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まとまりのない話。

はじめに、言葉が遠くなった。

どんな感情も、感覚も、知りたいときは自分の中を探せばいつでも、それなりに答えはみつかったのに。嬉しいときは、そのあたたかい気持ちの源をさぐるのが好きだったし、腹がたったときは、その怒りと悲しみの源に向かって静かに歩いた。正解なんてわからない。それでも、溢れてくる言葉を頼りに、その時々の感情に意味や名前をつけて、納得しながら立っていた。

だけどその時は、言葉が浮かばなかった。さぐれどもさぐれどもその先は行き止まりで、ざらざらした感覚の正体を見つけられなかった。名前も、意味も、わからなかった。

そのうちに、行き止まりだと思っていたものが少しずつ見えてきた。それは薄い白濁色の膜のようなもので、なにかを覆っていた。

きっと、この膜を破れば私の探しているものがあるんだろう。

ずっとそれはわかっているのに、どうしても破ることができない。この中にあるものが恐ろしかった。見たくないものがみつかってしまうような気がしていた。少し距離を取りながら、それを視界の隅に置きながら、時間が過ぎるのをただただ待った。向き合うべきことから逃げていることはわかっていたけれど、正面から闘うことだけが正しい道ではないと思い込みながら。

ここにいることは否定しない。でも、ここに居続けてはいけない。
光をやっと直視できるようになったから、腰をあげようと思う。

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