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詩 I 愛のくぼみ

愛にかたちがあるとするなら
丸くて白くてぷよぷよして、柔らかいものだ。

小さい頃の方が柔らかく、だんだん硬くなっていくけど、老人になっても柔らかさは残っている。

他の人の愛を受け入れるとき、受け入れるためのくぼみが自動でできて、そこに相手の愛の一部がするっと入り込む。

相手の愛が入ってきても、ずっと入ったままじゃない。弾力性があって押し出してしまうこともあるし、相手の愛の形が小さくなって、するっと落ちて出ていってしまうこともある。

愛の形は一定じゃない。
どんどん変わり続けるもの。

くぼみはひとつだけじゃない。
いろんな場所にできる。自動的に、無意識に。
これに抗うことはなかなか難しい。

ひとつの愛を受け入れながら、また違う愛も自動的に受け入れてしまう。
これはどうしようもない。
いけないと思っていても、くぼみができてしまう。

これは悪なのか。間違っていることなのか。
社会のルールが間違っているのか。

コントロールできないんだからしょうがない。
くぼみができないように力をこめても
おかまいなしにくぼんでいってしまう。

社会のルールではそれはダメなことだと言われているから、他人のそれを批判しがちになる。
でもみんな、心のどこかで分かっているはず。

好きになったものはしょうがない。

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