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後付けの活用ーチャレンジしたくなる環境作り

前回の記事では結果論について自分なりの解釈を書き出してみました。今回はそれに類していて、だけどちょっと違う観点ということで後付け理論の活用について綴ってみたいと思います。「後付け」というのもどちらかというとネガティブな言葉ですが、チャレンジする組織、チャレンジできる、というよりも皆がチャレンジしたくなる環境作りと熟成には非常に有効だと思います。

後付けとは

今回この記事を書くにあたって「後付け」を辞書で調べてみたら、
なんと載っていない言葉でした。(ちょっと衝撃)

後付け
書物の本文の後に付けるあとがき、付録、索引など
新明解国語辞典

一般的な言葉ではないのであれば記事にしづらいなあ、と思って検索してみると
ネットの辞書では出てきました。

後付
当初は無かったものや要素などを、後から遡って付け加えること。「後付け」などとも書く。
「後付(あとづけ)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書


「後付(あとづけ)」の意味や使い方 わかりやすく解説 Weblio辞書そうそう、この意味です。

後付けの検索結果をいくつか覗いてみても、やはりネガティブな意味合いが多く、何かを批判したり否定したりする際に用いられている言葉のようです。

ちなみにこちらの解説は結果論と後付けの違いについて述べられていて分かりやすかったです。
私もこの解釈が一般論となっている前提でこの記事を書き進めたいと思います。

「結果論」と「後付け」の違い・意味と使い方・由来や例文 | 違い.site 

ネガティブな理由としては、後付けにしても結果論にしても
何かが終わって結果が出てからならなんとでも言える、ということですから、そこには「ずるい」という感情も含まれているのだと思います。

前回も書いたように新しい試み、チャレンジをするのであれば、結果はやってみないと分かりません。
やってみて初めて分かることがあるのに、
さも元々分かっていたような口ぶりで実行者を批判したり貶めたりすることはよくないです。
チャレンジを推奨するのであれば尚更で、失敗から学ぶことを皆が、特に上位の役職者が理解して納得できている環境を作ることが必要だと私は思います。
チャレンジする環境づくりには、トップの発想の転換も大事だと思います。

チャレンジしたくなる

実行する前の仮説においても、どんなことが起きるのか、どんな反響、どんな感想、どんな感情が起こるのか、ということを想定していると思います。

ある新商品を開発し販売するとして、喜ぶ人だけでなく反発する人、批判する人も出ることは当然想定するわけです。
新たにある広告を作るとしても、そこに記載されたストーリーや表現、デザインが誰かにとっては不愉快なものとして受け止められるかもしれないとか、実際にクレームが来たらどう対応するか、といったことも当然事前に確認するわけです。

受け入れられる、買っていただける
受け入れられない、買っていただけない、むしろ反発や怒りが向けられる。

新しいことにチャレンジするということは、その可能性とリスクを様々な観点から比較検討することが大切です。
しかし一方でリスクばかりにフォーカスしてしまうと、リスクに比重が高まり過ぎてしまいチャレンジすることに躊躇してしまう可能性も高まってしまう。
リスクを恐れないためには、リスクに向き合うハードルをどのように下げるかも考える必要があると私は思うのです。
チャンレンジというのは、させられるものではなく、したくなる、せずにはいられない!
というエネルギーと勢いが必要です。
そこをいかに引き出すのか?
通販屋の私は、やはり言葉の使い方でそこに取り組みました。

責任問題は敢えてライトに

ちょっと余談になりますが、お掃除ロボットが大ヒットした際に、
なぜ日本のメーカーが作れなかったのか?という話が話題になりました。
技術的には可能で、実際にそうした計画もあったそうですが、
でもやらなかった。
その理由は、仏壇のろうそくにぶつかって火事になったら誰が責任を取るのか?とか
階段が落下し赤ちゃんにあたって怪我したらどうするのか?
といった慎重論が重視されて海外に出し抜かれたのだそうです。
日本の家電各社が「ルンバ」を作れない理由 国内製造業の弱点はそこだ!! (2/3ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)

どうしたら実行できるか、よりも
何かあったら誰が責任を取るのか、
という完全主義的な慎重さを優先してしまう傾向が日本にはあります。
もちろん、それゆえの安心安全もありますので、どちらが正しいという話ではないのですが、
社長として、自社はどちらを優先するかということは大きな決断のテーマかもしれません。

閑話休題
私の場合は扱っている商品ジャンルもあってか、一定の慎重さは重視しますが、それよりも新しいチャレンジを優先する組織を優先した組織開発を選択しました。

なので、なにかあったら私が謝罪会見を開いてカメラの前で土下座するよ(本当は嫌だけど)、などとライトにうそぶいてチャレンジの後押しをする方向性を示しました。
これも、私が真顔で「土下座する」などと言ってしまっては、躊躇させてしまうかもしれない。
もちろん軽々しくとか安易とは違うのですが、
「チャレンジしてもいいんだー!」と感じてもらうための私なりの工夫でした。

後付けの活用

チャレンジを優先するとしても、実際にクレームや批判が来ることも想定はしなければなりません。
そのためには様々なストーリーを想定します。
ストーリーというのにも実は理由があります。
クレームや批判、逆に予想以上に売れる、よい反響がある、
という場合、それはお客様の立場から考えるとロジックではないことが多いからです。

これは元々のターゲット設定もあるのですが、
論理的な根拠を訴求するよりも、情緒的な価値や希望を訴求されることを求めるターゲットを設定していたことにも因ります。
もちろん論理的な根拠、いわゆるエビデンスがないものは取り扱いません。
エビデンスはあるのだけれど、それを正確に細かく言葉で訴求してもターゲットの購入意欲は高まらないということです。求めるお客様がいればきちんと提出しておりました。

お客様の購入行動というのは、実際には情緒的というか衝動的なものが多い。
というか、私たちも普通に日常生活でそういうことってありませんか?
筋が通らないとか根拠が薄いというロジカルな思考もしますが、24時間365日万事そうかというと、そうでもない。むしろ訳もわからず理由も思いつかないのに、体が動いてしまった、心が動いてしまった、というのはよくあることだと思うのです。
そうすると、後付けが活きてくるのです。
売れる根拠やクレームの対応策は当然考えていますが、その通りの反応があるとは限らない。
売れたとしても、当初思っていたイメージとは違う顧客層に売れたとかもあります。
心配していたクレーム要素が、逆に価値として評価されたことすらもあります。

本当に新しいことというのはやってみないと分からない。

だから想定とは異なる反応があれば、後付けで理由を分析します。

想定していたあの層ではなく、想定外のこちらの層に響いたということにはこういう理由がありそうだ。

クレームになるかもと思っていたあの要素が、価値として評価されたと言うことは、こういう考え方をする人が増えてきているのかもしれない。

結果から分析して、後付けで顧客の情緒や衝動を想像するわけですから、
ロジックというよりも、ストーリーに重点をおいた思考や発想が求められると私は思います。
この時に、
「そんなのは後付けだから無意味だ」と言われてしまっては何も得ることができません。
高い費用をかけて実行したテストマーケティングです。
結果オーライでも大失敗でも、
費用をムダにしたくない!
どちらにしても少しでも多く元を取りたい!
いやできるだけ多くの可能性を広げたい!
結果から考えられることは根こそぎにして、そのすべてを得たい!
と私は考えます。

だから社員にも伝えます。
後付け大歓迎、後付けは否定せずにすべての可能性を洗い出そう、と。

そうすると、自分にはないストーリーというか、筋道で後付けを考える社員が出てきます。
よくそんな発想するなあ、と苦笑いすることもありましたが、
それに釘をさしては意味がない。

面白いね~といって、どんどん後付けを引き出します。

結果論も大歓迎で、どんどん結果論を引き出します。

そんな空気の場での思考とアウトプットが、
また新たなチャレンジや企画の素となっていったと思っています。

何事もさせられるのではなく、したくなっちゃう!
そんな環境を私は大事にしたいと思っています。

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