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【ピアノ】牛田智大さんの熱演

新宿のオペラシティは少しアクセスが悪いのだけれど前から一度生演奏を聴きたいと願っていた牛田智大さんのコンサートに行くことができた。

美しい天井

卓球の愛ちゃんのように幼い頃から脚光を浴び続けて成長することは凡人には想像もつかない苦労があったことは容易く想像できる。どんな青年だろう。

貴公子のような凛々しさと柔らかい面立ちで登場されたご本人はしかもかなり細身。後に繰り広げられる大音量が想像もつかない。

この日のプログラムは素人の私の知らない曲ばかりで構成されていて正直なところ大衆に阿らないこだわりの選曲。ドイツとオーストリアの作曲家の世界を体現してくださるという。

チケットを取るときは必ず舞台左手の鍵盤を弾くところが見える席を選ぶようにしていて、昨日も一音一音指の動きをつぶさに見ることができた。

鍵盤に顔を近づけて弾いておられると思ったが、とにかく鍵盤から目を離さずすごい集中力で演奏される。万華鏡のように素早く移り変わる曲調の表現が巧みで、これまで行ったコンサートで感じたのを遥かに上回るように思えた。

とにかくピアノという一つの楽器の持てる音域と音量を最低から最高まで、最小から最大まで引き出して10本しかない指で奏でるとは。実際には腕や背中も使うわけだけど、とことん曲を知り、愛した人にしかできない演奏で、どれほどひたむきにピアノに向かってこられたかその姿勢に感動する。

随分前のテレビでは中村紘子さんにタレントのようになりたいなら指導はできないと言われてそうではない道を選ばれたと言っていた。才能を持って生まれた人ならではの苦悩もあるだろう。会社勤めなら9時5時勤務で残業代がついたり、土日休み有給休暇などオンオフがはっきりしているけれど芸術の世界はそのようなものではない。納得いくまで追求されていることが痛いほど伝わってきた。

これまで行ったピアノのコンサートで辻井伸行さんや務川慧悟さん、沢田蒼梧さんなどは少し、あるいはたくさんお話をしてくださってそれもとても楽しいのだけど牛田智大さんはピアノだけで勝負?される。4曲もアンコールに弾いてくださった中の最後のトロイメライだけがこの夜唯一知っている曲だった。

その真摯な演奏に会場も大満足で、若い女性も若くない男性もその他の人たちも全てその場を共有したピアノを愛する人たちを魅了した熱演だった。

入り口で配られたこれからの音楽会の数々の案内の分厚いこと。30枚くらいずっしりとした重みでまた音楽活動が帰ってきたことを感じて明るい気持ちになった。ピアノは弾くのも聴くのも楽しみが尽きない。

オペラシティの外観

今日は春雨ですね。一週間お疲れ様でした!

賑わいの戻った木曜日夜の渋谷の交差点

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