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【STL】2023年ブレイク期待の若手カージナル

野球ファンの皆さんこんにちは、あるいはこんばんは。マーロウです。
今月は2023年シーズンのブレイクが期待されるプロスペクトを5人ピックアップしたうえで、彼らの基本情報を理解し、今後の起用について考えようと思います。対象は2023年のどこかでMLBに上がってくることが期待できる選手、あるいはすでにMLBデビュー済みであっても稼働期間が1年以下の選手です。STLの未来探しの巻です(‘ω’)ノ

1.そもそもプロスペクトが上がってくるかについてどう考えるのか?

ブレイクの議論にあたってはここが肝だと考えていますが、まずはMLB公式の球団プロスペクトトップ30に掲載されており、このETA(Estimated Arrival Time: 予想昇格時期)が2023年前後の選手を対象にしています。加えて、カージナルスにおいては2021年のArizona Fall Leagueの参加者8人(Nootbaarなど)全員が、翌2022年のMLBロースターに入っているので(John Denton記者の記事より)、2022年のAFL参加メンバー8人(※)はとりわけ、来期のコールアップの可能性が高いと考えています。

(※)Jordan Walker, OF (No. 1, MLB No. 6); Masyn Winn, SS (No. 2, MLB No. 54); Tink Hence, RHP (No. 6, MLB No. 95); Connor Thomas, LHP (No. 24); Ryan Loutos, RHP (No. 26); Mike Antico, OF; Kyle Leahy, RHP; Pedro Pages, C (以上太字筆者)

The Arizona Fall League rosters are here -- and they're loaded

また以下が、ロースター外でスプリングトレーニングに呼ばれた選手たちです。

2.ブレイク期待のプロスペクトたち

以上を踏まえて5人選んでみました。()内はポジション、クラブプロスペクト順位、全体プロスペクト順位、ETA、AFLの参加有無。

(ア)  Masyn Winn (SS、2位、51位、2024、参加)

〇基本
まずはリーグでも最高峰の強力な肩をもつウィン。2020年のドラフト時は投手あるいはツーウェイとしての育成も考えられていたほどの強いアームを持ち、スカウティングリポートの肩力項目は最高の80。以下の動画がツイッターでも拡散された。

また2021年に32個、22年には43個の盗塁を決めたスピードスターで、守備にもその俊足を発揮する。唯一弱点を挙げるとすれば打撃であり、21年のスラッシュラインは.242/.324/.356でOPSは.680。しかしながらAAまで上がった22年は.283/.364/.468と着実に力をつけている。このままいけば、PHIターナーのような5ツールプレイヤーとしての未来が期待できる。

〇起用
現在STLのショートのデプスにはエドマン、デヨングがいる(イニングは少ないがドノバンも)。エドマンはSSでも十分計算できるが、本職はセカンドであり今後の打撃成績への影響が気になる。またデヨングはデビュー以来打撃の数値が軒並み下降しており、29歳という年齢を考えると今後の大きな復調は難しそう。その中で、本職がショートで打撃が開花しつつあるウィンが正ショートを勝ち取る可能性は十分ありうる。彼の華のある守備はレジェンド・オジーを思い起こさせ、ブッシュスタジアムを大きく湧かせるだろう。
今季スプリングトレーニングにも招待されており、エドマンがWBCでいない中結果を出せば、3Aを飛ばし開幕ロースターもあり得るか?小柄な爆肩のウィンとPITの大型SSクルーズとの比較が楽しみだ。


(イ)  Jordan Walker (3B/OF、1位、6位、2023、参加)

〇基本
続いては、全体ランキング1桁代で球界のトッププロスペクトの一人、ウォーカー。2020年ドラフト1位指名でウィンと同期。守備が光るウィンに対しウォーカーはその圧倒的なまでのパワーが魅力。21年のLow-AではMLBのソトやタティス並みの最速116.2mphの弾道を放った。AAに上がった22年シーズンも打棒は健在で119試合で打率.310、OPS.898、HR19本の結果。パワーの割に選球眼もそこそこよい。
守備はサードを守るが、アレナドがいるため外野での育成も進む。AFLではライトとして出場。なお選手起用の問題で仲間のTink Henceと相対したFall Star Gameでは、フェンスぎりぎりのレフトフライを放っている(参照)。

〇起用
ウォーカーは昨年フルでAAに出場し安定して結果を出した。またシーズン後のAFLでもOPS.925、HR5本(3位タイ)とバッティングが好調な様子を見せた。2月からのSTに呼ばれており、AFLに引き続きライトで起用されるだろう(昨年の正RFヌートバーはWBCに参加)。
また、もともとサードの選手だが、アレナドの契約が2027年シーズンまで続くため、後数年は3Bウォーカーを見ることは少ないと思われる。肩の強さを活かすのであれば外野の固定が最良かもしれない(27年に25歳になったウォーカーが、その時点からサード守備にシフトするのはやや非効率な気もする)。
MLB pipelineのダイクストラ記者は、“STが予想通りのものだったら、開幕ロースターに入れるべきだ”(参照)と太鼓判を押す。モゼリアク編成本部長も“この若武者の潜在能力には夢をみちゃうよね”(参照)とホクホク。


(ウ)  Matthew Liberatore (LHP、4位、84位、昇格済み、参加なし)

〇基本
リベラトーレは2020年にランディ・アロザレーナらとの交換でTBから獲得した先発左腕。ゴーマンとは幼少期からの友達で、高校時代はアメリカ代表だった。メジャー1年目の去年は適応に苦しみ、9試合で防御率5.97、FIP5.02、WHIP1.73で、強みのコマンドもBB%が11.2%と平均を下回った。しかしながら生命線の大きな縦カーブ、また質の高いスライダーはXWOBAが .259と.176、XSLGが.287と.210とMLBでも通用しうることを示す。投球の半分を占める速球系の打たれやすさをクリアできれば(球速を上げるのか、比率を下げるのか)、今期からメジャーに定着できるのではないかと期待。

↑将来の女房コントレラスを三振に取るリベラトーレ

〇起用
時々目にするカージナルスの2024年問題(例えば、宇根夏樹記者の記事)に対する一つの有力な答えがリベラトーレだと思う。STLのローテーションは引退やFAにより、2023年以後大きく様相を変える可能性が高く、彼はその中で今後も契約が続く若手SPとして大きな期待を背負う。課題もあるが、幸いピッチスタイルが近い軟投派のウェイノが今年いっぱいいるので、彼のスタイルを学ぶ機会が多そうなのはよい点。
2023年はウェイノ、マイコラス、フラハティ、モンゴメリーに続く5番手争いをしつつ、2024年の完全な稼働が目標になるのではないか(個人的にはイニングイーターになってほしいという気持ち)。

(エ)  Gordon Graceffo (RHP、3位、78位、2024、参加なし)

〇基本
2021年の5巡目指名本格右腕。95マイル程度の速球は最速99マイルまで届き、加えて3球種ある変化球も平均以上。早くもこのドラフトはスチールになりそうだ。昨年はAAでERA3.94、WHIP1.07、被打率.217の成績。A級、High-A級の成績よりも若干三振率が低いのが気になるものの、全体としてのコマンドはよく、4球種を操って、打者の出塁を抑えている。将来的にローテーション中盤を維持しそうだとの評価。自身曰く、“去年やったみたいなパフォーマンスができれば、メジャーのチームでスタートする可能性はあると思うよ”。本人の希望としては先発だが、チームが必要とするなら喜んでリリーフもやるという点、とても頼りがいがある。(参照)

〇起用
現状、今年のローテーションはほぼ埋まっており、メジャーにどこかのタイミングで上がる可能性はあるとしても、年間を通じてみれば控えがメインで、3Aでの調整が多くなるのではないかと予想(むろんSTの出来にもよる)。あるいは本人の言うように、空振り能力を活かした中継ぎ起用もありかもしれない。ただやはり、今後のカージナルスのローテーションが未知数なので、マイナーで実力を確かにしてほしいところ。2024年以降にリビーらとともに若手先発陣の筆頭格として高い稼働を期待したい。本人のやる気には燃えちゃうね。

(オ)  Connor Thomas (LHP、24位、圏外、2022、参加)

〇基本
グラセフォが21年の5巡目なら、トーマスは2019年の5巡目指名。24歳のサウスポーは昨年3Aで1年間投げるも、135回防御率5.47、WHIP1.57といまいち振るわなかった。特徴は高いゴロ率。2021年シーズンのゴロ率は、マイナーで100回以上投げた選手155人の中で2番目に高い61%だった(1位はNYY傘下のMatt Krook)。22年シーズンは51%に下がるも、ゴロとフライの比率は変わらず2.0を超え、マイナーでもトップ15に入る。参加したAFLでは所属するRaftersで最も長い回を投げ、K9は11.9、BB9は1.8とかなりよかった。2週間後のSTではチェンジアップに磨きをかけ、ロースター入りを狙うようだ(参考)。

〇起用
フライボール革命と呼ばれて久しい中、多くの投手は打球管理に苦慮している。そんな中、ゴロを稼ぐスペシャリストとして、長打、ひいてはホームランを高いレベルで管理できる彼のコマンドは魅力的だ。
一見高いマイナー通算防御率4.38も、高めのBABIPを見るに守備や運の影響も大きいと考えられ、メジャー全体でも守備の良いSTLを考えれば楽観的になってよいと思う。球種が4つあるので先発の役割を果たせると思うが、高いゴロ率を活かした中盤のセットアッパーあるいはロングリリーフでの起用がいいのではないか(その場合Hicksあたりが先発に回るのだろうか)。
トーマスは早投げなので、今季からメジャーでも導入されるピッチクロックに煩わされることはなさそうなのはよいポイント。

このほかにも…
モリーナの後継者と目されていたIván Herreraや、最速99マイルの鋭い速球が持ち味のTink Henceら将来的なレギュラー候補が育っている。ヘレーラはチームにコントレラスが来たことで、必ずしも早期のメジャー定着の必要がなくなったので、じっくりと力を蓄えてほしい。ヘンスは昨季A級でK9は13.9、WHIPは0.88、AFLではそれぞれ9.7、0.96と調子がよい。持ち前のアスレチックさで器用に駆け上がってきそうだ。

まとめ

確かな原石の獲得とその研磨によって、次代を担う若手が比較的順調に出てきているように感じます。とりわけ昇格済みのリベラトーレや11月にロースター入りしたばかりのトーマスには今季の開幕に漕ぎつけてほしいところ。
ウィン、ウォーカー、グラセフォについてはそれぞれ結果を出しつつも、まだ全員3Aでのプレー経験がないので、スプリングトレーニングでどれだけ活躍できるかに結局かかっていると思います。ここを飛ばしてでもロースターに入れるのがよいとフロントに思わせるには、レギュラー陣がWBCでいないこのタイミングが絶好のチャンスだと思って臨むはず。
個人的には3人のうち1人でも入れば御の字だと思いますが、チームのショート事情を踏まえて、できればウィンに上がってきてほしいかなと。いずれにせよ2月、3月が楽しみです。

今回はここまでです。来月もお楽しみに!(WBCを扱う気がします、多分。)

〇おまけ:今月誕生日の選手

Brendon Donovan🎉(1997/1/16、26歳)
ドイツ南部出身の選手。昨年メジャーデビューを果たしたばかりだが、ピッチャー、キャッチャー、センター以外はすべてこなしたユーティリティー。新人王はATLのハリス2世に譲ったが(自身は3位)、見事UT部門でゴールドグラブ賞を獲得。若干パワー不足の感はあるが、打撃は安定しており、全体的な選手としての評価はgood。登場曲はリアーナのDesperado。

↑ベイダーとドノバン似てない?笑

〈出典〉
〇本文
・各項目のリンク先
・Baseball Reference
・Fangraphs
〇ヘッダー画像
Cardinals公式ツイッター

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