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一般ユーザーが作ったARをInstagramで公開可能に: ユーザーが発揮するクリエイティビティが拡大する?

昨日ネットサーフィンをしていて、気になった記事。「FacebookのSpark ARで制作したAR、Instagramを通じて誰でも発表、シェアができるように」と言うもの。

ふと目にしたのですが、以下の3つの意味で気になりました。
1. ARがマーケティング用途でますます活用されるであろうということ
2. 一般の人がCreativityを発揮できる場が拡大しているということ言うこと
3. 将来、人間はもっといろんなCreativityを発揮する可能性があると言うこと

ということで、書いてみます。

FacebookのSpart AR Platformとは?

今回、Instagramで公開できるようになったのは、FacebookのSpark AR Platformで制作されたもの。Spark AR Platformとは何か。これです。

サイトのトップには、"From inspiration to Instagram. Now anyone can design, build and share an AR experience – all from Spark AR Studio. (あなたのインスピレーションをInstagramに、Spark AR Studioがあれば誰でもARをデザイン、構築、そしてシェアできる)とあります。
「誰にも」の看板にたがわず、コーディング知識がなくてもARを構築するための仕組み、そして詳細なチュートリアルが用意されています。例えばこれは、動作追随のARを構築するためのチュートリアル。

かなり細かいステップまでフォローしてくれていることがわかります。未体験ですが、これはどこかで一回やって見なければ・・・。

ここでつくったARを、Instagramを通じて公開できる、と言うのが冒頭のニュースの内容。この記事でも詳しく触れられています。

お気に入りのエフェクトを保存できる機能の新規追加、欲しいエフェクトを探すためのタグ導入など、Instagram側のアップデートも紹介されています。

拡大が予測されるARのマーケティング活用

すでにたくさんのブランドが、ARをマーケティングに活用しています。多いものはInstagram上でARフィルタを配布し、ブランドへのエンゲージメントを高めることを狙うというもの。

この記事にブランドの活用事例がまとまってます。Adidas、Kylie Cosmetics(コスメ)Gucciなどが並んでいます。日本のブランドでもあるかどうかも探して見たのですが、まだ事例が少ないのかあまり記事などが見つからず・・・・。

ここまではブランド側がARフィルタを提供する、という手法にとどまっていましたが、一般ユーザーでもARを作って公開できるとなると、いわゆるUGC (User Generated Content)としてのARをどうマーケティング、ブランディングに生かすのか、という視線も生まれてくるのではないか、そうすると活用の仕方が一気に拡大するなと思うんですね。

一般の人がCreativityを発揮できる場が拡大

上記のように、ARがUGCになる可能性に思い至ると、UGCというものが拡大していくのを感じます。私は大学生の頃当時ソーシャルネットワーキングサイトの走りだったGREE(GREEは昔はゲームの会社ではなくSNSだったのですよ)やmixiに、紙の日記に書くレベルの個人情報満載な日記を書き連ねていた世代ですが、その時から15年くらい経ちました。結構最近まで、UGCといえば長らく「テキスト」と「写真」そして「映像」だったと思うんですね。(写真がUGCとして力を持ち始めたのはiPhoneが出てから、映像はYoutubeとともに、かなと思うのですが)それが、ここ数年一気に拡大、そして簡易化してきていると感じます。

例えば、映像でのクリエイティビティ発揮を支援する「Totte(トッテ)」。撮影機材のシェアや保険制度、クリエイターのコミュニティを支援しています。機材、というのはクオリティ高い映像や写真撮影をする上でネックだと思いますが、そこを解決するソリューションが出てきつつあります。

上記のSpart AR Platformについても、今までエンジニア以外には手の出しづらかったARという表現方法を一般ユーザーに解放するものだなと。

また、クリエイティビティの発揮の仕方も拡大しているのではないかと感じます。「自分で作ったものを誰でも公開できる、そして誰かに使ってもらえる」というのは、(LINEのスタンプでは同じようなことがすでに起きていますが)従来「見てもらう(View)」が一般的だったあり方と比較すると「自分のクリエイティブを使ってもらう」という新しい体験なのではないかと。誰もがクリエイターになれるツール、そして公開、活用促進の場を提供する、というのが今のトレンドになりつつあるのではないかと感じました。

将来、人間はどんなクリエイティビティを発揮するのか

上に挙げたように、今はテキスト、写真、映像、ARというように、基本的には「美術館に飾ってある系のアート」方面のクリエイティビティを発揮するツールやソリューションがどんどん出てきています。
ここからは完全に私の妄想なんですが、この流れが今後、美術館ではなく、「劇場で体験する系のアート」、つまりパフォーミングアーツの方にも拡大していったら、すごく面白いんじゃないかと思っています。
すでにニコニコ動画やYoutubeには「歌ってみた」とか「全力で踊ってみた」といったパフォーマンス系のUGCがありますけど、上記の写真、テキストなどと比較すると世に出回っている数としても、作っている人の数としても非常に少ないと思うんですね。そこがもっと拡大していくと面白いなと・・・・。

そう思う背景には、個人的なパフォーミングアーツの成り立ちへの興味があります。例えば、先日能楽師の方とお話しをする機会があったのですが、「昔は、ある程度偉くなる人は「唄いくらいできないと」と言われていたので能をお稽古して、各種宴会の時には披露する、というようなサイクルがあった。今はそのサイクルが途切れてしまっていて、能を稽古する人も減ってきている。」という危機感を持たれてました。

また、日本はバレエを学ぶ人が約36万人*おり、バレエ人口でいえば世界でもトップクラス。一方でバレエで生計を立てられる環境がないため、若年層バレエダンサーの海外流出が続いています。

こちらのサイトでは世界各国で活躍するバレエダンサーの豊富なインタビューで構成されていますが、「海外を活拠点にする理由」として、ほぼ全てのダンサーが「バレエだけで生活ができるから」と答えています。

もちろん、能をお稽古する人が減る、パフォーミングアーツで生活できない、ということが悪いことでは必ずしもありません。でも、もっと気軽にパフォーミングアーツをやって、それを披露したり、それで誰かの役に立ったり、ということができる社会になったら、すごくいいんじゃないかと。

そのために必要なことはどんなソリューションなのか、今後も妄想を続けたいなと思います。

*参考資料:日本のバレエ教育環境の実態分析


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