通り抜け

ぜんぶあの穴から出てくる
それで通り抜けて
花のなかも
畑の茄子のなかも
雲も
ベッドも
図書館の階段も
写真も
あなたも
わたしのなかも
犬も
水路も
山も
通り抜けて
穴にもどって
また出てくる
そして通り抜けてゆく
わたしたちは気がついたり予感がしたり気がつかないふりをしたり薬を飲んでみたりする
なんとかやっていくしかない
消し去ってしまうことは不可能だから
爆破してもきっとまた集まってくる
去ってもまた来る
来てもまた去る
ひとしく
ひとしく
かたちのあるなしなんてまやかしにすぎないの

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