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ゴッド・スレイヤーの感想


こんなゲーム

 Nintendo Switch Onlineでプレイ。間違いなくマイナーゲーなんだけどフィールドBGMの良さでは有名な作品だっただけに、無料プレイにラインナップされたときは、マジで?って感じでした。ストーリーはSFを下敷きにしたファンタジーっていう90年代前半の流行バリバリのやつ。天空に浮かぶ塔とかジブリの影響も感じられますね。

どう見ても風の谷のアレ

 ジャンルはARPG。聖剣伝説やゼルダみたいな1画面切り替え式ではなく、初期イースみたいにダンジョンや街に入るまでマップをスクロールさせながら探索するタイプ。イースからはステータス表示や装備画面なんかも影響受けてそう。

装備品の他に消費アイテム、魔法やアクセサリなどアイコンで見やすい

 通常攻撃はリーチ短い範囲狭いでキツイので、攻撃ボタン押しっぱなしでメーターを溜めて撃つ遠距離攻撃(腕輪の付け替えで3段階までパワーアップ)が主力になります。状態異常は毒・麻痺・石化の3種類で、毒は敵との接触時、麻痺と石化は弾(ダメージ無し)に当たったときに発生。
 このうち毒はだんだんHPが減っていく上に解除する手段が道具か魔法しか無く厄介なのに対して、麻痺は溜め攻撃ができなくなるだけ、石化は5秒ほど動けなくなるだけ(しかも石化攻撃をしてくる敵は動きがランダムなのでノーダメで済むことも)で危険度は低い。
 このゲーム、回復魔法の回復量がとても低いこともあって、道中はそもそも敵に近づかず距離を取って溜め撃ち、が基本ムーブになりますね。

 ただ、敵には近づかないのがセオリー……とは言っても、地上をウロウロしてる奴らはともかく、空を飛び回るタイプはスピードが速いうえ攻撃も当てづらいのが問題。幸いレアドロップという概念が無いので、当たり判定が大きく危険度が少ないクモや海の洞窟に浮いているだけのクラゲなど、狩りやすい相手で延々稼いで普段は敵を無視するというメリハリのある攻略が鍵になります。

 街の人のメッセージも分かりやすく導線が丁寧なため、「次に何をしたらいいか分からない」という状況になりづらく、ストーリーもかなりドラマチック。主人公を導く4人の賢者も、国を導く女王が占い師に変装してたり、訳あって酒浸りになってたり、ちゃんとキャラが立ってる。

聖剣味のあるテキストですが1年以上前のゲームです

特に良かった点

○遊ぶうえでの快適さ
 ここまでも十分褒めてきたけど、このゲームはとにかくフィールドの移動スピードが速いうえ斜め移動にも対応してるのが偉すぎる。前述の通り、街・ダンジョン以外にマップ切り替えが無いから広いフィールドをスイスイ移動できて、それだけで楽しくなる。惜しむらくジャンプは毒の沼や針山等を避けるためのもので、敵の弾を躱せないことくらい。

 プレイするうえでの快適さはUIにも表れてて、道具の使用と攻撃が同じボタン、話す/調べるは体当たりだけで可能など、ファミコンの少ないボタンで分かりやすくしようという工夫が見られるのもいい。

○きっちり練られたシナリオ

人類は驕りによって一度文明を崩壊させ、二度とそのようなことが起こらぬよう、天空に塔を建設した。

OPの導入

世界にモンスターが跋扈し、帝国の皇帝が世界を支配すべく侵略を開始したとき、主人公とヒロインが謎の機械から目覚めた。主人公は伝承にある救世主として各地に散らばる4本の剣を集め、4人の賢者を訪ねる旅に出る

ストーリーライン

塔は悪しき心を持った者が現れたとき地上を破壊するために造られたものであった。主人公とヒロインはコールドスリープを受け、塔が起動したとき人類に希望が残っているならばそれを救うための力と使命を携えて覚醒めた。

明かされる謎

皇帝の正体は主人公と4人の賢者を導いてきた師だった。師はかつての文明から世界の監視を任された人造人間だったが長い時間の中で悪しき心を持ってしまったのだ。ヒロインは主人公の集めた4本の剣から塔の停止スイッチである「ゴッド・スレイヤー」を生成し、主人公は防衛システムに挑む。

終盤の流れ

 起承転結がかなりしっかりしてるうえ最後にはドンデン返しもあり、秀逸と言っていいシナリオ。

ラスボス戦までちゃんと盛り上がる


ここがイマイチ

○装備の切り替えが面倒
 ストーリーの流れに沿って4本の剣が手に入り、それぞれ壁を破壊したり浅瀬を凍らせたりといった能力がある他、モンスターには属性が設定されていて特定の剣でなければ傷を負わせることが出来ない。特定の剣ならダメージ2倍とかではなく、ダメージを与えられるのが1本だけで他の剣で叩いてもダメージが通らないのが問題で、
炎の剣を装備して壁を破壊→壁の向こうにいた敵Aを倒すために風の剣を装備→敵Bが近づいてきたから水の剣にスイッチ→水の剣が効かなかったから雷の剣を試して→そんなことしてたら敵Aがまた近づいてきたから風の剣にスイッチ
といったことが本当に頻繁に起きる。幸い敵避けはそこまで大変でもないから、進行とレベル上げは切り離した方がいいですね。

○ダンジョンの作りが意地悪
 分かれ道がA~Fまであって正解のC以外は行き止まり、というのは総当りしてれば解けるから優しいダンジョン。このゲームの場合はA-B-DとE-Fが繋がって階を跨いだループを形成しているというのがほとんどで、「この地形さっきも見たな……」という状態に陥りやすく、とにかく迷う。

○被ダメが痛い
 基本的にザコでも5~6回触れると死亡。しかも無敵時間が無い為、連続で接触ダメージを喰らうと一気に体力を持っていかれる。最悪なのがノックバックの仕様で、おそらく「接触方向に関係なく敵の正面に吹っ飛ぶ」性質のため、背後から接触すると敵の正面にふっとばされて2回分のダメージを受ける。背後から接触することなんて無いでしょ、と言いたいところだけど、なぜか上下方向の当たり判定がめちゃめちゃ大きく感じるんだよなあ……。
なので横方向に距離を取って溜め撃ち×nで地道に敵を狩るのが基本戦術。

総評

 十分良作なのでちょっとARPGをプレイしたいって時には選択肢に入りますね。全体的な操作性の良さ、シナリオ進行で迷うことが少ないこと、死んでもダンジョン(フィールド)の入口からノーリスクでコンテニューできる点もいい。そもそもNintendo Switch Onlineでプレイするなら巻き戻しも出来ますし。グラフィックも全体的に良好で、理不尽に強いボスもいません。ただダンジョンは本当に迷うから、分かれ道はメモしておくのが無難。

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