順応と妄信がすごい『世界でいちばん悲しいオーディション』

2019年公開映画42本中19位。

ドキュメンタリーなので他の映画と比較しづらいけれど、
人間の順応と妄信って凄まじいなと思った映画でした。

アイドルになりたい18歳のいたいけな少女たちの、
過酷な合宿風景を追った内容。
普段、ドキュメンタリーも見ないし、
アイドルも全然興味ないのだけれど、
これはね、、、すごかった。

2018年3月に長崎県の離島で行われたオーディション合宿で、
全国から24人の女の子たちが集結。
歌にダンスにマラソンにデスソースにと、
様々な苦難が降りかかる中、
自らと向き合い、アイドルを目指していくものの、
毎晩脱落者が出るんだよね。
もちろん日頃の彼女らの姿勢もあるんだけど、
社長の独断とかも入るから、マジでシビア。

基本的には「自分を変えたい」っていう子が多いのだけど、
けっこういじめられていたりとか、
教室の端っこにいるとか、
スクールカーストでいうと
下の方に入るのかなっていう子が多かったのが意外。
いや、そんな状況を変えたいから来たんだろうけど、
俺の中でアイドルってのは、
かわいすぎてスクールカースト上位にいる子が
そのままなるのかなと思っていたので(笑)

遊び半分で来てそうな子とか、
意識が低そうな子はどんどん落とされるんだけど、
そんな中ですごいなと思ったのが最初に書いた順応と妄信。

合宿初日なんかはみんな歌と踊りをやらされてる感があるんだけど、
時間が経つに連れて辛いのに笑顔になっていくんだよね。
もちろんそうやれって言われてるのもあると思うけど、
あんなにプレッシャーやストレスがかかる中で変わっていくのは
並大抵のことではないはず。
その場にいるだけで、そういうふうに順応していく姿が印象的だったし、
人はやっぱり環境が大事だなと痛感した。

そして、怖いなって思ったのが妄信。
デスソースっていうめっちゃ辛いソースが
必ずご飯の中に入ってるんだけど、
それが当たった人はポイントがプラスされるわけ。
最初の方は、それが入ってたらハズレ、、、だけど点数は入るみたいな
罰ゲームに近い感じだったのが、
途中からみんな自ら「デスソースください」とかって言うからさ。
それがアイドルになりたい本気度とは思うけど、
それを飲んででも勝ち残りたいという鬼気迫るものがあった。
結果、みんな吐いてるし、
2人ほどマジで危ない状況になってたからね。。。
これ飲まなきゃダメっていう強迫観念や
それを妄信してしまうほどの精神状況ってのは、
けっこう闇だなと感じた。

ちなみに、、、カメラマンのエリザベス宮地って人が、
別のイベントでデスソース一気してたけど、
その後ゲロって病院送り。
(そのシーンまでちゃんと撮ってあるw)
あれは絶対「誰が飲むんだゲーム」にしちゃいけないやつだと思ったわ。

毎朝のマラソンや脱落者の救済措置であるスクワット対決、
あれどれぐらいやってるのかわからないけど、
普通に部活や運動をしていれば、
あの若さならそんなに辛くないのではと思うから、
単にみんな運動不足すぎるだろっていうのはあった。

社長の厳しさは好きだったなあ。
自らアイドルになりたいという意思で来てる合宿とかでは、
あれぐらいの方が逆に好感持てる。
まあ実際に自分が参加者だったらすっごくストレスかもしれないけど、
なんか高校時代の部活に近しいものを感じたな。
社長の言葉のいくつかは、
自分にも当てはまるところがあって、
ギクッとしたけど(笑)

アイドルになりたいかどうかは別として、
昔の部活みたいな(と言ったら失礼かもしれないけど)、
ああいう合宿ってのはちょっと憧れたりする。
俺も6年前のゴールデンウィークに1週間、お寺に修行に行ったけど、
当時は辛かったものの、今思えばいい経験だった(笑)

あと、社長は同い年で、カメラマンが一個下ってのがびっくり。
2人とも40代ぐらいかと思ってた(笑)

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