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サンフランシスコで話題の大人の学びの場「General Assembly」で感じたこと

「リカレント教育」を研究しているので「大人の学びの場」の新トレンドが常に気になっています。そんな中、アメリカで話題の大人の学びの場、「General Assembly」に潜入する機会を得ました!そこで見つけたこと、考えたことをご紹介します。

1: 社会のSkill Gapを解決するために作られた大人の学びの場General Assembly

General Assemblyは2011年にJake Schwartz氏によって創設された教育機関です。彼らのWebサイトによると「Transforming Careers and Teams Across the Globe Through Premier Tech Education(世界中の働く人のキャリアやチームの力を優れたテクノロジー教育の力で変革する)」をコンセプトとしています。(参照:https://generalassemb.ly/press)

他の教育機関とも共通していますが、彼らが提供する教育コンテンツは「業界から求められて」おり、かつ「スキルを持つ人材が不足している」領域、つまりData, Design, Business,そしてTechnology領域が中心です。OnlineとOn Campusの両方で教育を提供、キャンパスはアメリカを中心に20都市でキャンパスを解説、アジアはシンガポールにキャンパスがあります。

2: "Women in Tech Breakfast"で考えた「何を学ぶか」よりも大切なこと

今回、私が潜入したのはGeneral Assembly San Fransisco. サンフランシスコの中心にほど近い、Financial Districtの中にあります。

General Assemblyに潜入できたのは“Women in Tech Breakfast”に参加したから。受講生以外も参加可能なオープンなイベントは、この日だけでなく数多く行われている模様です。

美味しいベーグルはサンフランシスコ市内でも見かけたNOAH’S BAGLE。

ちなみに、受講生同士のコミュニティ形成を推し進める受講生対象のイベントも数多く企画されている模様。「Karaoke Night」の文字も!

当日、8:30からという早朝からの開催にも関わらず、2-30人ほどの参加者が集まっていました。ちなみに、参加者の9割は女性。
当日は、実際にTech業界で活躍する女性4人がパネリストとして参加、モデレーターのリードの元、活発な議論が行われてました。

当初、General Assemblyという教育機関での開催で、テーマが「Women in Tech」なので、「女性のキャリアデベロップメント」とか、「Technologyの中で女性が身につけておくべき必要なスキル」の話題が続くのかな・・・と思って参加しました。参加してびっくり、そういう話題は全く出ず。これは驚きでした。

キャリアやスキルの話が出ないのであれば何の話が出ていたのか。主に話題になったのは、女性が社会の中でキャリアを重ねていく上で直面する社会課題についてでした。Unconscious bias(意識しないうちに押し付けてしまっているバイアス)、micro agression(パワハラ・セクハラと言えるような 明らかな攻撃ではないものの、積み重なる小さい攻撃)imposter syndrome(自分の内面での達成を認めてあげられないこと)などのテーマが次々にが話題に上がり、その中で自分をエンパワーしていくために、個人はどういうマインドセットを持っておくべきか、そして社会はどうあるべきかという議論が活発に交わされました。


3: General Assemblyで見た「学ぶ場づくり」

イベントの後はGeneral Assemblyのキャンパスの中をこっそり探検。
全体はこんな感じです。

サンフランシスコ、ベイエリアのアイコン的な人のイラストが描かれています。私が訪れた時には、3-4個の講義が実施中でした。何か特別な教授スタイルをとっているのかな、と想像してましたが、先生が前に立ち、生徒がそれを聞くといういわゆる「レクチャースタイル」の授業が多かった印象です。

広めに取られている自習スペースが印象的。
共有スペースが多く取られていて、複数の学生がグループディスカッションをしていました。

General AssemblyのコースはOnlineとOn Campusの両方で提供されています。場所・時間にとらわれずに学べるオンラインコースの方がメインになってくるのではとよそうしていましたが、共有スペースで熱心に議論を戦わせる生徒の様子を見ていると「学びの「場」」をリアルにもつ意味は予想以上に大きいのかも、と感じさせられました。(おそらくその効果を十分わかった上で、私が参加したWomen in TechイベントやKaraoke Nightも企画されているのでしょう。)
広さはそれほどでもないけど、作り込まれたGeneral Assemblyのキャンパスに、リアルな「学びの場」を持つことの意味を改めて考えさせられました。

まとめ:教育機関が果たす「社会課題に目を向ける機会」の可能性

General Assemblyに実際に行ってみて、やはり「Women in Tech Breakfast」での議論が印象に残っています。
たまたまこの回が社会課題に関する議論だっただけかもしれないけど、General Assemblyがやっているイベントがスキルやキャリアではなく、社会課題そのものにフォーカスする機会になっていることが新鮮でした。
リカレント教育について考えるとき、つい「何を勉強するべきか」、「どんなスキルを身につけたらキャリアに役立つか」という点から考えてしまいがちです。ですが、その前に「今、社会にはどんな解決すべきか」、「そのために自分は何ができるか」というところから考える、そのために必要なスキルを身につける、というのは理想的な流れなのではないか、と感じさせられました。


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