服が提供できる体験についての雑考。

モノからコトへが本格的に。

世の中にはモノが溢れるようになったから、消費者はコトを求めるようになってきた。と言われて久しいが、コロナでより顕著になったなと感じる。

僕はアパレル業界で働いているけど、自粛中に新しい服を買う必要があるかと聞かれたら殆どなかった。

強いて言うなら部屋着やサンダルは欲しいなと思った。どちらも部屋の中や近所で使いたいもので、要は快適に自粛するという体験に必要なものだ。実際ユニクロやGUのルームウェアはとても売れたらしい。考えることは皆んな同じだ。

であれば3万、4万する服を買ったとして、それが提供してくれる体験は何なのかという話になる。暫くは出かけづらい状況は続くだろうから、高い服もワンシーズンに一回しか着ないということは平気で起こる。もはや礼服と同じレベルだ。

そんな時代になっていくだろうから、そもそも今のアパレルのビジネスモデル自体を考え直す必要があるかもしれないし、そうじゃなかったとしても今までにない体験的な付加価値を見出さないと生き残れないだろう。

アパレル業界は前年比やトレンドを追い続ける傾向にある。数字やデータだけを見てその先の体験を蔑ろにしてきたツケがコロナで浮き彫りになった。多くのアパレル企業は今年、売上と営業利益は下がるが、その原因は服自体や販売計画のみなのかという視点が必要だろう。


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