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吉井新監督 船出の年

 WBCの興奮も冷めやらぬ中、明日から千葉ロッテの2023年シーズンが始まります。オフも年々早く感じる今日この頃。もう一度、野球観を取り戻す意味合いを込めてサラッと今シーズンにおける立ち位置・展望を殴り書きしました。よろしければ参考までにご覧ください。

☆2023年の立ち位置

 5年務めた井口資仁監督が退任し、新たに迎える吉井監督1年目。最下位に終わり、内野を軸とした基盤の作り直しから始まった前政権とは異なる。
 5年前の井口監督1年目は自らの記録重視だった福浦しかベテランがいなくて土台づくりがやりやすかった。
 今は荻野・益田がベテランになり当時からスタメン起用された中村奨吾・井上も30代に突入。1年1年の重みが増すし、今までチームを支えてきた彼らのキャリアを汚して種をまくシーズンなんて考えられない。
 10年代から支えた荻野・益田・唐川。彼らがキャリアで優勝を味わうことなく終わるなんて、そんなことはさせられない。新監督1年目だからもう1度土台作りとか、そんなことは関係ない。

 しかし、いまだに再建モードに入っているのが誤算である。
 2025年までに常勝軍団になるではなくて、2025年まで勝負モードにかけ続けて欲しかったのに、いまだに再建ムーブから抜け出せていない空気感があるのが最もまずい。今年も含めて、今後3年間は勝負の年にしていかなければいけない。

☆ペナントの戦い方


 支配していく力は必要だが、ペナントレースは何日間首位に立ったかで争うのではない。マラソンと同じで極端な話、143試合目1日だけでも首位に立てば優勝なのだ。それが昨季のオリックスである。
 
 戦い方としては開幕1ヶ月で新監督としての采配勉強、自チームの戦力構築、他球団の力量把握に重点を置き±3に留めて、交流戦で確実に勝ち越す。夏場から終盤にかけて先発ローテを豊富化させ、ブルペンもリミッターを解除していくのがセオリー。
 
 メンバーも踏まえておそらく打てない展開が続くことに違いないが、昨季の盗塁王・髙部瑛斗が開幕ロースターから外れ、井口政権の終盤を支えた和田康士朗も不在ということで、打てない中で得点リーグ上位に入った源泉の足を絡めた攻撃力が低下する恐れはある。
 そこをソロ1本で補っていく、勝っていくようにしたい意図は伝わる。山口航輝。

 伸び伸びとプレーさせたい意図は持っていそうだが、年々小さな采配になっていったのは前政権でも明らかだ。既にOP戦でも山口の打席でダブルスチールを仕掛けるなどあったが、そのような采配が本番も見受けられたら寂しい。
 勝手に座っていれば勝てるチームでは現状ないため、上位に食い込むには1年目からピタゴラス勝率を上回る手腕を見せる必要がある。あとは佐々木朗希という個を押し切っていくしかない。
 
 ここ数年を見ていると優勝ラインは.560から.570と読んでいる。年間78勝、1月平均13勝がノルマといったところか。


☆ミニ戦力分析


 巨人で活躍したメルセデス・ポランコを軸に最低限の計算が見込める手堅い補強で穴を埋めた。澤村の加入でB +になったとはいえ、ほぼTwitter見ただけの補強と言われればそう。
 投手陣の質はいい。そこに加えて田村・松川という球界屈指の頭脳派捕手2枚を備えるわけだ。彼らのエッセンスを注入していけば、そう簡単にチーム防御率が悪化するとは考えにくい。
 しいて言えばあまりに肩の仕上がりが早すぎてピークアウトしないかということか。特に種市篤暉の復活は楽しみで無理をさせてはいけないが、個人的には西野勇士に上記の兆候が感じて最も心配である。

 結局、今年も野手次第になってくる。
 ここでキーマンに挙げたいのは井上晴哉。昨季終盤に見せた復活の兆しを今季も持続出来るか。6番辺りで右方向にクラッチ、犠飛を上げてここ1本を期待したい。また柔らかい一塁守備は内野陣に安心感を与えられる。送球難の三遊間をハンドリングでスクープすることで育てていく点でも重要。

 毎年の課題だが全体的に左の繋ぎ役、似た山口井上の間に1人挟める5番が欲しい。このメンバーだとポランコがその立ち位置になるのだろうが、力一杯の真っ直ぐには多分さされやすくスプリットにクルクルしてるのが容易に想像付くので、5ほど得点圏になりにくい起点寄りの2に置いて球威落ちたところを狙ったチャンス拡大、シフト破りする方が向いていると思う。その場合、下位で田村・松川、藤岡の粘りが求められる。
 担当が明らかゾーン残りチェンジ系というタイプなのでもう1枚外国人野手は欲しい。彼らを獲得するより山口・井上のラインに賭けたということだろうが。
 

☆総評


 2年連続2位から本来ジャンプの年にするべきだった昨季。しかし一度その壁に跳ね返されてチームは半ばリセットされているのが現状だ。
 「未来が楽しみ」「プロスペクトの宝庫」この台詞を聞いて早3.4年は経っている。
 厳しいが、もうその段階から抜け出すフェーズに入らないとおかしい。今やプロスペクト充実度ランクでもCくらいに格は落ちた。

 この言葉は今年でもう聞き納めだよ。

 20.21年の連続2位がフロックではなく、本当に再建途中のつまづきで済ませたいならば最短でAクラスに復帰することは最低条件となる。目先の1年を戦えないものに黄金期など訪れない。
 
 本当に明るい未来は待っているのか、それとも再建ターン失敗で噛み合わず終いになるのか。運命のシーズンが幕を開ける。

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