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【STL】今期の展望ー野手編

華やかなWBCの季節も終わり、いよいよレギュラーシーズンが始まりますね。総勢19名のセントルイス選手が参加したWBCでは、普段は見られない同僚対決が見られ、中々興味深かったです。Mikolas対O‘Neillとかね(結果はツーベース)。

こんにちは、あるいはこんばんは。マーロウです。
さて、待ちに待った開幕戦が、3月30日にブッシュスタジアムで行われます。開幕先発は、セントルイスがMikolasで、トロントはAlek Manoahが見込まれています(ソース)。フロントとしては去年大車輪の活躍をして、今年が最終年と公言しているWainwrightを持ってきたかったでしょうが、残念ながら鼠径部の張りのため、開幕は故障者リストで迎えることになりそうです(ソース)。
早くも投手起用に暗雲が立ち込めていますが、今季の投手の展望についてはトリッピイさんの記事に譲ります。せっかく2人いる合同note企画なので今回は、シーズンの展望を投手はトリッピイさん、野手は私が担当して考察してみます。

※記事のスタッツは全て3/26付のため、変化している可能性があります。

〇今季のチームの野手事情


まずは今季の各ポジションに対する私の評価を記します。STLが今季補強した野手とリリースした主な野手は以下の通りです。
→In:Willson Contreras
→Out:Albert Pujols、Yadier Molina、Corey Dickerson

・キャッチャーについて

【期待度:晴れ】
スタメン:Contreras、サブ:Kizner

今オフの最も大きな変化の一つは、これまで19年間STLの正捕手として活躍してきたMolinaが抜け、代わりにFAで攻撃型捕手のContrerasを獲得したことです。獲得前から”毎日稼働する”レギュラークラスのキャッチャーを求めていたSTLにとって、今オフ最も注目されていたキャッチャーを、高騰する市場の中では低い価格で獲得することに成功しました。打力はベネズエラ出身の選手らしくパワーが魅力で、年間を通じ20本狙える点が魅力です。STではHRこそないものの、打率.343、OPS.824と好調。過去3年間積み上げたWARは、Molinaが2.4ですが、Contrerasは9.0と大きく上回ります。Kiznerの出足が遅いのが気になりますが、トータルとして今季のキャッチャーの出来栄えは期待してよさそうです。

・DHについて

【期待度:くもり】
スタメン:Gorman、サブ:Burleson

昨年カージナルスで歴代4位となる703本を放ったPujolsと、STLに少ない左打者として獲得し平均程度の結果を残したDickersonがそれぞれ引退とFAでチームを去りました。一方で、元々獲得を企図していた左の強打者は、既に市場から出払っており、少なくとも今期中盤までは手持ちの選手をDH起用することが予期されます。筆頭候補はNolan Gormanで、次点でAlec Burlesonあたりが並んでくるのかなと。打線の強打者の多くは右打ちであり、左打ちでSTでも良い成績を出している彼らへの期待は高いでしょう。Yepezも選択肢になりますが、開幕前にオプションが行使され、とりあえずの間は3Aでの調整になります。

・内野手全般について

【期待度:晴れ】
1B→スタメン:Goldschmidt、サブ:Motter
2B→スタメン:Donovan、サブ:Gorman
3B→スタメン:Arenado、サブ:Donovan
SS→スタメン:Edman、サブ:DeJong

主力級については昨年と全くかわりません。ファーストはPujolsが抜けましたが、昨年の起用を見るにつけ大幅な変化はないでしょう。ショートについてはプロスペクトのMasyn Winnが17試合でHR2本、HR.878と好調な様子を見せていますが、40人枠の変動も、STから離れた情報もなく(3/25現在)今後の動きが待たれます。また打席のアプローチの変更に挑戦したDeJongは、背中の痛みのため開幕をILでスタートすることになりそうです(ソース)。

内野手全体としてはレギュラークラスのWBC参加がホットで、近年の一発勝負(21年LADとのWCなど)での弱さを克服するような成績を見せていることから(打率: Goldy .280, Arenado .385)、レギュラーシーズン後への期待はWBC前に比べ高まったといえます。

またDonovanやEdmanを始め、今季から加入したTaylor Motterも複数ポジションを守れるなど、UTの増加が特徴です。守備力については、全員がゴールドグラバーであり、強力なバックがゴロ率の高い投手陣を支える状況は去年と変わらなそうです。

・外野手について

【期待度:くもり】
LF→スタメン:Walker、サブ:O‘Neill
CF→スタメン:O‘Neill、サブ:Carlson
RF→スタメン:Nootbaar、サブ:BurlesonCarlson

今季最もラインアップの予測がしづらいのが外野です。WBCで抜けたNootbaar、O’Neillが戻り、もともと昨年レギュラーを張っていたCarlsonに加え、STではBurlesonやWalkerが活躍するなど、豊富な選択肢があります。昨年についていえば、LFは83試合守ったO‘Neillが、CFは73試合守ったCarlsonが、RFは79試合守ったNootbaarがレギュラーと言えそうですが、今年については未知数です。

最も大きなムーブはO’NeillがCFの練習を始め、元々守備に定評のあるCarlsonとの間でCF争いが勃発したことが挙げられると思います。WBCでは2試合ながらCFで役割を果たし、バッティングも上々(DH含め打率.615)であることから、仮にCFがO’Neillで埋まるとすると、LFの起用がより柔軟になると考えられます。LFでの育成が続くWalkerはSTで5ツール能力をいかんなく発揮しており、ついに開幕ロスター入りすることが発表されました(ソース)。打撃にせよ守備にせよもっともハイシーリングのWalkerを使うことは、仮に失敗したとしても替えは充分効き、むしろ彼がブレイクしてしまえばリターンは大きいことから、フロントの選択は正しいというのが個人的な考えです。

RFはWBCでリードオフマンを務めたNootbaarを推薦したいところですが、ここまでSTで17試合打率.259、OPS.748と結果を残すBurleson、あるいはCFから流れる可能性のあるCarlsonもいるため、プラトーンで起用される可能性があります。(外野は最もセントルイスの選手が“だぶついている”分野なので、トレードの対象になる可能性も高そう。現に昨年のMurphyのトレードの話し合いではBurleson、Carlsonらの中から、A‘sに交換選手の選択肢を与えたという話も(ソース))

〇ST好調な人、不調な人


このセクションでは、STで好調な成績を出している選手と思うような成績を出せていない選手をそれぞれ3人ずつピックアップします。あくまで調整期間の成績で、これだけでシーズン全体を見わたすことはできませんが、ポジれるところはポジっていきます。

―好調な人

Jordan Walker/20歳/OF・3B
―ST成績: .295/.307/.525/HR3本
 間違いなく今STでもっとも活躍している選手の一人。196㎝、96㎏の恵まれた体格から生み出されるパワーは破壊力抜群で、打球速度や肩の強さも一級品。体の大きさから野球に向いていないと言われた経験を語り、”でかいやつだってアスレチックになれるって事実を、人々は見落としてるように思える“とし、野球への深い愛情をしめす(ソース、括弧内筆者訳)。昨年のSTLのOFのwRC+は107でMLB8位だったが、Walkerが加わればさらに得点力が高まるに違いない。高校のGPAは3.98。

Taylor Motter/33歳/UT
 ―ST成績: .240 /.345/.420/HR3本
 昨年11月にFAで獲得したジャーニーマンのMotter。2019年にDET傘下からリリースされ、KBOのキウムやアメリカ独立リーグでプレーした後、再度MLBに帰ってきた苦労人。MLB5年間ではキャッチャーとセンター以外は全部守ったユーティリティプレイヤーである。UZR、DRSともども平均を若干下回る程度だが、内野のどこでも守れる選手としてバックを支える。オフェンスはMLB通じてOPS+56も、STの特に四球率の高さはカギになりそう。チーム最多の10個。盗塁数はチームトップタイの4個を記録(Winnが並ぶ)。

Masyn Winn/21歳/SS
 ―ST成績: .333/.393/.556/HR2本
 ST期間の打率・スラッシュライン(1.86打席/試合以上)、3B、盗塁数が軒並みチーム最高のWinn。サンプルの少なさから断言はできないが、オフェンス面で最も期待できるショートだと言えそうだ。守備についても相変わらず投手張りのスローイングを見せ、ファンを沸かせている(動画)。3/5のMIA戦では、ST初HR(435ft)を打ったが、これはその5日前にWalkerが放ったものより5ft分長かったということで、”何度か(彼との)会話に出てきそうだな”とAA時代のルームメイトとの仲の良さを見せる(ソース、括弧内筆者訳)。Edmanがおり開幕ロスターは厳しそうだが、コールアップは近いだろう。

―不調な人

Andrew Kizner/28歳/C
 ―ST成績: .111/.184/.111/HR0本
 キャリアを通じて.250を上回ったことのないKiznerにとって、短期的に貧打に悩むことは多いが、今STも似た状態にある。Molinaの後釜と目されつつも、Contreras獲得や若手のHerrera、Barreraの台頭で置かれた状況は厳しい。Kiznerは昨年を振り返って、良い月と悪い月のバランスを取ることを課題に挙げるが、Marmol監督は攻防首尾よくこなすBarreraを買っており(ソース)、結果を出すまでに残されたリミットは限られてきそうだ。より大きなペッパーミルが必要かもしれない。

Oscar Mercado/28歳/OF
 ―ST成績: .182 /.206/.273/HR0本
 ―WBC成績: . .308/.400/.385/HR0本
 今WBCではコロンビア代表としてセンターを守り、出塁率はチームで最も高かった。メキシコとUSAがいる中、残念ながらチームはプールCを勝ち残れず、Mercadoも早々にSTに舞い戻った。オフェンスについてはWBCの成績は維持できず低空飛行。若く有望な外野手がひしめく中で、カナダ戦で見せたスーパーキャッチを思い出し、是非発奮してほしいところ(動画)。

Tommy Edman/27歳/2B・SS
 ―ST成績: .158 /.238/.158/HR0本
 ―WBC成績: .182/.250/.182/HR0本
 韓国代表初めての韓国国籍外の選手としてWBCに臨んだが、初戦の盗塁死を始め、短期決戦の壁に阻まれ思うような結果を出せなかった(ポストシーズンの打撃成績は打率.224、OPS.584)。STに戻ってきても数字は上がっていないが、WBCの経験はとりわけ精神的観点からシーズンに向けたよい準備だったとしており(ソース)、これからの調整に期待。昨年のSTも数字が上がっていなかったことを考えれば、そこまで心配しなくてもよさそう。ちなみにDonovanとは日本にいる間も定期的にやり取りしていたとか。

〇まとめ

野手全体としては、チームの長年の功労者のMolinaとPujolsが去り、新たな雛鳥が羽ばたく季節に突入したと解釈できそうです。各ポジションでは雌伏するニューカマーがレギュラーを虎視眈々と狙う、程よい緊張感を感じます。一方で、ArenadoやGoldschmidtといったベテラン勢は短期決戦で仕上げてきており、今年も大変頼りになる存在です。UTの数や選手層の厚さから(特に内野の)守備への不安の種はあまりなく、また攻撃面もContrerasが加わり、Walkerの昇格が既定路線に乗ったことで得点能力の増加が見込まれます。

〇おまけ:今月誕生日の選手


Gordon Graceffo🎉(2000/3/17、23歳)

昨年AAとA+で投げ、26試合で先発し、防御率2.97、WHIP0.94の成績のピッチャー。STに呼ばれるも、結局2試合の登板にとどまり、4回2/3を投げ、失点4、四死球4つ、ワイルドピッチ3つと波に乗れませんでした。ポテンシャルは最速99マイルの速球に加え、変化球のコマンドもよく、将来的なローテ中盤の評価。今年はマイナーで実力をつける年になりそうです。
※Masyn Winnが21日だったのですが、Winn出しすぎかなと思ってこちらをピックアップしました。

〈参照〉
・各リンク先
・Baseball Reference
・Fangraphs
・Baseball savant
WBC公式HP
MLB statsページ
過去のnote


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