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【旅】伊勢志摩 土地の記憶が産んだ宝物を見つける旅(2023.1.7-9)


DAY 1 伊勢神宮に初詣


今回の行程は、三島から新幹線で名古屋、名古屋からは近鉄線特急しおかぜで近鉄宇治山田駅。そこからはレンタカー。

さて、昼時に宇治山田駅に着く。初日の目的は伊勢神宮。お参りに行く前に名物の伊勢うどんを食べよう。宇治山田駅近くに人気店があると聞いて行ってみた。
「伊勢うどん ちとせ」

年季を感じさせる外観


古い店。昼時の土曜日なので店の前には行列。
ふたつ隣の喫茶店にスパゲッティを食べる行列がちょっと気になった。

中に入ると、テーブル席と奥に座敷。テーブルが自宅のダイニングに置いてありそうなデザイン。メニューも手書き。いいぞ。
伊勢うどんは柔らかい太麺。真っ黒いタレに浸かっているので、どれだけ濃いかと思っていたら、それほど濃くない。どんなマジックか。
タレと混ぜて食べる。トッピングが色々選べる。私と旦那は肉、娘は大根おろし。
もっと甘い味をイメージしていたが、甘くない。店によるのか?
値段は880円。

肉トッピングの伊勢うどん。初めまして。


「伊勢うどん」の名前は、この店にやって来た永六輔がラジオで言ったのが始まりだそう。
元々は「素うどん」と言って、お伊勢参りに遠方から来た旅人を労う食べ物らしい。手っ取り早くて、安くて、あたたかい、消化にもいい、というところでしょう。

伊勢神宮は外宮から参拝するのが正しいそう

腹ごしらえをして、外宮へ。読み方は「げぐう」。近鉄宇治山田駅からは歩いて行ける距離。正月明けの三連休で、交通規制があると聞いていたが、そんなに混んではいない。
大きな鳥居をくぐり境内にはいる。
道が広く、天気も良かったからか開けっぴろげな感じ。明治神宮のような神秘的な印象は受けない。杉の大木があちこちにあり、さすがの歴史を感じさせる。

大勢の人でにぎわう外宮

森を抜けてしばらく行くと社殿に着く。20年毎に建て替えているからか、古さは感じない。隣の更地がなんだか不思議ですね。

以下、伊勢神宮のHPより引用。

「遷宮」とは宮を遷すことを意味します。式年遷宮は20年に一度、東と西に並ぶ宮処を改めて、古例のままにご社殿や御装束神宝をはじめ全てを新しくして、大御神にお遷りいただくお祭りです。

伊勢神宮HP

1300年も続いていて、近年は平成25年とある。なぜ20年毎に建て替えているのか、確たる理由があるのかと思いきや、わからないそうだ。 
技術の継承や調度品を現在に伝える役割を担っているようですね。
お次は内宮へ。シャトルバスが出ていて便利。

伊勢神宮の内宮へ

内宮、読みは「ないくう」。こんな事もいちいち新鮮。社殿に向かう途中、五十鈴川の河原に寄り道。目を凝らすと5センチ程のほっそりした魚がうじゃうじゃいる。
なんだろう。ハゼの仲間かなぁ。
こちらの境内にも、一体樹齢何年だろう、と考えずにおれない大木があちらこちらに。大きさを見るのにうちの子を投入。

杉の大木の鼓動を聞く

社務所でお守りを買いました。欲張りだから、なんにでも効くやつ。

おはらい町とおかげ横丁

内宮を出て、門前町へ。おはらい町は人の波。土産物屋、食べ物屋、古い街並みは面白い。
昔ながらの建物に、昔ながらの産品を扱っている店と、今どきのスイーツやドリンクを扱っている店が混在している。
みんな思い思いに買い食いをしていて、楽しそう。

人、人、人


真ん中の十字路に赤福本店。
「赤福本店でぜんざいを食べる」というステータスを求めるお客さんが120組、70分待ちで諦めた。
実は、おかげ横丁にも待ち時間ゼロで、同じ赤福のぜんざいがあったのでそちらで食べた。
ぜんざいは文句なしに普通(褒めてる)。

おはらい町と十字に交わる道の奥がおかげ横丁。おはらい町の建物に比べるとまだまだ新しい、映画のセットみたい。
ここにも大勢の人。賑わいというのは、やっぱり良い。

張り切って買い食いしようと思いつつ、夕食の時間も普段より早いし、赤福のぜんざいのお餅が案外ボリューミーで、結局買わずじまい。
うちの子は、伊勢志摩に来たならアワビが食べたい、と串焼きを探す。
ぜったいトコブシか別の貝だろう、という感じのアワビの串を買う。ちっちゃいのか2つで1200円。かわいくない。
お土産たくさん買いたいが、重たいからなぁ。

地中海村に泊まる

今日の宿は「地中海村」。スペインとイタリアとギリシャと、色々混ざった街並み。なかなか良くできてます。写真を撮りに来るのがわかります。インスタにアップしたくなる写真が量産できる。

最初違和感があるが、すぐに慣れる


夜は星、月。海に月の道ができた。

ムーンロード

夕食は、サンセバスチャンの一つ星レストランが監修したスペイン料理。ワインはペアリングしてもらいました。

大きなお皿に料理がちんまり盛り付けてある。
ひとつ、ひとつ、地元の食材を使い、素材を生かしつつ、ひとひねりした料理。
品数が多いので、だんだんとお腹いっぱいになる感じだが、うちの家族はがっついていたのか、先に始めた隣のカップルの順番をいつの間にか追い抜いていた。
伊豆も相当食材は豊かだが、伊勢志摩もなかなかすごい。

DAY2  ヴィソンの[癒・食・知]

翌朝、まだ建物に陽が当たるには少し早い時間帯に朝風呂。
地中海村の敷地内に温泉がある。塩化物泉でかなりしょっぱい。露天風呂は貸切で、鳥の声をききながら周りが明るくなるのを見る。

朝食はビュフェスタイル。海が見える席をもらう。卵やハムなどの定番の横に、地元産の食材がズラッと並ぶ。去年旅行に行った北海道も長野もそうだが、もはや地元産の食材を使わない宿は皆無と言っていい。それくらい食はその地域をあらわす重要なツールだ。

チェックアウトまで、写真を撮りまくる。

白い壁と瞳さんとライオン

チェックアウト後は、今回の旅のメインのひとつ、ヴィソンを目指す。

途中、横山展望台に立ち寄って、リアス海岸を感じる。

日の光の角度もあり、神々しい


「ヴィソン」は21年開業の商業施設だ。
突如現れる建物群。

多気町という名にちなみ、様々な「気」のありようを表しているらしい。
この土地に伝わる食や工芸、薬草や芸術などを伝統を守りつつ、今風に編集している。
書ききれないので、詳細はHPを。

うちの子がインスタで見つけて、面白そうと、今回の旅の目的のひとつにした。
広大な敷地のため、エリアマップを見ながらある程度的を絞る。

【エリア一覧】
・スウィーツ ヴィレッジ
・マルシェ ヴィソン
・本草エリア
・和ヴィソン
・農園エリア
・サンセバスチャン通り
・木育エリア
・アトリエ ヴィソン
・ホテルエリア

ミナ・ペルホネンの美術館

目当てのひとつ、ミナ・ペルホネンの美術館(800円)。皆川さんのテキスタイルが並ぶ。北欧と和テイストがミックスされていて、さすがうまいなあ、と思う。
しかし、800円は高いぞ、と思っていたら、隣接するショップで金券として使えたらしい。ホテルに帰ってから気づいた。行く方はお気をつけください。

もうひとつ、ギャラリーがあり、そこは李朝、古伊万里、現代作家の作品がセレクトされていた。基本は白肌で統一された器と、桶や鉄製のアイロンなどがチョイスされている。
江戸後期はあるかな、という花唐草の皿と徳利が気になったけど、とりあえず今回は買わずに帰る。
「Gallery 泛白 uhaku」

白で統一された店内


昼を過ぎた。
事前にいろんな食べ物がひしめく飲食エリアがある、と知ったので、お昼は店に入らず、買い食い。
3人で物色するので、3倍食べられる。

・伊勢エビとアオサのスープ
・松坂牛コロッケ
・きゅうり棒とニンジン棒(糠漬け)
・なんとかエビの唐揚げ
・松坂牛ハンバーグ
・てんぷら(ねりもの)
・アジフライ
・エビフライのタルタルソース
・ホットレモネード
・地ビール

まだまだ食べたいものがたくさん。
うちとは違う地元のお雑煮も食べたかったし、
伊勢エビと松坂牛のコラボ重とか、インパクト凄かった。

さて、まだまだ見足りないが今日の宿へ。

サミット開催地、志摩観光ホテル

伊勢志摩サミットを開催したホテルです。
クラシックとザベイスイートの2つがあり、今回はザベイスイートに宿泊。

エントランスの天井に、真珠を9000粒使ったライトがある。さすがは真珠の本場。でも、本当に9000粒かは、ホテルの方も数えた事がない、と。
エレベーター内の手すりの中にも真珠がぎっしり。もちろん、ホテル内にはミキモトのショップが。ケタがちょっと違う商品が飾ってあった。

部屋はセミダブルベッドが3台。リビングもゆったり。お風呂が伊勢湾に面している。アメニティが、ミキモト製の化粧品でパール入りのパックとか。もったいなくて使えない、貧乏性。

ふわふわで広々したベッド


5階にラウンジがあり、様々なお菓子とソフトドリンク、お酒が飲み放題。
本やDVDなどもある。
地元ゆかりの小説や歴史、写真集なども。
このホテルは作家・山崎豊子の常宿で、代表作「華麗なる一族」の出だしは、ホテルから見た英虞湾の描写で始まる。

調子に乗って飲んだり食べたりするとせっかくの夕食が入らなくなるので、ちょっとだけにした。
だって今日の夕食は、ガストロノミーを地でいくラインナップだから。

ミシュランひとつ星「ラ・メール」

総料理長は樋口宏江さん。地元食材にこだわった「伊勢志摩ガストロノミー」。

コースは、「エレガンス」
伝統の「海の幸フランス料理」を守りつつ、三重の食材の魅力を総料理長 樋口宏江が紡ぐ。季節ごとに出会える新たな一皿が楽しめる、とある。

アミューズ ブーシュ
オードヴル
伊勢海老クリームスープ
魚料理
伊勢海老料理
肉料理
デセール または  フロマージュ
コーヒー

伊勢エビるんるん

どれも印象に残る、見た目、味。
でもやっぱり一番インパクトがあったのは、この店の代表料理という、伊勢エビのスープ。目の前でお皿に注いでくれる。香りがふわっと鼻にくる。
とても濃厚だけど、飽きない。

食後にまたラウンジへ。
どんだけ気に入ったんだ。
またお菓子を食べ始める父娘。
スタッフさんに顔を覚えられていて、カクテルアワーを過ぎていたのに、サービスで作ってもらう。
ありがとう。

いっぱいのお腹をさらに膨らませて、部屋に帰る。お風呂に入って就寝。

DAY3 ホテルツアーと灯台と夫婦岩

朝食は娘のリクエストで和食。これでもか、というほどの料理。
気休めにお粥を頼む。7種の海藻とアワビパウダー入り。
カマスの塩焼き、胡麻豆富、味噌汁にはアオサ、志摩鶏とほうれん草のおひたし、とにかく地元づくし。徹底してる。
梅干しが美味しかった。

これで品数の3分の1

食後は予約していた館内ツアー。歴史が沢山詰まったクラシック棟を中心に、サミット会場や当時の裏話などを話してくれる40分。
クラシック棟は什器やライトや柱や調度品が、とても好み。次に泊まりに来る機会があれば、クラシックにしたい。大倉陶苑のオリジナルの絵柄の皿なんて、最高。レオナールフジタの絵も2枚あった。

レオナールフジタの絵。クラシカルな衣装を着た婦人と、近代風な衣装を対比させている
サミットで実際に使ったテーブル
メインダイニング

名残りを惜しみつつチェックアウトをして、次に向かったのはうちの子がYouTubeで見つけた大王崎灯台。天気が良く、真っ白な灯台が青い海と空に映える。
でも、本当は近くの神社に行きたかったらしい。毎年境内に撒かれるハート型のちっちゃい陶片を探した。
今年の干支はうさぎなので、陶片には「う」と書いてある。
十数分地面に目を凝らして、やっと発見。ちょっと嬉しい。

急いで駐車場まで戻り、次は最後の目的地、夫婦岩に。古来より日の出遙拝所として知られている。夫婦岩に張ったしめ縄を鳥居に見立て、朝日を拝むらしい。絵になります。



レンタカーを返す時間が迫っていたため、周りをゆっくり散策する間もなく、お参りと写真だけ撮ってそそくさ帰る。
神様も、なんとも忙しない、と思っただろうな。

宇治山田港でレンタカーを返して、初日に気になっていた「蜂蜜ぱんじゅう」を買う。ベビーカステラの生地の中に餡が入っている。つぶあん、こしあん、カスタードの3種類。やさしい甘さ。これも伊勢の名物らしく、観光案内所でもらったパンフレットに載っていた。

2時40分の電車で帰路につく。
食べることを目的に組んだ旅。数多くの食と出会い、楽しんだ。この土地をもっと知りたくなってきた。
歴史が息づく土地に長い間に育まれる豊かな食文化。単に古くから食べられているだけでなく、新しい担い手が新しい感性で昔からの食を見せてくれている。
そういう意味で印象的だったのは、ヴィソンの中の飲食や、海苔、塩、味噌、漬物などの老舗の店舗とラ・メールのコース料理。
食材に向き合う姿勢というか、食材の生かし方をものすごくたくさん考えて、決して古びない価値を提案する力こそが必要なんだろうなぁ。

旅は予習が欠かせない

私の場合、やっぱり旅は予習が必要。
予定を組まずに偶然の出会いを楽しむ旅もいいが、特に初めての場所でテーマがあるなら、どこに何があり、どんな物語を紡いできたのかのアウトラインくらいは知っておいた方が良い。
現地で目の当たりにした時に得る情報は、その方が多い。

たとえば「伊勢型紙」。
ザベイスイートの部屋の入口や、部屋の装飾に使われていた幾何学模様が気になっていたんだけど、それが伊勢型紙だという事をラウンジにあった本でたまたま知った。
時間があるなら、型紙を見たり、実際に何か体験したりしてみたいな、と思った次第。
山崎豊子の「華麗なる一族」もあらすじくらい把握しておけばよかったな。

結局旅って、また次に行った時でいいや、と思いがちだが「次」が来た試しがない。だったらやっぱり行く前にリサーチして、現地で「答え合わせ」をして、さらに広げたり深めたりするチャンスを掴んだ方ががいい。

今回の反省。

おしまい。

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