#160 備忘録:音楽と男たち④


とりあえずシリーズで書いてみる。

過去作はこちら。

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恋愛は父親との関係が大きく影響していると
感じ、気づきを得た出来事だった。

Sと出会ったのは、大学3年生の春だった。
彼とはクローズドの就活コミュニティで知り合った。

ひと目見たときから、心がこの人だって訴えていたから、彼と連絡をとるようになった。それから電話したりLINEしたりして、仲良くなった。

彼は1つ年下で、国立大学の社会学部にいた。話すことが同世代の男の子たちと違っていて、ふわついていなくて、話していて一緒にいて楽しかった。

その頃、私は父親との関係が良くなかった。 
もう少し前から良くなかったかもしれないけど 
高校生から大学生にかけてが1番酷かったと思う。

何かあるごとに怒鳴られたり怖い思いをした。
その度に泣いて誰かに助けを求めていた。
私は父親に愛されていないのではないかと
だんだん思うようになってきた。
私は愛されていない人間なのでは、と。
そういう思いが蓄積されていって
潜在意識の中に刷り込まれていたのかもしれない。
(だから、恋愛も上手くいかないことが多かった)

今になって違う視点から見たら、
父親もストレスが相当溜まっていたんだと思う。
愛されていないわけじゃないというのは分かっているし
理解しているけど、でもしんどかった。
もっと違ったコミュニケーションがあったのではと
ずっと思ってる。

もっと優しくされたかったし、
もっとちゃんと愛されたかった。
真っ当に人のことを愛して愛されることを知った今
さらに許せないなと憤りを感じる。

父親からの過度な期待と過度な叱咤激励に
中学生の時に、3年間耐えて、望む環境を手に入れても、
コミュニケーションの方法はさほど変わらなかった。

勿論、父親がいたことで頑張れたことは沢山あったし
それは本当に感謝してるし
私の大好きな音楽だって、映画だって
教えてくれた人だから、
無碍に私も愛していない、なんて言えない。
でも相当神経をすり減らして抑圧しながら生きていたと思う。

でも、神様はいてくれて、助けてくれて話を聴いてくれる人はいた。Sが夜通し電話で、声にならない気持ちと感情と泣き声を聴いてくれた。付き合っていた期間は、ずっと支えてくれていたと思う。

そんな状況だったから、精神的にも不安定で
本当はボロボロに傷ついた状態で
自分のことを自分で満たすことさえも意識を向けられずに、
人の期待に答え続けて、条件付きの愛を求めていった。

すると、だんだん心が正常に機能しなくなっていって
涙が止まらなくなった日があった。
何もできなくなって、動けなくなった。

泣きながらSに相談すると
もっと心に従って生きてみてほしい
と言われた。
言われた時は全然分からなかった。
今までやってきたことは
本当にやりたい事だったのか
分からなくなってしまった。

それから私は活動していた全てのことを辞めて
半年くらいずっと低空飛行で生き続けた。
ひらすら好きなことをして遊んだりしていた。

途中で、案の定、Sの裏切りに気づいてしまって
また同じことを繰り返してしまったと悟った。
でもそれでも相手に好かれたくて
1か月くらい相手との関係を続けていたけど
私の心がまた、無理、と言うようになって
彼とは別れることを決めた。

また過去と同じことの繰り返しをやっている自分に気づいて
自分に目を向けることを始めた。

自分と向き合うって、本当に辛かった。

自分の良いところも悪いところも見ることは
なかなか出来ないことが多かったけど
就活という向き合わざるを得ない環境と制限時間の中で
2ヶ月くらい泣きながら、過ごして
家族との関係を見直し始めた。

自分が変わると、周りも変わるというのは
本当だと実感した日々だった。

自分の言葉かけ1つ、行動1つ、態度1つ、
それぞれが全て重なり合って
今までよりも関係性が良くなっていった。
心も安定したし、自分は愛されいる訳ではなかったと
少しずつ過去を書き換えることができた時間だった。

全部自分次第で人生は変えられるし
変えるためには行動しないといけない。

でももっと大事なのは、自分の心の声を聴くこと。
心の声に従って、止まってもいいし、動いても良い。
それが自分を愛するということだから。

Sはそのことを私に教えに来てくれたんだと思う。

君が、心を教えてくれたんだね。

END





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