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翼と自由とギブソンと①

作曲家の武満徹は1930年に生まれて1996年に亡くなった。2020年は生誕90年、今年は没後25年というメモリアルイヤーとなる。それでラジオで武満徹特集の番組があったり、武満徹作品集がCDリリースされたりしている。

このたび、NHKのEテレ「クラシック音楽館」で武満徹のポップスを大友良英さんのディレクションで6人の歌手が歌うという特番が組まれた。題して「大友良英 presents 武満徹の”うた”」。

大友さんから電話で出演のオファーをいただいたのは5月の下旬。8月15日の特番と聞いて、何か反戦のメッセージを込めたりするのかなとその時は思った。

実は前にも大友さんに誘われて武満徹をテーマにしたコンサートに出演したことがある。いつだったっけ?・・と調べたら2010年の12月だった。あの時は、生誕80周年の年だったのだな。いろいろ忘れているので、ブログから告知の際に使ったイベント情報を探してきた。
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武満徹トリビュート~映画音楽を中心に~

20世紀を代表する世界的作曲家、武満徹(たけみつとおる 1930-1996)の生誕80年にあたる本年、主としてその映画音楽作品が演奏されるコンサート。武満は現代音楽作曲家として「弦楽のためのレクイエム」「ノヴェンバー・ステップス」をはじめとして多くの作品を残した。一方、「夢千代日記」「波の盆」などテレビドラマでの素晴らしい音楽を記憶されている方も多くいるだろう。また大の映画好きとして知られ、映画音楽作品を実に数多く残した。今回はジャズの菊地成孔と即興の大友良英がそれぞれの視点から武満の映画音楽にスポットをあて、オマージュを捧げる。

出演:菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール、大友良英プロジェクト:田中泯(ダンス)、浜田真理子(ヴォーカル、ピアノ)、ジム・オルーク(プリペアドピアノ、エレクトロニクス)、熊谷和徳(タップダンス)、西原鶴真(薩摩琵琶)、江藤直子(ピアノ、チェンバロ、ストリング編曲)、高田漣(スチール・ギター)、カヒミ・カリィ(ヴォーカル)、近藤達郎(ハーモニカ、バス・クラリネット)、Sachiko M(サインウェイヴ)、パイティティ(ウクレレ)、石川高(笙)、飴屋法水(物音)、高良久美子(パーカッション)、芳垣安洋(パーカッション)、大友良英(ギター、ターンテーブル、指揮)

曲目:「どですかでん」、「燃えつきた地図」、「乾いた花」、「怪談」より「耳無し芳一の話」、「他人の顔」 他

公演日程:2010/12/13(月) 19:00開演
会場: Bunkamuraオーチャードホール
料金:S席 6,800円 A席 5,800円 (税込)
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武満徹の映画音楽に光を当てて、たくさんのミュージシャンが出演した豪華なイベントだった。そうそう、あの時もわたしはピアノの弾き語りで「翼」を歌ったんだ。

その3ヶ月後に東日本大震災が起こるなんて誰も考えていなかった。当たり前だけど。あれから10年、亡くなったままの武満徹さんは生誕80年から90年となって、震災からも今年で10年が経っている。

「前回も『翼』でしたね」と大友さんに言ったら大友さんが、「あれ?そうだったっけ?」と言っておられた。それから「やばいなあ、オレの思いつくことはいつも同じだなあ」と笑った。

「翼」はわたしも好きな歌なのでまた歌えるのならこんなに嬉しいことはない。ふたつ返事で引き受けた。

その後NHKの担当のFさんとスケジュールの調整に入った。と言っても、もう全体のリハーサルと本番の日程は決まっていた。けれど、リハーサル日には東京に行けそうになかった。それで、ちょうど6月の下旬に渋谷クアトロでのライブで上京することになっていたから、そのタイミングで大友さんと打ち合わせ兼リハーサルをすることになった。(「翼と自由とギブソンと②」に続く)

一週間に一度くらいの頻度で記事をアップできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。