約束した洋服と手袋。
私は洋服や小物を良く作ってます。
去年の冬、施設に入っている母に
「あんたの作った服が着たい。
淡いブルーでのが欲しいのよ。
手袋も欲しいわ。」
「時間かかるけど良い?」
「良いよ。あんたも仕事あるもんな」
私は帰り道、生地屋さんに寄って
淡いブルーで優しげな色を買った。
少しずつ少しづつ作りあげた。
そして手袋に取り掛かった。
片手が出来た時、
施設から電話があった。
亡くなったと。
翌日お通夜、明後日葬儀。
私は慌てて片方の手袋を編んだ。
どうしても服を着せたくて、
手袋はめさせたくて。
ごめんね、お母ちゃん…
元気なうちに着たかったよね。
棺に入れる時、着せて頂きました。
親孝行、亡くなった後ではもう遅い 。
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