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改めて「PR」を学ぶ

今回(14回目)の「Tribal Professional Academy(TPA)」。お題は「PR(パブリック・リレーションズ)」です。

いわゆる業界で仕事してウン十年になりますが、仕事として「PR」に触れた機会がとても少ないということに気づきました。

大小様々な会社に転職しましたが、キャリアの中で「PR会社」で仕事をしたことは無く、PR会社ってだいたい東京にしか無くて、関西ではPR会社ではなく個人でメディアと繋がりを持っている方(ブローカーみたいな)に、広告と一緒にPR的なコトをお願いしてたので、首都圏で仕事するまで「PR会社」とお付き合いすることはほとんどありませんでした。

こうやってちゃんとPRと向き合うことは初めてになります。


今回の課題図書について、各著書のざっくりした内容をまとめると、

●パブリック・リレーションズ

PRについての研究、学術的な理論がとにかく書いてある。
著者の井之上氏は、株式会社井之上パブリックリレーションズという会社の会長で博士とのことで、この手の学術書的な本にしてはとても読みやすいです。

●ブランドは広告でつくれない

広告業に恨みでもあるのか?と思うぐらいの言い方でPRの事例(海外)がたくさん書いてある本。翻訳のクセなのかすごく上から目線で好感が持てないけど、たまに良いこと書いてあるw

●戦略PR

広告やマーケティングやってる人間がPRのことを理解するのに最高の著書。
とってもわかりやすく「PR」について解説してくれてます。
セットで、さとなおさんの「明日の広告」を読んでると良きです。

●影響力の武器

PRではなく、行動心理学、社会心理学の本です。
今回の本題ではないですが、パブリックの「大衆心理」を理解する上で必要な知識を得ることができ、4章「社会的証明」と、6章「権威」は特に重要かと。内容はとても興味深いです。
しかしカセットテープを元にした「カチッ、サー」という表現は、今の子には想起できへんと思いましたw


こんな感じです。

①PRの基礎知識→②広告との違い→③日本的PRとマーケティング→④大衆心理を知る

ってな感じで、上記の順で読むのがベストだと思います。


パブリック・リレーションズとは?

パブリック・リレーションズに記述のある「現代的パブリック・リレーションズ」の定義は

「パブリック・リレーションズとは、自由競争が可能な民主国家や地域で、双方向性コミュニケーションに基づいて、倫理観と哲学を持ち自己修正能力のある個人や組織体(情報発信者)が、目的や目標達成のために、公共の利益に沿って社会的に有意義で調和ある行動でグッドウィル(信頼・好意)を醸成しマネジメント・ファンクションとして統合的に調整する持続性のあるリレーションズ(関係構築)活動である」

とありました。

要は「情報発信者がちゃんとした行動して社会と良い関係を作る」ってことですね。


これを踏まえ、PRは経営において、「人・物・金・情報」といった経営資源を、社会に対して適切に動かすための「第5の経営資源」とされてますが、ポーター先生の提唱した、Creating Shared Value(CSV)とも通じるところがあり、現代的なコミュニケーションにおいて非常にしっくり来ます。

ターゲットによって様々なリレーションシップを構築、その中でも中核的なのが「メディアリレーション」で、一方的にプレスリリースを送るなど情報提供するのではなく、メディアと双方向なコミュニケーションによって「信頼関係」を築く、そのために、メディアを良く知り、パブリックを良く知ることが重要、

だから発信者は世の中ゴトに精通し、受け手の心情を理解できてないとダメ、ということですが、これは「消費者の事を知り、ボトムアップ型でコミュニケーション」

今の時代においては基礎的な概念ということかと思います。


PRと広告

「ブランドは広告で作れない」の中に、

広告は北風、PRは太陽

という、イソップ童話のメタファーが出てきていましたが、「広告は意識変容できても、行動変容はできない」ということが言いたいんだな、と思いました。

ただ、「広告は信憑性に欠く」というのは理解できても、情報過多な時代において「量の壁」を超えるために、露出を高めて認知と注意を取り、意識変容を促すことはそれはそれで重要だと思うので、

「PRがブランド構築、広告が維持」という考え方には賛同です。でも広告をDISりすぎww

天の岩戸の話然り、こういった「手段の目的化」は古く神話の時代から言われてることなのに、すぐ手段に走ってしまうのは人間の業なのでしょうか。


マーケティングにおける戦略PR

ここで戦略PRの本を読んだまとめを1枚の図にしてみたいと思います。
僕の妄想「ヌー入りヌードル」の戦略PRです。

フリーノート-33+

実際にヌーがヌードルになることは無いですが(ヌーヌードルって言いたかっただけ)バズのように「単に情報が広く伝わった」のでもなく、ブームのように「一過性」でもなく、

世の中の関心事や社会記号が兆しとなって、それがニュース化して空気が作られムーブメントとなる、「社会の潮流とトモダチになる」よう仕掛けるというのが、戦略PRなのかな、と思います。


大衆心理を理解し、利用する

ツイッターでデマが拡散されたり、調べたらすぐわかるような嘘をRTしたり、食べログで「値段が高い店に行ってるから」みたいな勘違いグルメ野郎がいたり、

「人間の行動は機械的で、無意識でルールに従って動いている」

そんな側面が「影響力の武器」には記述されています。

僕はこの自分でモノサシを持たず、頭を使わない大衆心理がめちゃくちゃ嫌いなマイノリティ志向型なのですが、なぜ「PR」を主題とした際にこの本が課題図書に挙がったのか、考えてみました。

本著の4章「社会的証明」のところに

「特定の状況で、ある行動を遂行する人が多いほど、人はそれが正しい行動だと判断する」

というものがありました。いわゆる大衆心理ってやつですね。
フォロワーが多い=信用できる、みたいなInstagramのインフルエンサーなんてのはこれの極みだと思いますが、「世の中の関心事」は、こういった大衆心理によって作られています。

ほかに6章の「権威」にある、「正当な権威者が命令を下すと考えることを停止する」という事象も、逆にいうと「権威ある見え方をすれば人は反射的に信用する」ということにもなります。

戦略PRの「空気づくり」においては、この大衆心理を利用することが成功のカギと言えるということなんじゃないかと思います。

ところでこの本「影響力の武器」には「防衛法」として、こういった行動への対策もガイドしてくれてるのが面白いです。
無知だったり、盲信したり、反射的になったり、そういう人間にならないよう精進したいものです。

とはいえ大衆が賢くなりすぎたらそれはそれで大変な社会になってしまいそうですが、今の多様化社会はその兆しなのでしょうね。


まとめ

前回のコミュニケーション論と今回のPRを学んで思ったことは、PRも広告も、マーケティングに携わる人間は今一度帯を締め直さないといけないなぁ、ということです。

社会的に価値が無い企業都合なプロダクトを「シナリオ」や「コピー」と称して広告で上辺だけを作って売ろうとすること、こういう「消費者をバカにしたような行為」が僕はほんとイヤだったんですが、やはり「過度な売り手目線のコミュニケーション」は時代に淘汰されていくんだなと思いました。

とはいえ、今世の中にある商品たちは価値が無いかと言われるとそうではなくて、メーカーの皆様は少しでも生活にプラスになるよう一生懸命モノづくりをしてくれてるワケで、

その「橋渡しとなるマーケティングコミュニケーション」に携わる我々がちゃんとした倫理観を持ち、ユーザーの声に耳を傾け、時代に合わせて変化(修正)して行くことが重要なんだな、と、今回の学びを通じて、改めて気合が入った次第です。

最後にPRの考え方の参考になったのがコチラの記事

この中に、

企業が社会課題にどう取り組んで解決していくのか、そういう視点を持つことがブランディングにつながる時代だし。PRパーソンはそういう経営的な視点を持って仕事をするようになってほしい。

PR業界だけに限らず、マーケターはPRや商品開発も含めた経営的視点で知見を持ち、「世の中ゴト」「大衆心理」を感度高くキャッチアップし、柔軟に変化していくことが求められていくと思います。

つまり宇宙 (((・ω・)))

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