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70万人の共感を生む「コミケ」をマーケティング目線で考える

※最新の来場者数が出たので訂正しました。

今年も行ってきましたコミックマーケット96(C96)。
もうすぐ100回を迎え、毎年50万人が足を運ぶ、日本が誇る巨大イベントの一つ。

いやー今年は装備も完璧に、混まない時間とか計算して参加しましたが、やっぱりなかなかハードでしたw

↑今年から発行されたフェスのようなリスバン

僕は普段トライバルメディアハウスという会社で、企業のマーケティング支援・コンサルティングをしていますが、ラブライブを中心にガッツリオタクでもあるので、ホットなウチに思ったことをマーケ視点で書き連ねていこうと思います。内容は粗いですが、半分オタクの戯言ですのでご容赦をw


来場者70万人を超えるモンスターイベント

フジロックでも13万人/4日間、最近人気のロッキンジャパンでも27.6万人/4日間、僕の地元である兵庫県西宮市の人口は48万人、鳥取県の人口が57万人。
2013年の夏コミは59万人を動員、今年(2019)の夏コミは、前半2日間で33万人最終的にはなんと73万人を動員。

73万人って、東京都練馬区の人口とほぼ同じです。数字でみるとコミケの凄さが伺えるかと思います。

どうやら世界規模でみてもメッカの巡礼に次いで世界2位の動員数らしいです。そう聞くとヤベえな・・・w


なぜコミケに人がこんなにも集まる?

入場者数の推移を見ると、2007年に55万人を記録してからほぼ下がってません。

夏まっさかりのタイミングに50万人を超える人が集まるので、電車も超満員、最寄駅から入場するまで1時間以上かかることもあり、ビックサイトに入場してからも人が多すぎて休憩するスペースも無い。
冷房もなく「コミケ雲」ができるなんて話もありました。(今年から南館には冷房が効いておりかなり快適でした。地球は心配ですが。)

初参加した友人曰く「南極とか砂漠とかの局地いったことないけど、多分こんな感じですよね」って言うような場所。素人が思いつきで行くとマジで死にます。

なぜこんなにも過酷なのに、こんなにも人が集まるんでしょうか?


技術が進化しても手に入らない「価値」

こちらのnoteに、著名マーケッターでもある弊社社長が

「これからの時代は、誰も知らない一次情報を持っている人の価値が高まると思います。」

と書いてますが、多くの人が「誰も知らない一次情報」「ここでしか入手できないもの」を大きな目的としてコミケに訪れていると思います。

イベント内の文脈や情報が多様すぎて、中で何が行われどんな商品が並び、どんなコミュニケーションが成され、いくらで取引されているか、ネットを調べても情報を絞り込むのが難しいんです。

行き慣れた僕らですら明確な情報に事前にたどり着くことは至難の業、行ってみないとわからないことだらけ。それがコミケなんですが、この場所にはスマホを何時間見ようと、アマゾンがいくら便利になろうと、入手できないコンテンツが大量にあるんです。

しかもそれは「紙の本」だったり「グッズ」だったり、「モノの価値(機能価値)」だけ見ると世の中にあふれているものですが、そこには「文脈価値(情緒価値)」が存在し、他に代替が効かないんですよね。


モノでもサービスでもなく「ストーリー」がある世界

こういった文脈を形成しているのは、物語だったり、絵だったり、声だったり、音だったり、衣装だったり、作家性だったり、想いだったり。しかも時間をかけて構築された文化レベルのもの。

企業のマーケティング支援をしていると、消費者の購買行動において上記のような要素を重要視するシーンは滅多に出会えませんが、
(キャンペーンやプロモーション目的で即時的・短期的にストーリーを「作る」ことはあるがそれとは別)

僕もそうですが、コミケで何十万円もお金を遣う人達は、そういった「ストーリー」にお金を出しているんですね。

だからマーケッターは、コミケに行って「なぜ売れてるのか」を考えた方が、本を読むよりずっと勉強になると思います。伊達に180億円もの経済効果は出てません。

想像力に乏しい人から「ウチの商品はアニメや漫画ではない」とか言われそうですが、ストーリーなんてその気になれば何でも作れます。イメージ力が無くて優先度下げてるから実行できてないだけ。「カプ厨」のような、何でもかんでもカップルにしてしまうようなクラスタに代表される「オタクたちの文脈創作力」をもっと勉強したほうが良いと思います。

コミケにある文脈価値は非常にマイナーなもので、万人受けはしないのですが、万人にウケたところでモノが売れない時代だからこそ「オタクの購買行動」を学ぶべきだと思ってます。
単なるマイノリティ市場なら、3日間で何百億円もお金動かないですし、165社もの企業が参加することは無いと思います。


「経済活動」を有する「多様性と共感のコミュニティ」がコミケ

一般参加だけでなく、去年の冬コミ(C95)にはサークルで参加しました。

↑前日搬入の様子

「#設営完了」

弊社が誇るゲーセン女子の本「ゲーセンさんぽ」は、僕が編集・デザインしているので、サークル側の人間として参加しました。

ぶっちゃけ大した人数来ないだろうと思ってたんですが、ゲーセン女子の知名度もあってか、ひっきりなしに人が訪れ、けっこうな冊数の本が売れていきました。

来るお客さんたちは、販売者本人との交流目的で来る人もいれば、ゲーセン好きな人、ゲーム業界の人など様々ですが、「来る人全員同じ趣味・趣向を持った人」なんですよね。そして、1日でこんなにたくさんの「同じ趣味の人」に合う機会はそうそう無い。

こういった「共感」を基軸にしたコミュニケーションが、コミケは特に強く、1方向ではなく、文脈や価値観の数だけ共感のベクトルが存在するので非常に多様です。参加してる人たちは同じ価値観を共有できる仲間でもあり、同じ獲物を狙う敵でもあったりします。

また、参加者の共感性が高い=モチベーション(動機づけ)も高い状態なので、行くことがハードルにならないし「めんどくさい」「もったいない」って思わない。薄い本に、500円とか1,000円とか、グッズに数万円とか、ハードルなくポンポン出しちゃう。むしろお金を使うことに強い貢献感と開放感がある。

親友にプレゼントを買う時にお金のこととか気にしないでしょう?それに近い心理状態です。こんな場所なかなか無いんですよ…(*´ω`*)

そしてこの感覚は、共感のど真ん中で熱狂してないとおそらく理解できません。理屈じゃないから。だから現地に行って、仲間になってほしいんですよね。「なんでこいつらこんなにも金使ってるんだ!?」を体験しなければ、これからの消費行動モデルなんて考えられないと思います。

「共感の無い人」には、夏コミはただ「人が多い・臭い・暑い地獄」だと思うのでハードルはとても高いですが、富士山登るよりは楽だと思いますよ?あと、初心者には冬コミをオススメします。


コミケは「究極の価値共創」で「HAPPY」がある場所

何だかんだ言いましたが、コミケは運営さん、ボランティアスタッフの皆さん、たくさんの作家さんや企業さんたちが、たくさんの時間とリソースを使って作られた世界です。

これってある意味「究極の価値共創」なんですよね。そして「みんなHAPPY!」な世界です。

楽しみ方は人それぞれw

コスプレイヤーさんたちと写真撮ったり、普段会えない有名人が売り子してたり、想像以上に気合はいった企業ブース見たり、帰ってからも戦利品を見てニヤニヤしながらHAPPYになり、散財したことに対するネガティブな感情もほぼなく、強い達成感を得るのみ。そして次のコミケに向けて軍資金を貯め、懐を精神を整える。それがコミケです。

↑僕の今回の戦利品(*´ω`*)ニヤニヤ

ってな感じで、世の高尚なる理論を展開さてれいるマーケッターの皆々様方におかれましては、これからの時代における共感&共創でマーケティングの最先端を走るコミックマーケットに、1回ぐらい行ってみてはいかがでしょうか?

トトロもいますよ?w

ちょうど終わったところです。冬も行くぞー!

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