市川 祐子『2030年会社員の未来』『楽天IR戦記』著者

マーケットリバー(株)代表取締役。『楽天IR戦記』著者。楽天、NECグループ等で約15…

市川 祐子『2030年会社員の未来』『楽天IR戦記』著者

マーケットリバー(株)代表取締役。『楽天IR戦記』著者。楽天、NECグループ等で約15年に亘りIR(インベスター・リレーションズ)、資金調達、東証一部上場準備等に従事。旭ダイヤモンド工業、クラシコム、Stroly、ユアマイスターにて社外役員を現任。一橋大HFLP非常勤講師。

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「もはや●●後ではない」と「30年サイクル」

2024年2月22日、日経平均株価が34年ぶりに最高値を更新しました。翌朝の日経新聞の1面では、『もはや「バブル後」ではない』をタイトルに、「日本人の行動が変わる契機」とこの局面を表現した記事が掲載されました。 このタイトルは、もちろん1956年の経済白書のメッセージの「もはや戦後ではない」を意識させようとしているでしょう。1956年の少し前から始まった日本の急速な経済成長は、バブルがはじけるまで続きます。1989年末の前回の日経平均株価最高値まで33年。大きな好景気の波で

    • 外国人投資家に言われて刺さったことば3選 ~オーナーとの対話で資本主義の原点に還ろう~

      「資本主義をアップデートするアドベントカレンダー」16日目です。これに先立ち、Xで募った記事テーマの投票で、資本コストやESG投資を抑えてもっとも多くの票を獲得したのは「外国人投資家に言われて刺さったことば3選」でした。 実はこれが1位になるとは予想していなかったのですが、皆さんのご要望にお応えして書いてみます。 外国人投資家とは まず外国人投資家とは、どんな人たちでしょうか。日本取引所グループによると、日本株の株主のうち外国人が占める割合は約3割です(東証プライム、20

      • なぜ上場企業はIRをすべきなのか?

        なぜ資本金を出していない株主にもIRにも責務を負うのか?  2023年は上場企業のMBOなどによる非上場化のニュースが相次ぎました。その裏には上場の意義を突き詰めて考えたプロセスがあったのでしょう。  上場維持コストは東証上場費用や株主総会などにかかる直接的な費用のほか、IR (インベスター・リレーションズ) にかける経営陣の時間という重要な間接コストも含まれます。企業の経営者の中にはIRに時間など割けない、という人も残念ながら存在します。特に資本調達を最近行っていない企業

        • 2023年やりたいこと~New year's resolutions ~

          2023年やりたいことの備忘録。 1.健康の維持  睡眠をしっかり取る。平均7時間目標。眠りとは幸せ。  運動を継続する。でも怪我しない。  質の良い食事を軽めに取る。食べ過ぎない。  体のメンテナンスにお金を惜しまない。血行を良くする。歪みを直す。  アレルギーには気を付ける。危うきに近寄らず。 2.プライベートを我慢しない  今、この年齢でやりたいことを意識する。一年はあっという間。  旅に行ってみる。国内で行ったことのない県か、海外のどこか。  暮らしを整える時

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        • 時事のあれこれ。
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        • IRや経営やガバナンスまわりの徒然な日々。
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        • 楽天IR戦記
          19本

        記事

          すご腕ファンドマネージャーの見る投資判断のポイント

           最新刊『ESG投資で激変!2030年会社員の未来』では、投資家と企業の関係の事例をいくつか載せています。  その中のひとつ、クラシコムの代表の青木さんが、国内大手機関投資家であるアセットマネジメントOneのファンドマネージャー岩谷さんと、クラシコムの投資には関係ない「雑談」をしたときの会話を新の第3章に載せました。(上場からはだいぶ前の会話です) 起業家のパーパスがお金を引き寄せる  岩谷さんは、上場しているグロース企業への投資で、数々の輝かしい成績(投資リターン)を残

          すご腕ファンドマネージャーの見る投資判断のポイント

          企業価値とIR

          IR系アドベントカレンダー11日目!私の考えるIR概論です!ひとことでいうと、IRは面白い仕事で、キャリアにも役立ちます! 1. 企業経営とは船の航海のようなもの さて、いつも私がセミナーで話していることから。  世界初の株式会社は大航海時代のオランダ東インド会社です。新世界へ、新たな資源を求めて、リスクを取って挑戦する冒険家たちが、資金を募る仕組みが株式会社のはじまりです。  陸で待つ船主=株主だったのです。船がいったん大海原に出航すれば、船主には船がどこを走っていて何を

          SXのプロとIRのプロがサステナ推進、人的資本、マテリアリティ、そして「論語と算盤」を語ってみた

          こんにちは。9月28日に、SXのプロの安藤光展さんと共同出版セミナーを開きました!その一部をご紹介したいと思います! セミナーのきっかけ、2冊の本 安藤さん(一般社団法人サステナビリティコミュニケーション協会 代表理事)は長年サステナビリティ推進に従事していて、上場企業を中心にコンサルティングを行っています。最近は月に1回くらい「うちの役員に対して話をしてほしい!」というリクエストがあって上場企業の取締役などに研修を行っているそうです。  そんな安藤さんが8月下旬に出版され

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          IRの専門家とサステナビリティ経営の専門家の実務知識を公開! 9/28無料ウェビナー

          これからの会社員の新常識 ESGとパーパス 9月1日に出版しました『ESG投資で激変!2030年会社員の未来』は、ESGはふつうの会社員にも関係あることを知ってもらいたいと思って書きました。 社内でESG経営を推し進める人にとっても、認知を広げるために必要なことです。マーケティングでいえば、AIDA(Attention 認知、Interest 関心, D 欲求、A 行動)のInterest、関心を広げるところに効くと考えています。 では、実際にAction、行動に移すと

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          スタートアップ経営者がこの本を読むべき3つの理由

            上場準備、人材採用、資金調達 スタートアップ経営者が考えるべきこの3大テーマについても、新著『ESG投資で激変!2030年会社員の未来』は大きく関係しています。 上場準備の大前提、株式市場の原則をレクチャー  ESG投資は新しいルールのようですが、もともとある株式会社のルールの上に成り立っています。上場の前に必ず理解しておきたいことです。  「上場する意味は何か」「外部株主とはどんな存在か」「資本にコストがあるとはどういうことか」という株式市場の原点を、8月に上場した

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          ふつうの会社員に『ESG投資で激変!会社員の未来』をオススメする理由

          ESGへのよくある疑問に答える一冊 ESG投資はもはや上場企業には避けて通れないことです。そうは言っても、ESGって自分には関係ないと思っていたり、ESGで利益が減るのに投資と一緒に語られることに違和感を覚えていたりする会社員はまだまだ多いのではないでしょうか。 この本は、そんなふつうの会社員に手に取ってほしい本です。ESG推進やIRに携わる人たちだけが一生懸命になっても、なかなか会社は、世の中は、変わりません。 専門的な知識がない人たちに腹落ちしてもらうために、エピソー

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          表紙デザイン決定&予約開始!『ESG投資で激変!2030年会社員の未来』9月発売

           3年ぶりの新著発売!タイトルは『ESG投資で激変!2030年会社員の未来』です!日経BP社から9月1日発売です!予約も開始しています。(注:5日発売日、早ければ1日入荷と書いていたのを訂正) 表紙デザインコンテスト@SNS  今回、印象の異なる2つの表紙デザイン案が作成され、編集部の提案もあり、SNSで投票を行いました。爽やかできりっとしたブルー系(左)と、暖かみのあるイラスト入りのオレンジ系(右)の2種でした。  FacebookとTwitterで投票を募った結果は

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          すごいCFOたち

          こんにちは。CFO(チーフ・ファイナンシャル・オフィサー)の役割って何でしょうか? 一橋大の特任教授の伊藤先生は、日本企業の多くのCFOは「スーパー経理部長」だと言います。どういう意味かというと、過去の数字である決算書を作ってる経理の経験しかない人が多く、資本コストを踏まえたキャピタル・アロケーションなどの財務戦略的なことをやっていないからだそうです。 今まではそれで足りたのでしょうが、銀行によるバンクガバナンスは終焉を迎えました。今は、株主から預かったお金をどう使い、キャ

          市場混乱期こそ確かめよう~IRの心得と原点(Sessaウエビナー抜粋)

           株式市場は、いま、非常に不安定です。一時期のパニックからは少々落ち着いてはいるものの、引き続き不透明です。こんなとき、企業は、そしてIRはどうしたらいいでしょうか?  4月8日のSessaパートナーズのウエビナーで話した内容を一部公開します。 1.市場の3つの混乱要因 いま、市場を混乱させている要因は、上記の三つです。①地政学リスク ②金利上昇・物価上昇・円安 ③バリュエーションの修正です。これらは密接に絡み合っています。投資家は、状況を見定めている状況で、身動きがとれな

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          「はじめてのコーポレートガバナンス・コードとESG」セミナーレポート

          昨年12月に、みんせつで実施したウエビナーの書き起こしが記事になりました。 対象者は、企業ではじめてガバナンスやESGを担当することになった人です。あるいは事業部門から昇進して役員となり、ガバナンスも意識するようになった方たちです。セミナーの構成は以下のとおりです。(それぞれの内容の記事にリンクします) Vol.1 株式会社の経営のおさらい Vol.2 コーポレートガバナンス・コード基本の5原則 Vol.3 ESG投資の基本知識 Vol.4 ESG開示への取組み方 セミ

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          トラのように働いてみよう

           新年あけましておめでとうございます。今年は寅年です。寅にちなんで昨年読んだ本を一冊紹介したいと思います。  書籍名は『「組織のネコ」という働き方 「組織のイヌ」に違和感がある人のための、成果を出し続けるヒント』です。著者は楽天大学学長の仲山進也さんです。(なのでリンクは楽天ブックスです) ネコとトラの要素しかなかった  本の表紙に掲載されている図(下)を見ると、パフォーマンスが高い/ふつうと、組織にいながら自由/組織の中央を志向 の2軸4象限に分かれています。イヌがいい

          東証の「対処すべき課題」

           東証のえらい人からお声がかかり、「東証の『対処すべき課題』や期待のメッセージを書いてくれませんか?」とご依頼がありました。  来春に予定している市場区分変更でもよいし、テーマは何でも良いとのことでした。プライム市場とスタンダード市場については、他に書く人は大勢いると思ったので、グロース市場にターゲットを絞り、こんなメッセージを寄せてみました。よろしければご覧ください! 日本取引所グループの統合報告書によると、重点戦略のひとつめに『次世代に向けた「市場のカタチ」の追求』を