母の強さと広告のメッセージ性に改めて気づかされた『スリー・ビルボード』

これは秀逸。
予告で感じた以上に本編が面白かった。
もうね、先の展開がどうなるのか予想がつなかなくて、
ずっとハラハラできたし、
びっくりするようなシーンも随所にあって、
最初から最後までずっと見入ってしまう映画だった。

この映画、娘を殺された母親が、
3枚の看板に警察に対する嫌味のメッセージを掲載するのだけど、
シンプルな言葉で、すごい重みがあるんだよね。
なんでかっていったらそこには感情がこもっているから。

広告とはメッセージであり、
個人の強い感情がこもったそれは、
人々に波及していくということを改めて痛感した。

伝えたいメッセージがあって、それを広告という手段で広めていく。
それが普通の商品だと、もう世の中に溢れかえっているから、
あまり心に響くということはないのだけど、
今回は個人的な強い感情が込められているから、
その設定だけで、メッセージの強さが一気に増すんだ。

その母親を演じるのがフランシス・マクドーマンドなんだけど、
彼女の毅然とした態度は、
まさに「母は強し」という言葉を体現しているかのようで、
凄まじいものがあった。
俺だったら、まわりからの非難とかを考えて、
個人的なことで看板3つにメッセージを出すなんてことはできないし、
事件の当事者だったら、ほぼ警察に任せてしまうと思うから、
あの行動力はすごいと思う。

さらに、この映画はその母親だけでなく、
彼女を取り巻くまわりの人たちの変化も観ていて面白い。
特に、クソの極みのような警察官を演じるサム・ロックウェルなんかは、
物語の最初と最後で、そのキャラが大きく変わってびっくりする(笑)

個人的にはラストのところがちょっと気になるけれど、
全体的にすごく面白い映画でした。

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