闇と肉欲と純粋さがほとばしる『愛しのアイリーン』

ああ、、、これ、クッソ面白かった。。。
今年3番目、、、
いや、設定や話だけなら一番面白かったと言えるかもしれない。

頭の中がお花畑な自分としては
マーベルやディズニーといった夢物語が大好きなんだけど、
その真逆にある人間のグチャミソしたところが全開の映画も
同じぐらい好きなんだよね。
今回、監督が『ヒメアノ〜ル』の吉田恵輔ってことで、
あの闇をえぐるような感覚を味わえたのがとてもよかった。。。

とにかく、ヤスケンが最高すぎ。
40歳過ぎの独身、田舎で実家暮らし。
家でAV見てオナニーする冴えない男性。
パチンコ屋で働き、同僚の女性に恋をするも、
その人がヤリマンで他の同僚の男とヤッてて幻滅し、
ヤケクソでフィリピンのお見合いツアーに参加し、
ノリで選んだ人と結婚するっていう流れ。

ただ、この映画は帰国してからがやばい。
母親と嫁の仲は険悪で家に居られずホテルを転々としたり。
嫁がヤクザ役の伊勢谷友介に
「性奴隷になるな。俺が幸せを教えてやる」と拉致されたり。
そして、そのいざこざの中で殺しちゃったり。
もうイベントが次から次へと滅入るイベントばかり起こって。

しかし、そこからがこの映画における俺の好きな展開。
ヤクザを殺してからヤスケンの様子がおかしくなっちゃうんだ。
いつか自分が報復されるんじゃないかという
追い込まれた精神状態もあってか、
性欲がダダ漏れ。

嫁だけでなく、同僚ともヤリまくったり、
昔お見合いした人に自慰行為を強制させたり、
もはや世紀末感としか言いようがない感じ。
それまで女っ気がなかったっていうのもあってか、
溜まっていたものが爆発しちゃったのかな。

でも、ああいう人間の闇が漂う空気の中での男女の絡みって、
ものすごくエロく映るよね。
動物のように本能のまま腰を振りまくってる「肉感」が、
「生きてるな」って感じる。

人間追い込まれるとどうなるかわからないものだ。
自分も昔、1週間ほど寺にこもって修行したことあったけど、
あまりに特殊環境過ぎて、途中から、
普段だったら何とも思わないおばさんに
「女」を意識したこともあったから、
その延長のような感じだろうか(笑)
(別に何もありませんでした。お寺は神聖な場所です)

ヤスケンが序盤から「お◯んこおま◯こ」言いまくってて、
今まで見てきた中で最もそのワードが多い映画だったのは、
実に印象深い(笑)

でもそのヤスケン以上にすごかったのが、母親役の木野花。
彼女の演技がガチでやべぇんだわ。。。
特に終盤の鬼気迫る演技にただただ圧倒される。
普段ドラマだと穏やかな役どころが多いからか、
余計にそのギャップにビビるわ。

しかもラストがね、泣けるんだわ。
嫁と姑のやり取りが。。。

フィリピン人はこの映画をどう見るだろうか。
日本だと、フィリピンで女を買うっていうのは、
よく聞く話だったりもするけれど、
そういった中で、人間の闇だったり肉欲だったりてのを、
これでもかってぐらい映していた映画だけれど、
根底にはヤスケンの純粋さや優しさもあったんじゃないかなーって思う。

とにかく、ヤスケンと木野花の演技がやばすぎるので、
ぜひこれは見て欲しい、、、!

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