスは素敵な場所に違いない。

何度も肝を冷やし、異国の洗礼を受けた初日。空港ですでにパニックだったのにTGVで地方をガンガン巡る旅程を立ててあり、どうなることかという恐ろしさのほうがこの時点では勝っていた。
ちなみに初日一番嬉しかったことは、飛行機で夜食にもらったブルターニュ産のクッキーが感動するおいしさだったこと。この洗礼のおかげで、私はスーパーで箱買いしたクッキーをフランス滞在中食べ続けることになる。


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