求人用パンフレット
21世紀に入って20年以上が経って、ようやく景気が上向いてきた感じがするが、多くの業界では 人手不足が深刻化しているため、奥の手裏の手を駆使して 新入社員集めに汲々としているのが現状である。我が美容業界もご多分に漏れず いかんともし難いほどの人材難であり、もはやそれが原因で新規出店ができないどころか、閉店せざるを得ないサロンオーナーの声さえ聞こえてくる。
美容室の求人や就職の流れについては、20年程前までは今ほどの泥沼感はなかったのだが、出生数の減少をはじめとする様々な要素が重なって 、抜き差しならないレベルにまでなってしまった。その打開のため美容サロン各社が打ち出した策は労働条件の見直しである。これまで3Bなどと揶揄されてきたブラッキーな美容業界であるが、雇う側も 給料を上げ、休暇を増やし、手当を支給して従業員を守る姿勢を見せなければ人が来ない。
さらに、以前なら大きな母体のある美容サロンのみが発行していた 美容学校新卒のための求人用パンフレットも、今や地方の中小サロンまでが制作し、我々のような学校を中心に配布している。『ウチに来たらこんないいことがあるよ!』ということが書いてあるのだが、今回はこの求人用パンフについて私見を述べてみる。
ちゃんと調べていないので正確なことはわからないが、1ヶ月に100冊を優に超えるそんなパンフが私の手元を通過する。それに記されている初任給をはじめとする条件には驚きしかなく、正に隔世の感がある。
ここに、ある企業の求人パンフがある。この一冊を取り上げたいと思ったのは、人材難もここまで来たか!と思ったからだ。この手のものは 以前なら『元気で明るい人求む!』とか『ヤル気のある人大歓迎!』みたいなキャプションが付くのが普通だったが、そんなことは『今は昔』になったのかもしれない。
以下、私が2度見したそのパンフの内容を抜粋して紹介してみよう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
《我が社はこんな方に向いています!》
― ある美容室の求人用パンフより ー
◍職場の雰囲気が気になる方
⇒煩わしい人間関係はありません
◍プライベートの時間も充実させたい方
⇒休日に行う社員旅行や営業時間後の
飲み会には行きたくない人も大丈夫
◍こういう方でもOKです
⇒そこまでオシャレに興味がない
⇒目立つのが好きではない
⇒集団行動が苦手だ
⇒人見知りである
(つづく)
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