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「あの人は仕事ができない」という陰口のウソ

会社では陰口が付き物


多種多様な人間が集まる会社という場所には、人の陰口が付き物です。

もし、あなたが会社員として働いたことがあるのであれば、一度は、陰口を言っている場面に遭遇したり、あるいは、あなた自身が陰口を発したことがあるかもしれません。

もし、あなたが陰口を言われている人のことを嫌っていたとしたら、自分もその陰口に加わりたくなるでしょう。

あるいは、陰口を言われている人に対して何の悪い感情を抱いてなくても、自然と影響されてしまって、陰口の対象者と後に接したときに思わず粗探しをしている自分を発見することがあるかもしれません。

それほどまでに、陰口というのは非常にネガティブなパワーを秘めています。

ですので、もし周囲に陰口を言う人が居たら、すぐさまその場を離れることをお勧めします。

私もサラリーマンとして会社で働いていたときは、いつも必ず誰かしら陰口を言う人が居たものです。

まず、新卒で入った製造メーカーでは、周囲の同僚たちはいつもその場に居ない人の陰口を言って楽しんでいました。

最初に配属された研究開発部門には20代~30代前半の若い男性が多いので、私は、「みんな若いから不安なんだろうなあ。」と思って聞いていました。

しかし、部署が変わって40代~50代の方々が多い職場に異動したときも、同じかそれ以上に他人の陰口が盛んに行われていました。

その後何度か転職をしたのですが、どこの会社に行っても陰口を言っている場面に遭遇し、
「人間である以上、他人の陰口を言ってしまうのは仕方のないことなのだな。」
と、妙に納得し自分自身に言い聞かせていました。


驚いたことに、陰口を言うのは、若い社員よりも管理職などのある程度年齢を重ねた大人たちの方が多い、ということでした。

ドイツ系の医療機器メーカーに勤めていたときに一時期私の上司になった方は、とにかくいつも誰かの悪口を言っていました。

また、その方が送ってくるメールは、いつも独特の怒りのオーラというかエネルギーのようなものを放っていました。

たしかに、その方は一目見ただけで、心に「怒り」の感情を抱えており、それが抑圧できないほどになって周囲の誰の目から見ても明らかに怒っているのが分かってしまうような状態でした。

周囲の同僚たちは見て見ぬふりをしており、私もあまり関わりたくなかったので、同じように見て見ぬふりをしていたのですが、私の元上司のことをいつも悪く言うようになると、変に正義感みたいなものを感じてしまい、人事部とアメリカにある親会社にホットラインで通報したことがあります。

当然、犯人は誰だ、という騒ぎになり、人事部長が社員一人一人からヒアリングしに東京本社からやって来たときに、堂々と「はい、私が通報しました」と言ってしまいました。
(最初から人事部長に言いなさい、というはなしですよね・・)

そして、その上司は、人事部長から注意されることになり、なぜ陰口を言うようになったのかの理由については、
「仕事のストレスが溜まってて・・」
とのことでした。
(そして、その後、その上司から陰湿な嫌がらせを受けるようになったのは言うまでもありません。)


陰口でよく言われることとは?


このように、サラリーマン時代は、嫌というほど陰口を耳にしてきたのですが、陰口で言われる内容で一番多かったのが、
「あの人は〇〇で、仕事ができないんだよ。」
といった感じのものでした。

これは、裏を返すと、
「私は仕事ができるのだ。」
と比較し、宣言しているようなもので、聞いているこっちが恥ずかしくなることがよくありました。

仕事ができる、というのは素晴らしいことです。
ただ、誰か他の人を蹴落として相対的に「自分は仕事ができる」と思い込むことは全く違ったことです。

陰口において「〇〇さんは仕事ができない」と言う人の心理とは、
仕事ができない(と思い込んでいる)自分自身に対する劣等感、
です。
もっと言うと、自分自身に対する怒りや悲しみです。

まず、「〇〇さんは仕事ができない」と陰口を言っている人の頭の中には、「仕事ができる」基準となるものが存在します。
そして、その「基準」に達していない自分は「ダメな人間だ」、という劣等感や無価値観が隠されています。

その劣等感や無価値観は、「自身に対する怒り」を生じさせます。

その「自身に対する怒り」は、周囲の人々の上に映し出されて見えるようになります。
フロイトの防衛機制の一つである「投影」にあたる精神衝動です。

このとき、恰好の「攻撃対象」は、自分より格下で仕事ができないはずだ、と思っている自分の部下になる場合がよくあります。

上で挙げた、かつての私の上司がまさしくそれに当たります。


陰口を言われていると気付いたら


もし、あなたが職場で陰口を言われていることを知ってしまった場合、どう対処すれば良いでしょうか?

例えば、あなたが居ないところで、あなたのことを
「彼/彼女は仕事ができない」
と言われていることに気付いたとしましょう。

そのことを知った時はまず大きなショックを受けるはずです。
単なる陰口だからと言ってそのまま受け流すことができれば良いのですが、普通はなかなかそう理想的にはいかないですよね。

特に、自分はがんばって成果を出している、という自負が強ければ強いほど受けるショックは大きいです。

最初は、精神的にショックを受けてひどく落ち込むと思います。
そして、ネガティブな感情で頭がいっぱいになることでしょう。

その場合、まずは、下の記事で書いたように、生じてきたネガティブな感情を素直に受け止めて感じてあげるようにしてください。

それと同時に、陰口の本質を理解しましょう。

上で述べましたように、他人のことを「仕事ができない」と陰口を言う人というのは、自分自身が仕事ができないダメな人間だ、という自己否定感に苦しんでいる、ということを理解してあげましょう。

最初は、自分が陰口を言われているということに対する怒りや悲しみの感情で許せないかもしれません。

でも、それはそれで極めて自然な反応ですから、自分を責めないようにしてください。

そして、心に余裕が生まれてきたら、
「あの人はあの人で苦しんでいて大変なんだなあ。」
と労いの気持ちを持つようにしてみましょう。

このような出来事はとても辛いことですが、相手の苦しみを想像して労いの気持ちをもつことができれば、あなたはますます寛容な心をもった人間になっていくことができるでしょう。

そして、実は、このこと自体が、私たち一人一人の本心本音の部分で求めていることなのです。



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