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喧騒を背に、夕日を浴びる。

浮遊感に似た虚無を覚えた。

明日の休みの予定も、その後の仕事のことも全部他人事のように思えた。口の中には先程飲んだコーヒーの香りがこびり付いているのに、それさえも距離を感じた。

東京の空が狭いというのは多分本当だ。

圧倒的な密度の中に身を置く人達の不満や苛立ちが少しずつ漏れて、水蒸気と一緒に空へ昇る。そのままずっと空の高いところで留まって、まるで質量を持ったかのように圧力をかけてくる。

目まぐるしい。

テレビで外国人が東京は座る場所がないと言っていた。

確かに、たまにどこに座っていいのか分からなくなる。昨日まで座っていた椅子が急に知らない人みたいになって、やけに冷たく感じることがある。
座る場所がない。


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