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[詩]Blue Tears

青い青い涙の如く降り続ける雨
僕は白いケーキと共に雨宿りをする
大通りのアーケード街の屋根の下
僕らの他には始めから誰もいない
その場で持っていたナイフでケーキの背を
割いて中身をごろごろと取り出して
一人寂しくそれをフォークに刺して食べた
「甘く」て悔しいほどに最悪な味がしてた
静けさに負けて、食べるのをやめない僕を
ケーキは怒ってこう言うよ
「今さら、遅すぎたんだよ
お前がすべて悪いんだよ」

緑緑色に町は染まる
誰もが楽しみにしてたクリスマスイヴ
大通りのアーケード街の屋根の下
雨宿りする人もなく僕は一人でいる
その場で持っていたイチゴジャムをケーキにかけてみようか
白いケーキもこれで食べやすいかな
真っ赤に染まった白いケーキをフォークで刺して食べた
「寒い日」に染みるほどに痛い味がしてた
寒さに負けて、食べるのを止めた僕を
ケーキは怒ってこう言うよ
「今さら、遅すぎたんだよ
お前がすべて悪いんだよ」

ケーキに申し訳がないが
これ以上食べられない
真っ白なケーキを
欲しかったのは僕なのに
文句ばかりつけてごめんね
全部食べられなくてごめんね
全部悪いのは僕だ
だからもう怒んないでね
この場から消えますから

赤い赤いイルミネーション緑の下
僕はもうここには戻らないと思う
大通りのアーケード街の屋根の下
残したケーキに礼を言い僕は屋根から出た
その時赤に染まった僕の手をつかんだのは
どこの誰だろうか、後ろを振り返る
これが良き思い出というやつか 懐かしい顔の人
彼女は泣いてこう言うよ
「今さら、遅すぎたよね
私がすべて悪かったね」
今さら、
そんなの、遅すぎだよ

緑緑色の知らない部屋で
すがすがしい東日を浴びて点滴を外す
隣では白い顔した知らない人
彼女はいそいそとこう言った
「待たせてごめんね」

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