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【マーケティングトレース】CMが話題、ハズキルーペ マーケティング戦略

独特のCMが話題の「ハズキルーペ」をマーケティングトレースしてみました。

ポイント1: 買収した企業の強みを掛け合わせて事業化。
ポイント2:高齢化社会を受け、大きく伸びる市場に注目。
ポイント3:セオリー通りの広告戦略から転換。より若い層も視野に、大胆に100億円投資。
ポイント4:CMを武器に、認知度と並行して店舗網を拡大。
ポイント5: 美術愛好家でもある松村会長のクリエイティビティ。

●会社概要

社名 Hazuki Company株式会社
*2007年にプリヴェ企業再生グループ(株)が(株)タカラトミーから5社買収した中の一社
代表取締役会長  松村謙三 氏
売上高 非公開
本社所在地 六本木ヒルズ

証券会社出身の松村会長がオーナーのプリヴェ企業再生グループは、多数の企業買収を行っています。

●ハズキルーぺ概要

製品:メガネやコンタクトの上からもかけられるメガネ型拡大鏡
ラインナップ:「ラージ」「コンパクト」「クール」の3モデル
* 上記3モデルに対し、拡大率(最大3段階)×ブルーライトカット率(2段階)×カラー(8色)の展開
価格:10,167円(全モデル統一価格・税抜)
販売本数:350万本 ※メーカー集計期間:2010年2月~2017年8月
取り扱い店舗数:42,433店舗

売上高は非公開ですが、2017年までに350万本×1万円で350億円以上の売上があったようですね。直近では「月に数十万個売れている、年間850万個を超えるかもしれない」と松村会長はコメントしています。

ポイント1:買収した企業の強みを掛け合わせて事業化

●タカラトミーから買収したHazuki Companyの前身企業が、買収を決めた時点で20年前からルーペを手がけていた。
●富士通から買収したグループ会社・神田通信工業のエンジニアを中心に自社工場で製造ラインを新設。

製品のタネを持っていたA社に目をつけ、売れるデザインに改良。それを高品質で量産化できるB社の技術力を掛け合わせ、事業化しています。また、主に関東圏のようですが、東武鉄道から買収した物流企業C社も傘下に持ち、ハズキルーペの物流を担っているようです。


買収した3つの会社の強みを掛け合わせて、ビジネスをしているのがハズキルーペです。

ポイント2:高齢化社会を受け、大きく伸びる市場に注目。

また事業のタネだけではなく、高齢化社会→老眼人口の増加という視点から、市場の大きさ・今後の成長性に注目したことももちろん大きな成功要因でしょう。

高齢化は日本のみならずヨーロッパなど世界で進んでいます。今後、他国でも展開できそうなビジネスです。実際、松村会長は今後、ヨーロッパや北米への進出も考えているそうです。

ポイント3:セオリー通りの広告戦略から転換。より若い層も視野に、大胆に100億円投資。

初期のハズキルーペの広告戦略は、70代で知的なイメージを持つ石坂浩二さんの起用や、高齢の視聴者が多いBS放送でのCM出稿などシニア向け製品のセオリー通りでした。実際、石坂さんのCMで狙い通りシニアの購入が伸びたようです。

しかし近年は、より若いタレント、直近では20代の武井咲さんも起用したCMを100億円以上の広告宣伝費をかけて地上波に大量出稿しています。ハズキルーペの価格は1万円程度と手の届く価格に設定されています。また、ブルーライトカットという働き盛りの世代に響く機能も備わっています。この製品ならシニアだけではなく、老眼が気になり始めた40代くらいまで買ってもらえるだろう、と考えられます。

CMを流す場所として、平昌(ピョンチャン)冬季五輪中継番組のスポンサーや、世界バレーのようなスポーツ中継など、視聴者層が若い人も含めて広そうな番組も使っていることからも、幅広い年齢層にハズキルーペを訴求しようとしていることが伺えます。

ポイント4:CMを武器に、認知度と並行して店舗網を拡大。

ハズキルーペの取扱店はCM効果で急増したとのこと。CM出稿量を武器に取扱店も一気に増やし、CMを見て認知した人が近くのリアル店舗で試すことができるようになっています。メガネ店だけでなく、家電量販店や書店での取り扱いもあるようです。

ハズキルーペはオンラインショップでも購入できますが、視界を見やすくする「ルーペ」という製品特性と、高齢者がコアなターゲットであることから、リアルの取り扱い店舗網の拡大は売上のキーになるでしょう。


ポイント5:美術愛好家でもある松村会長のクリエイティビティ

松村会長は絵画の愛好家で絹谷幸二、奥谷博、藤田嗣治作品のコレクターとして知られています。六本木ヒルズのオフィスにも有名作家の絵画が飾られ、まるで画廊、美術館のようなオフィスだそうです。美術の愛好を通して、会長は日頃からクリエイティビティを鍛えている、と言えそうです。

話題のハズキルーペのCMは外注先のクリエイターではなく、ほぼ松村会長の企画・構想で作られているそうです。

「タレントが商品の特性をストレートにインパクトのある表現で伝える」というCMはありそうでいて、最近では意外に見られないもの。私も、60代の母と「ハズキルーペ、だーいすき(手でハートマーク)」という菊川怜さんのモノマネをしてしまいました。そんな風に、家族間でコミュニケーションが自然と生まれてしまいます。

高級クラブを舞台にした最新CM。この影響で、飲み屋でハズキルーペを取り出して「お尻で踏んでみてよ」などと言っちゃう人も、もしかすると生まれるかもしれません。


ハズキルーペの戦略(推測)まとめ 

** 高齢化社会=老眼人口の増加と捉え、メガネ型のルーペを開発。ルーペを40代〜の幅広い人々に手頃な価格(約1万円)で大量に販売する。そのためにTVCMに投資し認知度を上げ、同時に取り扱い販売店も増やして身近なリアル店舗で試着・購入できるようにしている。**

*このnoteは、ハズキルーペのマーケティング戦略を、インターネットなどで収集できる情報から推測したものです。一部画像は、ハズキルーペさん公式HPからいただきました。

マーケティングトレースのオフ会などに、私は参加したことがないのですが、「いいな!」と思い、取り組ませていただきました。

参考ソース:





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