ウッディの不変の志がかっこいい『トイ・ストーリー4』

2019年公開映画109本中9位。

ピクサー長編映画第21作品目。
そして、『トイ・ストーリー』シリーズとしては、
第1作目から実に23年半の歴史に幕を閉じました。

23年半は長いよね。
僕も小5から、おっさんになりました(笑)

前作『3』でアンディからボニーへと託されたウッディたちが、
ボニーの作った新しいオモチャであるフォーキーの捜索をしていく中で、
「オモチャにとっての幸せ」について考えていく内容。

個人的には、アンディとの別れを描いた『3』が一番感動したけど、
今作もそれとはまた別の感動があってよかった。

とにかく、ウッディの不変の志がものすごくかっこいい。
これはシリーズすべてを見ているとより強く感じるんだけど、
ウッディのスタンスは常に一貫してて、
「オモチャは子供を喜ばせてこそ」という考え。
それだけは何があってもずーっと変わらなかった。

普段、生きていると、
いろいろ変えること・変わることがよしとされることも多い中、
逆に変わらないことの価値や生き方をこの映画は教えてくれる。
だから、ラストシーンは非常に考えさせられるものだった。

これまで、子供部屋の中だけで、
持ち主を喜ばせることを考えてきたウッディが、
外の世界を知ったボー・ピープの生き方や、
子供に愛されることを知らなかったギャビー・ギャビーの言葉、
そして、自らの立ち位置を踏まえた上で出した決断は、
本当に大きな変化だと思う。

その変化は、『カーズ/クロスロード』の
ライトニング・マックィーンに似ているなと思ったんだ。
あんまり詳しく書くとネタバレになってしまうので、
細かくは書かないけれど、
要は、他者へと目を向けられるようになったってことね。

これは、かつて『トイ・ストーリー』を見た子供たちが
23年半経って大人になったことを考えると、人生の教訓とも言えそう。
大人になっても楽しめる、
というより、さらに深いところもわかるようになる、
それが、ディズニーの魅力。

それにしても、『トイ・ストーリー』は、
本当にいいシリーズだと思う。
そもそも、ディズニーの素敵なところは、
普段の日常生活でよくあることを、
オモチャや動物など、人間以外のものがトレースすることで、
さらに、共感させやすくしているところだと思ってる。

『1』は、バズがやってきてアンディを取られてしまったことで
ウッディが嫉妬してしまうなんて、現実世界で普通にあること。

『2』は、博物館に展示されて永遠を生きるか、
子供に遊ばれてなんぼか、
というオモチャ視点での「オモチャの存在意義」を問うていたけど、
これも普段の生活で、「自分がどうありたいか」っていうことだと思う。

『3』は、『2』で出した結論も影響しているだろうけど、
ウッディはオモチャとしての幸せのために、
大学に進学するアンディとの決別を選択するけど、
自らの選んだ答えによって、別々の道を歩むっていうのも普通にある。

『4』は、『3』と似ているところもあるんだけど、
ウッディが自分で幸せを感じてきたことを、
他人にも分け与えようとするのは、
人生のフェーズが一段上がった感じだと思う。

もし、これらを普通に人間がやってしまったら、
直接的になりすぎて、むず痒い感じになってしまうし、
なんか気恥ずかしいというか、うまく直視できない気がする。
それを、あえて人間以外がやるからこそ、
オブラートに包まれる部分もあるし、
「あれってどういうことだろう」と考えてみたくなる。

そして、このオモチャってところがまたいいんだよねえ。
オモチャって、小さい頃はみんな遊ぶし、
その頃の思い出って美化されやすいから、
大人になって心がくすんでしまっても、
夢と希望に満ち溢れていた純粋な頃の気持ちを思い出すことで、
懐かしさや共感を得やすいんじゃないかと思う。
「オモチャに意思があったら」って妄想することもあったし、
その憧れを映像化することによって、
共感と憧れのバランスが絶妙な感じになるんじゃないかな。

明言はされていないけど、
もうこのシリーズはここで終わりだろうなあ。
オモチャたちはそれぞれの想いを胸に、
子供たちを幸せにしていくんだ。。。

自分に子供ができたら見せたい映画です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?