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【小休止3】文章がうまくなる推敲方法

さまざまなジャンルの文章に、自分なりの赤ペンを入れていく企画です。マガジンの詳細については【はじめに】をお読みください。

気が付けばこの赤ペン教室、なんと15回も書いてきました。この企画を続けてこられたのは、お題にお付き合いくださった方や読んでくださった皆さんのおかげです。

今回は小休止ということで、推敲について書いてみたいと思います。
推敲とは、一度書いた文章を読み直しながら手直ししていく作業です。これがとっても大事!
私はライターとして最低でも月に10本以上は記事を書いているのですが、まっさらなワードに文章を書く時間は、実際にはわずかで、推敲にかける時間のほうが長いです。

以下、私が考える推敲のポイントです。

【ポイント1】不要な文章を削る

よく言われるのが、倍の分量を書いて削ると不要な表現がなくなり、いい文章になるということ。
私がよく書いているビジネス記事だと、1本3000字~5000字のものが多く、さすがに倍は書きませんが、いつも1000字くらいは多く書いて削っています。
イメージが湧きやすいように伝えると、3000字だとワードで3~4ページ分くらい。4000字だと5枚くらいになります。

ここは蛇足だな、なくても伝わるな、という言葉・文章をどんどん削っていくことで本当に伝えたいことだけが残り、文章がシャープになります。

【ポイント2】プリントアウトして読む

これは赤ペン教室の中でもお伝えしましたが、本気で完成度の高い文章に仕上げようと思ったら、絶対に出力して読み込むことをお勧めします。私は1000字以上の原稿はほぼ100%出力しますし、仕事ではないブログやnoteも必ず出力して読みます。
画面校正より確実に誤字脱字を拾えますし、何より客観的に読むことができます。

さらに、これも以前お伝えしましたが、できるだけ下原稿を書いたら一晩寝かせて、翌日仕上げるようにしています。〆切の前日には必ず着手が必要になりますが、時間を置くことで、一旦忘れて読者として客観的に読めるからです。

非効率だと思われるかもしれませんし、そこまでの文章をイマドキ求めていないよと思われるかもしれませんが、私はこの作業をとても大事にしています。

どんな仕事でも同じだと思いますが、
・納期を守る
・約束を守る
・品質を守る

これを大事に守り続けていけば、プロとしてライターを続けていけるのではないかと信じています。

文章を職業にしていない方でも、ぜひnoteやメールの文章を一度プリントアウトして読んでみてください。画面校正では気づけないような発見があるはずです!

ライターはどうやって推敲しているか

以前、ライターの武田砂鉄さんの講演を聞いたときに、新卒で河出書房新社に入社して最初の訓練は、テープ起こしを綺麗な文章に直す作業だったとおっしゃっていて、なるほどな、と思いました。

これは私のやり方ですが、取材に行き、その録音した内容をざざざっとテープ起こしして、そのテープ起こしを見ながら文章を作っていきます。武田さんが訓練していたようなことが、日々のライターの作業と言えます。

ちなみに、テープ起こしはせずに、ただ聞き直すだけで書く人もいれば、そもそも録音すらせず、取材メモだけで原稿を仕上げるプロフェッショナルもいて、本当にライターのやり方はさまざまです。

ビジネス取材は売り上げや創業年やら数字がたくさん出てくるので、正確な情報を確認するために私は必ず録音します。また、書く原稿の種類にもよりますが、対談や「」の多い文章などは、話者の語尾や言葉のチョイスを正確に表現したいと考えるために、テープ起こしをすることが多いです。

1時間の取材をテープ起こしすると、12000~15000字ほどになります。それを約3000~5000字の記事にまとめています。

以下は、実際の取材内容ではありませんが、私の推敲の例です。

テープ起こしから文章化した下原稿。

「これを読んでいる方、年齢も仕事もさまざまだと思います。私は離婚をして非常に良かったと考えている一人です。
大事なことは、女性は自分ではおっしゃりにくいと思いますが、離婚をするのはいいけれど、人生100年時代に、今後の人生どう生きていけばいいのか、特に経済的な心配って必ずあると思います。そういうことをきちんと話ができる相手、機関を見付けることが大事。一人で抱え込まず、助けを求めること」

十分読めると思う人と、ちょっと読みにくいと感じる人がいるかもしれません。私はこの文章を、こんなふうに推敲します。

「私は離婚をして非常に良かったと考えている一人です。
離婚はしたいけれど、人生100年時代に、今後の人生どう生きていけばいいのか、特に経済的な心配を抱えている人は多いと思います。そういう不安をきちんと話ができる友人や専門機関を見付けることが大事です。自分からは話しにくいかもしれませんが、ぜひ一人で抱え込まず、助けを求めてください」

ちょっと取り上げた題材がアレですが(苦笑)、変更したところは太字にしてみました。

・冒頭の一文は蛇足だと判断し削除
・おっしゃる(敬語)は読みづらいので、普通の言葉に
・そういうこと、相手など、あいまいな表現は、そういう不安、友人、などきちんと名詞を当てはめて分かりやすくする
・大事なことは~ ~が大事。人の会話はこのような重複が多くあるので、片方を削除

こうして書いていくと、改めて文章の推敲は、とても地道な作業ですね。
これは一部の文章だけを切り取った推敲ですが、実際には、まるごと前後の内容を入れ替えたり、一段落だけ移動したり、全体の構成の推敲も行います。

【ポイント3】音読する

最後のポイントは、出来上がった原稿を音読することです。
声に出して読んで、ひっかかるところがあれば、それは黙読でも読みづらい箇所なので、修正が必要です。ここでは内容の推敲というよりは、リズムのチェックですね。
さすがに今、すべての原稿を音読しているわけではありませんが、何となくうまく書ないなぁと思った原稿は、音読してみることもあります。

以上、推敲のポイントでした。
かなり専門的な話になってしまったような気がしますが、少しでも参考になればうれしいです。
「ライターってどんな仕事してるの?」と聞かれることが多いので、ほんの一部ではありますが、仕事内容が伝わって面白がってもらえたらいいなぁとも思います。

次回(10月31日)は、通常の赤ペン教室に戻ります。【第16回】テーマ未定!アイデア絶賛募集中!です。

ノンフィクションを書きたいです!取材費に使わせていただき、必ず書籍化します。