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第103回 日本陸上競技選手権大会

第103回日本陸上競技選手権大会が、2019/6/27-30の4日間、福岡県の東平尾公園博多の森陸上競技場を会場に開催されました。残念ながら生観戦は出来ませんでしたが、ここ数日情報収集を続けたところ、私が注目する男子の中長距離種目の優勝記録はなかなかの好タイムだったことを知りました。

男子・中長距離種目の競技結果

800m クレイアーロン竜波(相洋高)1'46"59=高校新記録
1500m 戸田雅稀(サンベルクス)3'39"44 =PB
5000m 松枝博輝(富士通)13'41"27
3000m S.C. 阪口竜平(東海大)8'29"85=PB
10000ⅿ 田村和稀(住友電工)28'13"39

10000m

今年は変則開催で、10000mだけは、5月19日(日)に大阪ヤンマー長居スタヂアムで先行開催されていました。青山学院大学のOBで住友電工所属の田村和希選手が28'13"39で初優勝を飾っていました。

山口・西京高校出身の田村選手は、一年生から箱根駅伝を走り、青山学院大学の四連覇の主力選手として活躍しました。大学時代は"駅伝男"としてロードレースの無類の強さで名を馳せましたが、社会人一年目の昨年にいきなり27分台ランナーに仲間入りし、トラックレースでも着実に成長を遂げている若手のホープです。

このレースでも、オープン参加扱いの外国人選手が作る早いペースに一人後半まで食らい付き、2位以下に大差を付けての優勝でした。録画されたインタビューを観ると、本人はタイムと勝負所の後半にジリジリと離されたレース展開に不満の様子でしたが、圧巻の強さを発揮しました。

2位は法政大学オレンジエクスプレスの長身エースで、今年社会人1年目の成長株、坂東選手(富士通)。3位は後半粘って追い上げた日本記録保持者の村山紘太選手(旭化成)でした。

3000m S.C.

予選で世界選手権参加標準を突破したこの種目の第一人者、2016リオ五輪代表の塩尻和也選手(富士通)の貫録勝ちを予想していましたが、ラスト1周の障害飛越の際に転倒するアクシデントがあり、一気に失速してしまいました。スタートから積極的に先頭でレースを進めた東海大学の阪口竜平選手が自己ベストを更新して優勝しました。世界選手権参加標準には0.85秒届きませんでしたが、堂々の記録です。阪口選手は、昨年後半は故障で苦しんだものの、今年の箱根駅伝の7区で好走し、東海大学初優勝の陰の立役者になった実力者です。トラックレースでも着実に進化を遂げています。アクシデントに泣いた塩尻選手と共に、この所低迷が続いていたこの種目で世界の最高峰に挑んで欲しいものです。

5000m

順天堂大学の元主将で、学生時代からスピード豊かでダイナミックな走りが魅力だった富士通の松枝博輝選手が圧巻のラストを披露して歓喜の優勝を遂げました。2位には、実業団ニューイヤー駅伝の6区で連続区間賞を獲得し、トヨタ自動車連覇の立役者だった田中秀行選手、3位には大器、日本最高のスピードランナーの一人、服部弾馬選手(トーエネック)と、日本のトップクラスのスピードランナーが上位を占めました。

学生ナンバーワンランナーの呼び声が高い東洋大学の相澤晃選手もきっちり5位に入賞しました。10000mと合わせて、長距離2種目でのダブル入賞で、日本トップクラスの走力があることを証明しました。

相澤選手は、福島の名門・学法石川高校の出身で、高校時代の同級生には、明治大学に進み、10000m27分台ランナーに成長している阿部弘輝選手、中央大学に進んだ800m、1500mが主戦場のスピードランナー、田母神一喜選手がいます。また、一学年下には今年5000mの室内日本記録を更新した遠藤日向選手(住友電工)がいます。旭化成入社が内定したようなので、今後が益々楽しみです。同世代の逸材達と切磋琢磨して、日本長距離界を盛り上げて欲しいものです。

1500m

私の大好きな1500m競争、通称センゴですが、昨年まで二連覇している東海大学の主将、館澤亨次選手の三連覇がかかるレースでした。決勝レースは、日清食品HD陸上競技部の活動停止を受けてサンベルクスに移籍した戸田雅稀選手の、800mを過ぎてからの圧巻のミドルスパートで勝負が決まりました。

戸田選手は群馬・東京農大二高時代にインターハイ1500mを制しており、東京農業大学を卒業した社会人1年目の第100回大会(2016年)の日本選手権1500m優勝に次いで、2回目の日本王者でした。この記録は自身の自己ベストです。2位には5000m優勝の松枝博輝選手、3位には東海大OB、現在ホンダ所属の荒井七海選手(第99大会 2015年王者)とハイレベルでした。

800m

高校生チャンピオンが誕生しました。神奈川・相洋高校3年生のクレイアーロン竜波選手が、ハイペースで先頭を切り続けた日本記録保持者の川元奨選手(スズキ)をラストの直線で抜き去り、高校新記録でゴールしました。今回マークした優勝タイムは日本記録にも1秒以内に迫る素晴らしいタイムです。世界とは大きな差があると言われる中距離種目ですが、有望な若い選手達が切磋琢磨して、世界との距離を縮めていって欲しいものです。



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