アフター青春のその先がリアルで生々しい『ここは退屈迎えに来て』

これは面白かった。
朝8時から映画館に見に行ったけど、
引き込まれちゃってまったく眠くならなかったね。

橋本愛が、卒業以来10年ぶりに、
高校時代の同級生である成田凌に会いに行くって話なんだけど、
物語は2004年、2009年、2013年の3つが並行して進んでいって、
最後にすべてが繋がるという形。

最初はちょっと混乱しちゃうけど、
テンポもいいし、すぐに理解できる。
そして、それぞれの時代における人間の悩みがリアルでね。
高校時代に思い悩んでいたことや、
大人になってから考えること、
そのどれもが「あるなー、あったなー」って感じで、
ある意味生々しいんだよね。

こういう何かするってわけでもなく、
淡々と日常を描くような映画では、
そういう共感ポイントが多い方が面白いと感じるかも。

この映画、セリフもすごくよくて。
渡辺大知が高校時代に言っていた
「やりたくないことをやっていると、
 自分がなりたくないような人間になっちゃうよ」
とか、今聞くとグサリと来る。

門脇麦の
「椎名にとってのあたしって、
 あたしにとっての遠藤じゃないよね?」
っていうセリフもよかったなあ。
あれは自分の存在の肯定と否定のまさに崖っぷちなところだと思うから。

ちなみに椎名ってのが、今回成田凌が演じた、
高校時代に超人気者だった人。
あそこまで圧倒的な人、俺が高校生のときはいなかったけど、憧れるな。
いや、自分がなりたいとかではなく、クラスにいて欲しかった(笑)

でもね、あれは人気者になれるよ。
ちょっと立場の弱いやつとか、まわりからいじめられてて、
成田凌もそれに加わることもあるんだけど、
そういう人とも「腹減ったからメシいかね?」
つって、そこまで仲良いわけでもなさそうなのに二人でメシ行って、
普通に話したりしてて、
それも「人間関係のアフターケア」という意味合いではなく、
単純に「行きたいから」行くという純粋なもので、
こういうバランス感覚が敵を作らないんだなと思った。

成田凌、最近映画出まくりで、
これを含めて、直近で見た邦画3本全部に出ていたけど、
この映画の中にいる人気者キャラが、個人的には好きかな。

原作は読んでないけど、
友達はけっこう原作でズシーンときたと言っていたものの、
映画はそんな暗い感じではないので、
ちょっと文学寄りな映画が好きな人は見てみてもいいかも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?