ホテルマンとしての誇りに圧倒される『ホテル・ムンバイ』

2019年公開映画155本中15位。

2008年に起きたムンバイ同時多発テロにおいて、
タージマハル・ホテルに閉じ込められた500人以上の宿泊客と、
彼らを救おうとした従業員たちを描いた映画。

面白いと言うと不謹慎ではあるけど、
「この2時間何回まばたきしただろう」って思うほど、
目をずっと開いたままスクリーンに釘付けになっしまった。。。
それぐらい、惨たらしく、また事件を知る上で意義のある映画でした。

テロの発生から終結までを描いているけれど、
たまにテレビで海外のテロ事件の報道は目にするものの、
こんなにもあるとき突然始まるんだということにショックを受ける。

平和な日本に住んでいる身からしたら何の説得力もないけれど、
何気ない日常が一瞬にして地獄と化すとはああいうことを言うんだなと。

僕は宗教も犯罪心理学もわからないから、
まだ若い犯人たちが、とにかく「異教徒に奪われたから取り返せ」
と謎の首謀者の声に導かれるまま、
「神に栄光あれ!」と声高らかに叫び、
次々に人を銃殺していくときの心理状態がまったく理解できない。

個人的な私情でムカついてというのなら、
まだわからなくもないけれど、
神だの何だのと言うのは、宗教が強い国ならではの思想なのだろうか。
日本においては、もはや“感覚的に”その状態を知ることはできないだろう。
宗教というものがあまり浸透していないから。
(異常なまでにアイドルなどに心酔する心理とはまた違うのかな。。。)

首謀者の言う「今貧しいのは、やつらが奪ったからだ」
という言葉を信じて人々を殺してしまうのは、
先日友達がFacebookでシェアしていた記事の
「今の状況は自分次第でいかようにもコントロール可能である」
といった自責思考とは対極にあるような気がして興味深い。

しかし、犯人のひとりが家族に電話するシーンがあって、
「こんなことしてる子たちもまた、人の子なんだな」
と思ってしまったのだけれど、
それは、犯人たちが根っからの悪ではないということを
観客に知ってもらうためなのかな。
(それでも彼らのしたことは許されないけれど)

いずれにせよ、こんな残酷な状況において、
「ここではお客様が神様です」と言い、
命がけでお客を守ろうとするホテルの従業員たちの
意志や覚悟はとてつもなく尊い。

タージマハル・ホテルには、
当時の従業員が今でも多く働いているようです。
ちょっと行くの怖いけど、いつか訪れてみたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?